犬用フード・おやつ

犬のクッシング症候群の食事と手作りレシピ完全ガイド

はじめに

犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は、ホルモンのバランスが崩れることで体調に変化が出る病気です。本記事は、その病気を持つ犬の食事管理に焦点を当て、飼い主が日常で実践しやすいポイントと、家庭で作れるレシピ例をご紹介します。

  • 対象読者:クッシング症候群と診断された犬を飼っている方、症状が心配な方、食事でケアしたい方。
  • 本記事で扱う内容:病気の特徴の簡単な解説、食事の基本方針、避けるべき食材、具体的な手作りメニュー、日常の工夫。

食事は病気の進行を遅らせたり、症状を和らげたりする助けになります。ただし、犬の状態や治療中の薬によって必要な栄養や制限が変わります。ここでの情報は一般的なガイドですので、実際に取り入れる前に必ずかかりつけの獣医師に相談してください。安心して続けられる食事作りのヒントを、やさしく丁寧にお伝えします。

クッシング症候群とは?

概要

クッシング症候群は、犬の体内で「コルチゾール」というホルモンが過剰に出る病気です。コルチゾールは本来ストレスや代謝を助ける働きをしますが、量が多すぎると体に負担がかかります。

主な症状

  • 多飲多尿:水をよく飲み、トイレの回数が増えます。
  • お腹が膨らむ(ポットベリー):お腹周りに脂肪がつきやすくなります。
  • 皮膚の変化:皮膚が薄くなり、毛が抜けやすくなります。傷が治りにくくなることもあります。
  • 筋力低下や運動嫌い:筋肉が落ちて元気がなくなることがあります。

診断方法

獣医師は問診・身体検査の後、血液検査(肝酵素やコレステロールの上昇)を行います。ACTH刺激試験や低用量デキサメタゾン抑制試験でホルモンの状態を調べ、超音波(エコー)やCTで副腎や脳下垂体の異常を確認します。

原因と種類

  • 下垂体由来(最も多い):脳下垂体の過形成や腫瘍が原因で副腎が刺激されます。
  • 副腎由来:副腎そのものの腫瘍でコルチゾールを出しすぎる場合です。
  • 外因性:長期のステロイド投与で起こることがあります。

日常で気づくポイント

水の飲み方やトイレの回数、お腹の膨らみ、皮膚や毛の変化に注意してください。気になる点があれば早めに受診すると治療につながります。

クッシング症候群の犬の食事管理の基本

なぜ食事管理が重要か

クッシング症候群ではホルモンの変化で代謝が乱れ、体重増加や筋肉のやせ、肝臓への負担が出やすくなります。食事で体重と内臓の負担を抑えることが、生活の質を保つために重要です。必ず獣医師と連携して進めてください。

基本方針

  • 低脂肪:脂肪が多いと体重増加や肝臓負担を招きます。脂身を避け、調理油は控えめにします。
  • 高タンパク:筋肉量を維持するために良質なたんぱく質を確保します。量は個々の状態で調整します。
  • 消化が良いこと:胃腸に負担をかけない食材や調理法を選びます。
  • バランス重視:ビタミン、ミネラル、必須脂肪酸も不足しないように配慮します。

推奨される食材

  • たんぱく質:鶏むね、七面鳥、白身魚、加熱した卵の白身などの低脂肪の肉類
  • 炭水化物:消化しやすい玄米、さつまいも、かぼちゃなどの複合炭水化物
  • 野菜:緑黄色野菜や葉物を少量。食物繊維で腸内環境を整えます。
  • 脂肪源:少量の良質なオメガ3(魚油)を推奨。過剰は避けます。

毎日の実践ポイント

  • 食事回数は1日2回〜3回に分け、少量ずつ与えると過食を防げます。
  • 体重を定期的に測り、増減があれば獣医師と相談します。
  • オヤツは低カロリーの野菜や専用の低脂肪おやつにする。
  • 人用の加工食品や塩分の高い食材は避けます。

獣医師と進める際の注意点

  • 血液検査や肝機能の確認を定期的に行い、食事内容を調整します。
  • サプリメントや特定の療法食を使う場合は必ず相談してください。
  • 変化はゆっくり行い、食欲や便の状態を観察して下さい。

以上が基本の考え方です。個々の犬で必要な栄養や量が異なるため、獣医師と相談しながら具体的なメニューを決めましょう。

クッシング症候群の犬向け手作りレシピ例

レシピ1:鶏胸肉と野菜のシチュー

  • 材料(小型犬2〜3食分)
  • 鶏胸肉またはささみ 200g
  • じゃがいも 1個(中)
  • にんじん 1本
  • ブロッコリー 適量(小房に分ける)
  • 低脂肪の鶏または野菜スープ 1カップ(無塩)
  • 作り方
  • 鶏肉は一口大に切ります。
  • 鍋にスープと鶏肉を入れ中火で煮ます。
  • 鶏肉がほぐれたら、皮をむいて一口大に切ったじゃがいもとにんじんを加えます。
  • 野菜が柔らかくなるまで煮て、最後にブロッコリーを加え1〜2分煮ます。
  • 火を止めて粗熱を取ってから犬に与えます。
  • ポイント
  • 塩や調味料は使いません。低脂肪・高たんぱく・消化の良い食材を優先します。
  • じゃがいもは量を控えめにし、根菜を中心にすると血糖の安定に配慮できます。
  • 保存
  • 冷蔵で2日、冷凍なら1か月を目安に小分け保存します。

レシピ2:鶏胸肉のジャーキー

  • 材料
  • 鶏胸肉 200g
  • 低ナトリウム鶏スープ 少量(吹きかける程度)
  • オリーブオイル 少々(表面に薄く)
  • 作り方
  • 鶏胸肉を薄くそぎ切りにします。
  • 天板に並べ、低ナトリウムスープを軽く吹きかけオリーブオイルを薄く塗ります。
  • 予熱したオーブンで175℃、約2時間ほど乾燥させます(厚さにより時間調整)。
  • 中まで乾いたら冷ましてから与えます。
  • ポイント
  • 味付けはしません。低温でじっくり乾燥させて脂を落とします。
  • アレルギーや消化不良がある場合は与える前に獣医師に相談してください。

食事で避けるべきポイント・注意点

概要

クッシング症候群の犬は代謝や脂肪の処理が変わります。食事で悪化させないために、避けるべき食品や与え方の注意点を分かりやすくまとめます。

脂肪分の多い食材

脂身の多い肉、揚げ物、バターやラードは控えてください。脂肪が多いと体重増加や膵炎(すいえん)のリスクが高まります。代わりに赤身肉や白身、茹でた魚を使い、調理は蒸す・茹でるを基本にします。

加工食品・市販おやつ

ソーセージ、ハム、スナック菓子、塩分や添加物の多いおやつは基本的にNGです。塩分は高血圧を招き、添加物は内分泌や肝臓に負担をかけることがあります。

犬に有害な食品(厳禁)

タマネギ・ニンニク:赤血球を壊す危険があります。チョコレート:中毒を起こします。ブドウ・レーズン:腎不全を招くことがあります。これらは絶対に与えないでください。

カロリーと間食の管理

高カロリー食や間食の与えすぎで肥満が進みます。おやつは低カロリーの野菜スティックや調理済み鶏胸肉等、1日の総カロリーに入れて量を調整します。

薬やサプリの扱い

獣医師の指示なくヒト用サプリや薬を与えないでください。副作用や相互作用で症状が悪化することがあります。

実践チェックリスト

・成分表示を確認する
・脂肪・塩分の多い表記があれば避ける
・疑問があれば獣医師に相談する

これらを守ると、病気の管理がずっと楽になります。

日常の工夫・その他アドバイス

水分補給を助ける工夫

手作り食は水分が多く取れる利点があります。スープや柔らかい煮物を取り入れ、食事と一緒に水を置いておくと飲みやすくなります。冷たすぎない常温の水を数か所に置くと、飲む回数が増えます。

体調・体重・食欲の記録

毎日体重と食欲、排尿の回数や量、元気さを簡単に記録してください。変化を早く見つけられると、治療や食事の調整がスムーズになります。体重は同じ時間帯に測ると比較しやすいです。

散歩や運動のポイント

無理のない運動を続けることが大切です。短時間の散歩をこまめに行い、筋肉量や気分の維持を目指しましょう。暑さや寒さで体調を崩しやすいので様子を見ながら行ってください。

サプリメントと薬の扱い

サプリメントやビタミンの自己判断での追加は避けてください。薬の種類や量は獣医師の指示に従い、飲ませ忘れや重複に注意します。新しいサプリは必ず相談のうえで始めましょう。

獣医との連携

異常を感じたら早めに獣医師に連絡してください。記録を持参すると診察がスムーズです。日々の小さな変化を共有することで最適なケアに結びつきます。

まとめ

クッシング症候群の犬には、低脂肪で高タンパク、消化の良い手作り食が基本に適しています。主なポイントを簡潔にまとめます。

  • 食事の基本:皮脂や脂肪の少ない肉(ささみ、胸肉)、白身魚、卵、低脂肪の乳製品を中心に、消化の良い炭水化物(かぼちゃ、さつまいも、少量のご飯)や緑黄色野菜を組み合わせます。
  • 個体差の尊重:必要なカロリーや栄養バランスは犬ごとに異なります。必ず獣医師と相談して、体重や血液検査の結果を基に調整してください。
  • 継続的な観察:体重、飲水量、皮膚の状態、エネルギーの変化を毎日記録し、変化があれば速やかに獣医師へ報告します。
  • おやつと間食:低脂肪で砂糖不使用のものを選び、量は全体の総カロリーに含めて管理します。手作りの蒸し野菜やかぼちゃの冷凍キューブがおすすめです。
  • 補助的対策:オメガ-3脂肪酸やプロバイオティクスは有益な場合がありますが、投与は獣医師の指示に従ってください。

最後に、食事は治療の一部です。安定した治療と定期検査、飼い主の細やかな観察がQOL向上につながります。焦らず、専門家と連携して愛犬の暮らしを支えてください。

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