犬用フード・おやつ

犬の腎臓病に効く食事と手作りのポイントまとめ

はじめに

目的

本記事は、犬の腎臓病に向き合う飼い主さまが、毎日の食事で愛犬の体調を支える方法をやさしく学べるように作りました。治療の一助となる食事管理や、手作りおやつ・ご飯の考え方をわかりやすく紹介します。

この記事でわかること

  • 腎臓病の犬にとって食事がなぜ大切か
  • 手作りおやつとご飯の基本方針と具体的なレシピ(第3章・第4章)
  • 食材選びで気をつけるポイント(第5章)
  • 市販の療法食の役割と選び方(第6章)

大切にしてほしいこと

病気の程度や年齢で必要な栄養は変わります。まずは獣医さんに相談してから、この記事の内容を日々のケアに取り入れてください。簡単で続けやすい方法を中心に説明しますので、無理なく始めてください。

読み方のヒント

症状や検査値に合わせた調整が必要な場合があります。各章を順に読んで、気になる点はメモして獣医さんに相談するとよいでしょう。

犬の腎臓病と食事管理の重要性

はじめに

犬の腎臓病では、食欲や味の好みに変化が起きやすく、食事の工夫が治療の重要な一部になります。負担を減らしながら必要な栄養を確保することが目的です。

腎臓病が体に与える影響

腎臓は老廃物を取り除き、体の水分やミネラルを調節します。機能が落ちると、食欲不振、吐き気、口臭、体重減少が現れやすくなります。早めの食事管理で症状の進行を和らげやすくなります。

食事管理の基本方針

  • 良質なたんぱく質を適量に:消化しやすい動物性たんぱく(鶏肉、白身魚、卵など)を中心に、必要量を確保します。過剰な量は腎臓に負担をかけるため、獣医と適量を決めます。
  • リンの制限:リンが高いと腎臓に負担がかかります。乳製品や内臓、魚の骨などに多いので量に注意します。
  • オメガ-3脂肪酸の摂取:サーモンやサバなどに含まれるオメガ-3は炎症を抑える助けになります。サプリで補うことも可能です。
  • 食物繊維:便通を整え、腸内で有害物質を包み込む働きが期待できます。さつまいもやかぼちゃなどの野菜で補います。
  • 十分な水分補給:脱水は腎臓をさらに悪化させます。こまめに新鮮な水を用意し、缶詰やスープ状のご飯で水分を増やす工夫をします。

実践のポイント

少量を回数多めに与える、温めて香りを立たせる、好む食材を少し混ぜるなど、食欲を刺激する工夫をします。急な変更は避け、数日かけて切り替えてください。獣医の指示で療法食やサプリを併用します。

モニタリングと獣医との連携

体重、尿量、食欲の変化を日々チェックし、定期的に血液検査を受けます。数値に応じてたんぱく質やリンの調整、投薬を行います。疑問があれば早めに獣医に相談してください。

手作りおやつのレシピ

概要

腎臓病の犬向けに、低たんぱく・低リン・低カリウムを意識したかぼちゃクッキーのレシピを紹介します。家庭で作れて材料も少ないので、安全なトリーツになります。

材料(小型犬用 約20枚)

  • かぼちゃ(蒸して皮・種を除いた正味)200g
  • でんぷん(片栗粉またはコーンスターチ)50g
  • 無塩バター 10g(少量で風味づけ)
  • 低リンのミルク粉末 10g(ない場合は小さじ2の水で代用)

作り方

  1. かぼちゃを蒸して柔らかくし、皮と種を取り除いてつぶします。
  2. 無塩バターを溶かしてかぼちゃに混ぜます。乳製品は控えめに使います。
  3. でんぷんとミルク粉末を加え、まとまるまで混ぜます。硬ければ水を少量足します。
  4. 生地を5mmほどの厚さに伸ばし、型で抜くかナイフで切ります。
  5. 150℃に予熱したオーブンで20〜25分焼き、表面が乾いたら取り出して冷まします。

調整のポイント

  • たんぱく質やリンを抑えるため、卵やチーズは使わないか最小限にします。
  • でんぷんを増やすと生地がまとまりやすく、たんぱく質割合が下がります。

保存と与え方の目安

  • 冷蔵で3日、冷凍で1か月程度保存できます。
  • 小型犬は1日1〜2枚、中〜大型犬は2〜4枚を目安に与えてください。体重や血液検査の状態で量を調整します。

注意点

  • 塩や調味料は使わないでください。高カリウムの食材(例:バナナ、ほうれん草)は避けます。
  • 与える前に必ず獣医師と相談し、現在の腎機能に合わせた量に調整してください。

手作りご飯のレシピ

1. 鮭と白菜の豆乳スープご飯

  • 材料(小型犬1〜2食分): 炊いたご飯100g、鮭40g(皮・骨除く)、白菜60g、無調整豆乳80ml、水200ml
  • 作り方: 鮭は骨と皮を取り、蒸すか弱火で茹でてほぐします。鍋に水と白菜を入れて柔らかく煮ます。ご飯と鮭を加え、最後に豆乳を温めてから混ぜます。沸騰させないで温める程度にすると風味を保てます。冷ましてから与えてください。
  • ポイント: 塩や調味料は使わず、豆乳は無調整を少量に抑えます。豆乳はリンを含むため多量は避けます。
  • 保存: 冷蔵で48時間以内、冷凍は2週間以内に使い切ってください。

2. かつおぶしとしいたけの和風だし野菜スープ

  • 材料(小型犬1〜2食分): 水300ml、乾燥しいたけ1枚(戻す)、かつおぶし一握り、にんじん30g、大根30g、さつまいも30g、炊いたご飯80g
  • 作り方: しいたけを戻し、その戻し汁と水で野菜を柔らかく煮ます。火を止めてかつおぶしを加え、数分置いてこします(だしを取る)。だし汁にご飯を加え、冷ましてから与えます。味付けは不要です。
  • ポイント: 旨味をだしで出すことで塩分無しでも喜んで食べます。たんぱく質が必要なら少量の白身魚を加えてください(獣医と相談)。
  • 与え方の注意: 新しい食事は少量から始めて様子を見ます。食欲や水分摂取、排尿の変化があれば獣医に相談してください。

食品選択の注意点

基本のポイント

腎臓病の犬はリンとナトリウムの摂取量に注意します。これらが多いと腎臓に負担がかかります。食材を選ぶときは「低リン」「低ナトリウム」を意識してください。たんぱく質は質で選び、獣医と適切な量を相談しましょう。

避けるべき食材(具体例)

  • 高リン:レバー・腎臓などの内臓、チーズやヨーグルトなどの乳製品、魚の骨や加工魚
  • 高ナトリウム:塩漬け食品(漬物)、ハム・ソーセージ、だしや市販のスープの素
  • 高カリウム:ビーツ、バナナ、ほうれん草、ジャガイモ、アボカド
    これらは摂取すると血液や体液のバランスが崩れやすくなります。ビーツは特に腎疾患の犬では避けた方が安全です。

推奨される食材と調理法(具体例)

  • たんぱく源:卵白(低リンで良質)、鶏胸肉(皮なし・脂を落とす)、白身魚の適量
  • 炭水化物:白ごはん、さつまいも(量を調整)
  • 調理法:ゆでて茹で汁は捨て、塩や調味料を使わないでください。油は控えめにします。

おやつ選びの注意

おやつは低塩で単純な成分のものを選びます。チーズや市販のジャーキーは塩分が高いことが多いので避けてください。手作りする場合は卵白や茹で鶏を小さく切って与えます。

食材ラベルの見方

パッケージの成分表示で「ナトリウム」「リン」「リン酸塩」などを確認します。原材料欄に『塩』『醤油』『保存料(リン酸塩)』がある場合は注意が必要です。

獣医との連携

食事の変更は獣医の指示に従って行ってください。血液検査や症状に応じて、必要な栄養バランスが変わることがあります。疑問があれば早めに相談しましょう。

市販の療法食

概要

市販の療法食は、腎臓病の進行を遅らせる目的で作られた栄養バランスの整ったフードです。代表例としてヒルズのk/d、ロイヤルカナンの腎臓サポートなどがあります。これらはリンやナトリウムを制限しつつ、体に必要な栄養を補える配合です。

主な特徴と成分

  • リンの制限:腎機能が低下するとリンが蓄積しやすくなるため、リン含有量を抑えています。
  • ナトリウムの管理:血圧や腎臓の負担を減らすために適度にコントロールします。
  • 良質なたんぱく質:タンパク質量を調整し、必要量は確保しつつ負担を減らします。
  • オメガ3脂肪酸:炎症を抑える効果が期待されます。

形状の違い

  • ドライタイプ(カリカリ):歯の健康や保存性に優れます。
  • ウェットタイプ(缶・トレー):水分補給がしやすく食いつきが良いことが多いです。

選び方のポイント

  • 獣医師の指示に従うことが最優先です。
  • 病気の段階や体重、好みを考慮してドライかウェットを選びます。
  • 他の病気(心臓病、糖尿病など)がある場合は、総合的に判断します。

切り替え方と注意点

  • 新しい療法食へは7〜10日かけて少しずつ切り替えます。
  • 食欲や体重、尿量の変化を観察してください。
  • 味に飽きた場合は獣医に相談して代替品やトッピングを検討します。

よくある疑問

  • 手作りとどちらが良いか:手作りは調整が難しいので、獣医の指導がない場合は市販の療法食が安全です。
  • コストと入手:専用フードは高価ですが、病気管理の効果を考えるとコスト対効果が高い場合が多いです。

保管と給餌のコツ

  • 開封後は湿気を避け冷暗所で保管し、表示通りの量を守って与えてください。
  • 水分を多く取ることが重要なので、常に新鮮な水を用意してください。

ご不明な点や愛犬の具体的な状況があれば、獣医師と相談して最適な療法食を選びましょう。

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