目次
はじめに
この記事の目的
犬用フードスタンド（食器台）を手作りして、愛犬に合った使いやすさと安全性を確保する方法を分かりやすく解説します。材料や道具、基本の作り方から工夫のポイント、注意点、実例やよくある疑問まで順を追って説明します。
読者対象
・初めてDIYに挑戦する方
・既製品が合わないと感じている飼い主さん
・愛犬のサイズや食べ方に合わせて調整したい方
本記事で学べること
- 手作りするメリット（使い勝手やコストなど）
- 必要な材料と道具の選び方
- 基本的な作り方の手順と簡単な図解の考え方
- よく使われる工夫や素材ごとの特徴
- 安全に使うための注意点とメンテナンス法
- 実例アイデアとQ&Aで疑問に答えるポイント
進め方の目安
各章は短く分かれています。まず第2章でメリットを確認し、第3章で材料を揃え、第4章の手順に沿って作業してください。初めての方でも無理なく進められるよう、丁寧に説明します。ご不明点は第8章のQ&Aで確認してください。
犬用フードスタンドを手作りするメリット
1. 体格に合わせて負担を減らせる
犬の胸郭や脚の長さは個体で違います。手作りなら高さをぴったり合わせられ、首を下げる角度や背中・腰への負担を軽くできます。食事の姿勢が自然になると、消化や飲み込みも安定しやすくなります。
2. コストを抑えられる
市販の高機能なスタンドは高額になることがあります。身近な材料を使えば、必要な機能だけを盛り込んで低予算で作れます。修理や改良もしやすく、長く使えます。
3. デザインや使い勝手を自由にできる
自宅のインテリアに合わせた色や形に作れます。器の固定方法や傾斜、深さなどを犬の好みに合わせて調整できます。高さ調整や取り外し式にすれば複数の犬にも対応できます。
4. 機能面での工夫がしやすい
滑り止め、角や縁の丸め加工、器の取り外しやすさなど、細かな配慮を自分で追加できます。抗菌塗料やコーティングで清潔に保ちやすくすることも可能です。
5. 多目的に使える
使わなくなったときは、植物ホルダーや小物置きに転用できます。再利用を前提に作ると廃棄も減り、環境にもやさしい選択になります。
手作りフードスタンドの材料と道具
必要な材料
- 木材（天板・脚用）: 合板や無垢材を使用。天板は厚さ12〜18mmが扱いやすく丈夫です。寸法は愛犬の体高に合わせて決めます。
- 丸棒（ダボ）: 滑り止めや補強に使います。直径8〜12mmが一般的。
- 滑り止めネット・シート: フードボウルの下に敷くために100円ショップのシートで十分です。ズレ防止になります。
- 仕上げ材（アマニ油や水性ニス）: 食品に触れる可能性を考え、食品に安全なオイルや水性ニスを選びます。
主な道具
- 電動ドライバーまたはドリル: ビス締め、下穴あけに便利です。
- 木工用ビス・木工用ボンド: しっかり固定するときに両方使います。ビスは長さが板厚に合うものを選びます。
- ノコギリ（手ノコ・丸ノコ）: 材料のカット用。扱いやすいサイズを選んでください。
- ヤスリ（紙ヤスリ）: 角を落として滑らかにします。目の粗さは中目→細目と順に使うと仕上がりが良いです。
- ダボ錐（ダボ用ビット）やグルーガン: 接合強化や小物の固定に便利です。
- メジャー・鉛筆・クランプ: 寸法確認、印付け、固定に使います。
- 保護具（手袋・保護メガネ）: 安全第一で作業してください。
100円ショップで代用できるアイテム
- 折りたたみミニテーブル（天板代わり）
- ワイヤーネットや滑り止めマット（仕切りやボウル置き）
- ゴム脚・フェルトシール（床傷防止）
作業前に材料のサイズや仕上げの安全性を確認してから準備すると、安心して制作できます。
犬用フードスタンドの作り方（基本手順）
STEP1：木材の準備とヤスリがけ
ホームセンターや100均で板材を購入し、必要なサイズにカットしてもらいます。板の厚みは12〜18mmが扱いやすく丈夫です。粗い紙やすり（120番）で角を落とし、仕上げに細かい紙やすり（240番）で滑らかに整えます。角は丸く（3〜5mm程度）して犬が当たっても痛くないようにします。作業中はほこりに注意し、布で表面を拭いてください。
STEP2：高さとサイズの決定
犬の肘（前脚の内側の関節）高さを床から測り、器の縁がほぼ同じ高さか、やや下になるようにします。目安は小型犬8〜12cm、中型犬12〜16cm、大型犬16〜20cmです。天板の幅と奥行きは器の直径＋4〜6cm程度の余裕を持たせます。2つ並べる場合は器同士の間を3〜5cm空けると飲食がしやすくなります。
STEP3：パーツの組み立て
脚と天板を合わせる前に、接合部に下穴（ドリルで小さめの穴）をあけます。木工用ボンドを塗り、クランプで固定してから木ねじを入れると強度が出ます。ねじは板の厚さより短めを選び、頭を沈める（座ぐり）と仕上がりがきれいです。高さ調整をしたい場合は、脚に数段の穴を開けてダボやボルトで差し替える方式が便利です。
STEP4：滑り止め・仕上げ
器が滑らないように天板の穴周りにシリコンリングやゴムパッキンを付けます。脚裏には滑り止めシートやフェルトを貼り、床を傷つけないようにします。仕上げは犬に安全なオイル（ミネラルオイルや食用成分で作られたウッドオイル）や水性ウレタン塗料を使い、塗料は十分に乾燥させてから使用してください。最後にねじや角が出ていないか確認して完成です。
手作りフードスタンドでよくある工夫・ポイント
1) 高さと角度を調整できる構造
成長や体調の変化に合わせて高さを変えられると長く使えます。犬の肩の高さを測り、食器の縁が胸に当たらない位置に設計します。ねじで固定する脚や、複数段階に差し込めるスリット、蝶番で角度を変える仕組みが使いやすいです。調整幅は犬の体格に応じて2〜10cm程度を目安にします。
2) 食器のずれ防止と安全対策
丸棒や縁を付けて食器が滑り落ちないようにします。ゴム足や滑り止めマット、シリコンリングを底に貼ると床に固定されます。滑り止めネットや結束バンドで軽く固定すると、食べている最中のずれを防げます。
3) 100均グッズの活用術
コルクシートやシリコンマット、L字金具、すべり止めシール、発泡パネルは便利で安価です。発泡パネルを台座に使い、コルクで滑り止めや食器受けを作ると手軽に仕上がります。
4) 角を丸く仕上げる
角はヤスリやサンドペーパーで面取りし、ペンキは犬用に安全な水性塗料を使います。角を丸くするだけでぶつかったときの怪我を減らせます。
5) 端材の活用とコストダウン
余った板や丸棒を支柱や仕切りに使うと費用を抑えられます。ただしささくれや強度不足には注意し、必要なら補強やコーティングをしてください。
手作りフードスタンドを使う際の注意点
高さの調整
愛犬の肘（前足の付け根）と床との高さを目安に、器の縁がその高さに来るようにします。大型犬はやや高め、小型犬は低めにし、顔を下げすぎない状態を保ちます。高さが合っていないと首や関節に負担をかけるため、最初は短時間ずつ様子を見て調整してください。
安定性と転倒防止
底に滑り止め（ゴム脚やシリコンパッド）を付け、接合部はネジや接着剤で補強します。軽さや形状で倒れやすい場合は重りを入れるか、床にしっかり置ける構造にすることが大切です。
食器の素材と清潔さ
取り外して洗えるステンレス製ボウルを使うと衛生的です。プラスチックは傷つきやすく菌が残ることがあるため、頻繁に交換・点検してください。毎日洗い、しっかり乾かします。
木材の処理と塗料の安全性
ささくれや角をサンドペーパーで丸くし、口に触れる部分は滑らかに仕上げます。塗料やニスは必ず「食品に触れても安全」と明記された水性塗料や食品用のシーラーを選んでください。
使用時の監視と適応
最初は食事中の様子を観察し、食べにくそうなら高さや角度を調整します。子犬や噛む癖のある子は破損や誤飲に注意し、劣化が見られたらすぐ修理・交換してください。
床の保護と滑り対策
床が濡れたり傷ついたりするのを防ぐために、防水マットを敷きます。滑り止めマットを併用すると安定性が増します。
実例・アイデア集
以下に実際に作られた例とアイデアを分かりやすく紹介します。簡単な工夫や注意点も添えました。
高さ・角度調整ができる木製フードスタンド（カインズの木材利用例）
カインズの角材や合板を使い、棚板を複数段に取り付けられる構造にします。犬の体高に合わせて10〜30cm程度で調整すると食べやすくなります。ボルトとナットで固定するか、複数の取り付け穴をあけて角度を変えられるようにすると便利です。
ナチュラルテイストの角材スタンド（アマニ油仕上げ）
角材をそのまま組んで、紙やすりで滑らかにしてからアマニ油を塗ると温かみのある風合いになります。塗布後は十分に乾燥させ、ペットが舐めても問題ないことを確認してください。
100均グッズを活用した簡易スタンド
折りたたみミニテーブルやワイヤーネット、結束バンドを組み合わせれば短時間で作れます。洗いやすさを優先して、取外しできるトレーを載せると衛生的です。
余った端材で作るカスタムスタンド（自動給餌器にも対応）
端材を組み合わせて器の受け皿を広めに作れば自動給餌器の設置も可能です。振動や重さに耐えるように接合部を補強し、滑り止めを付けてください。
使わない時は植物ホルダーとしても転用可能
ボウルを外して鉢を置けばインテリアに早変わりします。土が落ちないよう受け皿を敷くと掃除が楽になります。
Q&A・よくある疑問
Q1: どのくらいの高さがベストですか？
犬の体高や首の位置に合わせるのがいちばんです。一般的には食器の縁が床から8〜20cm程度が目安。小型犬は低め（8〜12cm）、中型は中間、大型は高め（15〜20cm）にしてください。首を不自然に曲げずに食べられる高さが理想です。
Q2: DIY初心者でも作れますか？
はい。簡単な構造（板に脚を付ける程度）なら道具と寸法さえ守れば初心者でも作れます。100均の材料や簡単な工作キットを使うと失敗が少なくなります。
Q3: どんな犬にも合いますか？
基本はサイズ調整で対応できます。食器の直径や高さを犬の口の大きさと食べ方に合わせてください。高齢犬や首に問題がある子は高さを高めにすると負担が減ります。
Q4: 木材の安全性は大丈夫ですか？
角をしっかり丸くし、表面を滑らかにやすりがけしてください。仕上げは食品対応のミネラルオイルや蜜ロウワックスなど安全な塗料を使うと安心です。塗装ラベルを確認して食品に触れても問題ないか確かめてください。
Q5: その他よくある注意点は？
・滑り止めを付けて安定性を確保する。
・洗いやすいステンレスボウルを使い、台は濡れに強い仕上げにする。
・尖った部分やはがれやすい塗装がないか定期点検する。