はじめに
本資料の目的
本資料は、柴犬の健康を守るための「適切な給餌量」をわかりやすく整理したガイドです。体重や年齢ごとの目安、ドッグフード別の違い、ライフステージ別の注意点などを調査・分析し、日常で使える具体的な数値や判断ポイントを示します。飼い主さんが毎日の給餌に自信を持てるように作成しました。
対象読者
- 初めて柴犬を飼う方
- 給餌量で悩んでいる方
- 獣医師の指示を補う参考情報が欲しい方
専門用語をできるだけ避け、実例で説明しますので、どなたでも読みやすい内容です。
本書の構成と使い方
1章(本章):目的と読み方の案内
2章:給餌量の基本原則(測り方や単位の説明)
3章〜5章:ライフステージ別の具体的な給餌量(子犬・成犬・シニア)
6章:フード製品ごとの違いと選び方
7章:給餌時の注意点とトッピング時の対応
各章は目安と実例を示します。普段の体重管理にすぐ使える表や計算法も載せます。
注意事項
個体差がありますので、本資料はあくまで目安です。体調不良や急激な体重変化がある場合は、速やかに獣医師に相談してください。
柴犬の給餌量の基本原則
給餌量が変わる主な要因
- 体重:重いほど必要量は増えますが、体格差も考慮します。
- 年齢:子犬・シニアは代謝が違うため量や回数を変えます。
- 運動量:活発に運動する犬は多めに必要です。
- 体調・避妊去勢の有無:ホルモンや病気で必要カロリーが変わります。
目安となる一日の量
成犬の体重1〜10kgの場合、1日の給餌量はおおむね25〜140gが目安です。これはドッグフードのカロリー密度で変わるため、パッケージの給餌表を参考にしてください。目安はスタート地点と考え、個体差に応じて調整します。
給餌回数とタイミング
1日2回に分けて与えることをおすすめします。朝と夕の2回に分けると、消化の負担が軽くなり、血糖値の急上昇を防げます。運動直後の大量給餌は避け、落ち着いてから与えてください。
実際の調整方法
- 体重を週に一度測る
- 肋骨が軽く触れるか、ウエストが見えるかで体型を確認する(簡単なボディコンディションで判断)
- 体重が変われば給餌量を10%程度ずつ調整する
- おやつは総摂取量に含める
注意する症状
食欲低下や急激な増減、嘔吐・下痢が続く場合は獣医師に相談してください。特に急に体重が増えると関節負担や内臓への影響が出やすいです。
子犬期の給餌量
成長期の特徴
子犬は骨や筋肉、内臓が急速に成長するため、カロリーとたんぱく質の需要が高くなります。体格が変わりやすいため、体重と体つきをこまめに確認して給餌量を調整します。
給餌量の目安(生後6〜12ヶ月)
以下は1日のドライフードの目安量です。製品ごとのカロリー密度で差が出ますので、パッケージの表示と照らし合わせてください。
- 体重4kg:約120g/日
- 体重5kg:約141g/日
- 体重6kg:約162g/日
離乳初期の目安(生後4〜5ヶ月)
離乳したばかりの時期は少量を回数多く与えます。
- 体重2〜5kg:35〜75g/日
- 体重5〜10kg:75〜125g/日
調整のポイント
- 活動量:よく遊ぶ子は多め、静かな子は少なめに調整します。
- 体格:やせ気味なら増量、ふっくらしてきたら減量します。
- フードの種類:高カロリーのものは量を減らし、低カロリーは増やします。
給餌回数と管理
子犬期は1日3〜4回に分けて与えると消化と血糖の安定に役立ちます。体重は週に1回または2週間に1回チェックして、目安量から微調整してください。体調不良や急激な体重変化があれば獣医師に相談してください。
成犬期の給餌量と体重管理
目安の給餌量
成犬期(生後1~2歳以降)は子犬期より給餌量を減らします。体重別の目安は次の通りです。4kg:約94g/日、5kg:約111g/日、6kg:約127g/日。一般に体重5~10kgの成犬は1日あたり80〜140g程度が目安です。
給餌方法と回数
基本は1日2回に分けて与えると消化に優しく、食事の管理がしやすくなります。ドライフードは付属のカップかキッチンスケールで正確に量りましょう。自由給餌(常時置き餌)は体重管理が難しくなるため避けます。
体重管理の実践
月に1回は体重を測り、ボディコンディション(肋骨が触れるか、腰のくびれがあるか)を確認します。体重が増えすぎたら給餌量をまず10%程度減らし、2〜4週間で再評価します。逆に痩せている場合や運動量が多い場合は10%程度増やします。おやつは総摂取カロリーの10%以内に抑えてください。
給餌量調整の具体例
・5kgの子が140gで太り気味なら、まず125g(約10%減)にして経過を見ます。2〜4週間で体重が落ちない場合は再度調整します。・6kgで活動的なら127gの目安に対して約140gまで増やしても構いませんが、体重を見ながら調整してください。
注意点
過剰給餌は肥満や関節疾患のリスクを高めます。急激な増減や食欲の変化が続く場合は獣医師に相談してください。定期的な測定と小さな調整を習慣にすると、柴犬の健康を長く守れます。
シニア犬期の給餌量
シニア期の特徴
7歳以上の柴犬は代謝が落ち、運動量や消化機能も低下します。そのため、若い頃と同じ量を与すと体重が増えやすくなります。栄養は不足させず、カロリー過多を避けることが大切です。
目安の給餌量
- 小型~やせ型の目安(参考):
- 体重2~4kg:16~38g/日
- 体重5~7kg:36~68g/日
- 体重8~10kg:52~72g/日
- 別の一般的な目安(メーカー表示に近い幅):
- 体重1~4kg:25~70g/日
- 体重5~10kg:83~139g/日
これらはあくまで目安です。フードのカロリー(kcal/100g)や個体差で必要量が変わります。メーカー表示と獣医の指示を比較して決めてください。
個別に調整する方法
- 体重を月に1回程度測り、増減があれば給餌量を5~10%ずつ調整します。
- 運動量が少ない子は目安の下側から始め、活発な子は上側を試します。消化不良や体調不良があれば量を減らし、獣医に相談してください。
食事の質と与え方の工夫
- 高齢期は消化しやすく、栄養密度の高いフードを選びます。たんぱく質は適量を保ち、脂肪は過剰にならないよう注意します。
- 歯が弱くなる子はふやかしたドライやウエットを混ぜて与えると食べやすくなります。
- 間食はカロリー源になりやすいので控えめにします。
健康チェックのポイント
- 体重・被毛・便の状態・食欲を定期的に確認します。体重が増えれば給餌量を減らし、痩せている場合は高栄養の食事や獣医指導を検討します。
- 関節や腎臓などの疾患がある場合、特別な管理食や量の調整が必要です。獣医師の指示に従ってください。
ドッグフード製品ごとの給餌量の違い
製品ごとの給餌量が異なる理由
ドッグフードは成分や水分量、カロリー密度が製品ごとに違います。たとえば、水分の多い生食は同じ体重でも与えるグラム数が多くなり、乾燥したフードは少なめになります。ラベルに記載された「給餌量」はその製品の栄養設計に基づく目安ですので、必ず確認してください。
主な製品の特徴と目安
- ブッチ(生食系): 水分が多くカロリー密度は低め。パッケージの目安では生後4~12か月の子犬や成犬で約103~272g/日とされることがあります。体重や活動量で幅があります。
- モグキューブ(小分けの総合栄養食): 小分量で与えやすく、子犬やシニア向けの目安は35~75g/日程度と示されることが多いです。
- プロマネージやファインペッツ: 各社で成犬・子犬・シニア別に細かく設定しています。パッケージや公式サイトの体重別給餌表を参照してください。
給餌量の読み方と調整方法
- まずパッケージの「体重別・年齢別給餌量」を確認します。2. 表示は製品ごとのカロリーに基づくため、別の製品に換えると同じグラム数では過不足になります。3. 体重や体型(肋骨の触れ具合、ウエストのくびれ)を毎週チェックして、体重が増えれば給餌量を10%程度減らし、減れば10%程度増やします。
製品選択時のポイント
- パッケージの給餌表を優先する。メーカーにより表記方法が違います。- 体重・年齢だけでなく活動量や避妊去勢の有無も考慮する。- 切り替えは7~14日かけて少しずつ行う。- 不安な場合は獣医師に相談してください。
給餌時の注意点とトッピング時の対応
全体の考え方
トッピングを加えるときは、全体のカロリーと栄養バランスを最優先に考えます。トッピング分のカロリーを把握して、いつものドッグフード量から差し引いてください。目安が分からないときは後述の計算手順を使います。
カロリー管理の基本手順
- まず犬の1日あたりの目標カロリーを確認します(体重・年齢・活動量に基づく)。
- トッピングのカロリーを調べます(食品成分表やパッケージを参照)。
- トッピング分を差し引いた残りをドッグフードで補うように給餌量を調整します。
例:ドライフードが100gあたり350kcalで、トッピングが50kcalなら、フードからは50kcal分(約14g)を減らします。
安全なトッピング例と避ける食品
安全例:加熱した鶏胸肉(皮なし)、かぼちゃ、にんじん、プレーンヨーグルト(無糖)を少量。
禁忌例:玉ねぎ、にんにく、チョコレート、ぶどう、キシリトールを含む製品は絶対に与えないでください。
実践のコツ(計量・頻度・変化の見方)
- スケールで重量を測ると正確です。軽量カップも便利ですが誤差に注意。
- トッピングは少量ずつ与え、体重や便の状態、食欲を数日観察してください。
- おやつや人からの食べ物もカロリーに含めて管理します。
獣医師や公式ツールの活用
不安があるときは獣医師に相談し、メーカーや動物栄養の公式計算ツールを使うと安心です。定期的な体重測定と記録を続け、必要に応じて給餌量を見直してください。