はじめに
対象と目的
本資料は、マルチーズの飼い主さん向けに作成しました。愛犬がごはんを食べないとき、原因を知ることが大切です。本調査は原因の分類と日常でできる対処法、ドッグフード選びやおやつとの関係までをわかりやすく解説します。
本書で扱う内容
- 病気や老化、ストレス、運動不足、食事習慣など、考えられる主な原因
- 飼い主が様子を見るべきか獣医へ相談すべきかの判断基準
- ごはんを食べさせるための工夫と具体例
- ドッグフードの選び方のポイント
- おやつの与え方とその影響
読み方のポイント
症状の重さは個体で異なります。短期間の食欲低下は家庭で様子を見てもよい場合が多いです。ただし、ぐったりしている、嘔吐や下痢が続く、飲水量が極端に変わるときは早めに獣医師に相談してください。本章以降を順に読み進めれば、原因の見立てと実践的な対処法が身につきます。安心して読み進めてください。
マルチーズがごはんを食べない7つの主な原因
はじめに
マルチーズがごはんを食べない理由は大きく二つに分かれます。病気や老化で食欲自体が落ちている場合と、食欲はあるのに食べない場合です。ここでは日常でよく見られる7つの原因を分かりやすく説明します。
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病気(腎不全・がん・胃腸疾患など)
病気が原因の場合、嘔吐・下痢・おしっこの量の変化・体重減少・元気のなさなどが見られます。これらが続くときは早めに動物病院を受診してください。 -
口のトラブル(歯周病・口内炎)
口を触られるのを嫌がる、よだれが多い、匂いがするなどは口腔トラブルのサインです。痛みで食べにくくなります。歯のチェックと治療が必要です。 -
老化による食欲低下
高齢になると嗅覚や味覚が弱まり、消化機能も低下します。柔らかい食事や温めたフードで食べやすくする工夫が有効です。 -
おやつや間食が多すぎる
おやつで満腹になり主食を食べないことがあります。量を管理して食事の時間を決める習慣をつけましょう。 -
運動不足
運動が足りないとエネルギー消費が少なくなり食欲が落ちます。散歩や遊びを増やして生活リズムを整えましょう。 -
わがまま・しつけの問題
飼い主の反応で食べないことがあります。残すと構ってもらえる場合など、習慣化していることがあります。根気よく規則正しい食事を続けましょう。 -
食事の味や環境の問題
フードの匂い・温度・形状が好みに合わない場合や、食事場所が落ち着かないと食べないことがあります。別のフードを試す、温める、静かな場所で与えるなど工夫してください。
各原因には対処法がありますが、体調不良のサインがあるときはまず獣医師に相談することをおすすめします。
様子見の判断基準
基本の目安
ご飯を食べないとき、元気があり嘔吐や下痢がないなら、丸1日は様子を見てよいです。小型犬は体重の変化が響きやすいため、普段より静かでないか、ぐったりしていないかを確認してください。
すぐ受診が必要なサイン
- 明らかな体重減少や体格(BCS)の悪化が見られる場合
- 繰り返す嘔吐や血の混じった下痢
- ぐったりして動かない、呼吸が速い、震える
- 口の粘膜(歯茎)が白い・乾いている(脱水や貧血の可能性)
- 高熱や発熱(目安:38.0〜39.2℃を大きく外れる)
特に注意するケース
子犬・高齢犬・持病のある犬は、24時間以内でも早めに獣医師に相談してください。マルチーズなどの小型犬は短時間の食欲不振でも影響が出やすいです。
家での観察と記録方法
- 食事量と水分摂取量を時間ごとにメモする
- 排泄の状態(回数・形)を記録する
- 体重をこまめに測る(小型犬は数百グラムの変化が重要)
家庭でできる簡単な対応
- いつものおやつや温めたフードを少量出す
- 無理に食べさせず、水分補給を優先する
- 24時間以上改善がなければ獣医に相談する
以上を目安に、愛犬の普段との違いをよく観察してください。異変があれば早めに受診することをおすすめします。
ご飯を食べさせるための工夫
はじめに
病気が原因でない場合、環境や与え方を工夫すると食欲が戻ることが多いです。小さな変化を1つずつ試して、愛犬の反応を見ましょう。
食事環境の改善
静かで落ち着ける場所に食事スペースを作ってください。足音やテレビの音が少ない場所がよいです。食器は清潔に保ち、滑り止めマットを敷くと安心します。
食事台の位置変更
高すぎる台や低すぎる場所は負担になります。マルチーズは背丈が小さいので、床置きか低めの台が向きます。複数頭いる場合は分けて与えると争いを避けられます。
食事時間や回数の調整
1回で大量に与えず、1日に2〜4回に分けて少量ずつ与えると食べやすくなります。時間を決めて15〜20分で下げるルールにすると習慣化しやすいです。
食事の形状変更
ドライフードはぬるま湯でふやかす、ふりかけや無塩の出汁で風味をつける、ウェットフードや茹でた鶏ささみを少量混ぜるなど試してください。ただし塩分や脂肪が多いものは控えめに。
飼い主の接し方の改善
食事中に過度に構ったり叱ったりするとストレスになります。穏やかに「どうぞ」と促し、食べたら褒める習慣をつけてください。無理に口に入れるのは避けます。
ストレスや不満の観察と解消
運動不足やトイレ環境、ブラッシングの嫌がりなどが原因になることがあります。散歩や遊び、安心できる休憩場所を整え、行動の変化があれば記録して獣医に相談してください。
実践の進め方と注意点
一度に多くの方法を試すと原因が分かりにくくなります。1つずつ変えて1週間程度様子をみてください。体重減少や元気がない場合は早めに獣医師に相談しましょう。
ドッグフード選びのポイント
主原料は動物性タンパク質を優先
主原料にチキン、サーモン、ラムなど良質な動物性タンパクが使われているか確認します。マルチーズは筋肉や被毛のケアにタンパク質を必要としますので、肉が先に書かれている表示が望ましいです。
消化吸収の良さを重視
原材料や消化率が明記されている製品を選びます。粒の大きさや形は食べやすさに影響するため、子犬や歯の弱い成犬には小粒やソフトタイプが向きます。
グレインフリー・添加物不使用
麦やトウモロコシにアレルギーがある場合はグレインフリーが選択肢になります。合成保存料や着色料が入っていない商品は長期的に安心です。
機能性成分のチェック
乳酸菌やオリゴ糖は腸内環境を整え、免疫も助けます。EPA・DHAは被毛のツヤや関節の健康に有効です。これらが配合されていると消化器や皮膚ケアに役立ちます。
年齢・体質に合わせる
子犬用、成犬用、シニア用と年齢別に栄養バランスが違います。体重管理が必要な子は低カロリー、アレルギーがある子は限定原料を選びます。
試し方と切替方法
初めは少量のサンプルや小袋で試し、1〜2週間かけて徐々に切り替えます。食欲不振や消化不良が続く場合は獣医に相談してください。
保存と与え方の注意
開封後は密閉容器で冷暗所に保管し、長時間の放置は避けます。お湯で少しふやかすと香りが立ち、食べやすくなります。
おやつとの関係
原因と考え方
ご飯を食べないのにおやつは喜んで食べる場合、多くは“選り好み”や“期待行動”です。飼い主が食べないと心配して代わりにおやつを与えると、犬はそれを学習します。マルチーズのような小型犬は味の好みがはっきりしやすく、ついわがままになりがちです。
具体的な対処法(ステップ)
- おやつを一時的に中止します。毎回与えるのをやめることで、ご飯を待つ動機が戻ります。2. 食事時間を決め、一定時間(例:15〜20分)で片付けます。食べなければ次の食事まで与えません。3. 食事の回数や量は体重に合わせて調整します。小型犬の子や体調不良が疑われる場合は無理をせず獣医に相談してください。
おやつの選び方と与え方
おやつは総カロリーの目安10%以内に抑え、低カロリーで小さく割れるものを選びます。高価値なおやつは訓練時に少量だけ与え、ご飯の代替にしないでください。フードを少量混ぜて“美味しさ”を補うのも有効です。
注意点と相談の目安
子犬や体重の軽い子は長時間食べないと低血糖のリスクがあります。24時間以上ほとんど食べない、嘔吐やぐったりが続く場合はすぐに受診してください。日常は規則正しい食事とおやつのルールで、食事習慣を整えていきましょう。