犬用フード・おやつ

犬のエサの計算方法を初心者向けにわかりやすく解説

はじめに

目的

この章は、本資料の全体像と使い方を分かりやすく説明します。犬の体重や活動量に基づいて、適切な給餌量を算出する手順を学べます。愛犬の健康管理に役立つ実践的な方法を丁寧に示します。

対象読者

  • 初めて給餌量を計算する飼い主さん
  • フードの量で迷っている方
  • 獣医師やトリマーの指導を受けているが、自分でも確認したい方

本資料の構成と使い方

全5章で進めます。まず基本概念を理解し、次にRER(安静時のエネルギー量)を求めます。その後、犬の年齢や活動に応じたDER(1日あたりの必要エネルギー量)を算出し、最後にフードのカロリーから実際の給餌量を計算します。各章で具体例と計算の手順を示しますので、段階的に進めてください。

注意点

個体差があります。病気や妊娠、体重管理の必要がある場合は獣医師に相談してください。本資料は一般的な指針としてお使いください。

犬の給餌量計算の基本概念

はじめに

犬の1日あたりの給餌量は体重だけで決められません。基本はRER(安静時エネルギー要求量)とDER(1日のエネルギー要求量)という指標を使います。これにより、個々の犬の運動量や被毛、性別、季節などに合わせた給餌が可能になります。

RERとは

RERは安静時に必要なエネルギーです。計算式は「RER(kcal/日)=70×体重(kg)^0.75」です。例えば体重10kgの犬は約394kcalがRERの目安です。

DERとは

DERは実際に1日で必要なエネルギー量で、RERに犬の生活スタイルに応じた係数を掛けて求めます。例:
- 室内で落ち着いている成犬:RER×1.2〜1.4
- 活発に運動する犬:RER×1.6〜2.0
- 妊娠・授乳期はさらに増加します
例として、RERが394kcalの10kgの活発な犬は394×1.6≈630kcalが1日の目安です。

個別の要因と調整例

  • 消化能力・年齢:高齢や消化器疾患があると吸収率が変わります。
  • 運動量:散歩や仕事量で大きく変わります。
  • 被毛や季節:寒い時期はエネルギーが増えることがあります。
  • 性別・繁殖状況:避妊去勢や妊娠授乳で必要量が変わります。
    目安の調整例:体重を減らしたい場合はDERを約10%減らす、増やしたい場合は10〜20%増やして様子を見ます。

フードから実際の給餌量へ

フードのパッケージに記載されたカロリー(例:350kcal/100g)を使います。DERが630kcalなら、630÷350×100=約180gが1日の給餌量の目安です。カップ表示の場合は1カップ何gかを確認して換算してください。

注意点

個体差が大きいため、体重と体格スコア(ボディコンディション)を定期的に確認し、変化があれば給餌量を調整します。大きな体重変化や病気が疑われる場合は獣医師に相談してください。

ステップ1:RER(安静時エネルギー要求量)を求める

RERとは

RERは犬が安静にしているときに必要なエネルギー量です。基礎的な代謝量の目安で、まずここを計算します。日々の給餌量はこの値をもとに調整します。

計算式(2種類)

  • 簡易式:体重(kg)×30+70
  • 正確式:70×(体重(kg)^0.75)

簡易式は素早い見積もりに便利で、正確式は体重差がある小型・大型犬により適します。

計算の手順(例を見ながら)

  1. 体重をkgで用意します。
  2. 簡易式か正確式を選びます。

例:体重4kgの場合
- 簡易式:4×30+70=190 kcal
- 正確式:70×4^0.75=約198 kcal

例:体重8kgの場合
- 簡易式:8×30+70=310 kcal
- 正確式:70×8^0.75=約333 kcal

参考:体重別RER(正確式の目安)

  • 2kg:約125 kcal
  • 4kg:約198 kcal
  • 6kg:約262 kcal
  • 8kg:約333 kcal
  • 10kg:約394 kcal

補足と注意点

RERは安静時の値です。成長期、妊娠・授乳、活動量によって必要量は変わります。次の章で、これらを考慮した1日の必要量(DER)を求めます。

ステップ2:DER(1日のエネルギー要求量)を求める

DERとは

DERは1日に必要なカロリー量で、RER(安静時エネルギー要求量)に犬の活動係数を掛けて求めます。個々の犬の生活や健康状態で必要量が変わります。

活動係数の目安

  • 避妊・去勢済み成犬:1.6
  • 成犬(未避妊・未去勢):1.8
  • 低活動・肥満傾向の成犬:1.4
  • 子犬(生後0〜4か月):3.0
  • 子犬(4か月〜成犬期):2.0
  • 妊娠後期・授乳期:妊娠3.0、授乳は個体差あり(RER×2〜5程度)

具体例(計算の流れ)

  1. RERを求めます(例:体重4kgの犬)
    RER = 70 × 4^0.75 ≒ 198 kcal
  2. 活動係数を掛けます(避妊・去勢済み成犬=1.6)
    DER = 198 × 1.6 ≒ 317 kcal

別の例:体重8kg、肥満気味で低活動(係数1.4)
RER = 70 × 8^0.75 ≒ 333 kcal → DER ≒ 333 × 1.4 = 466 kcal

注意点

活動係数はあくまで目安です。実際の給餌量は体重の増減や体型(ボディコンディションスコア)を見て調整してください。特別な病気や治療中は獣医師に相談することをおすすめします。

ステップ3:フードのカロリーから給餌量を計算

計算式

1日の給餌量(g) = DER(kcal/日) ÷ フードのカロリー(kcal/100g) × 100

手順

  1. フード袋の表示で「kcal/100g」を確認します。表示が「kcal/カップ」なら、計量カップをはかりで重さに換算します。
  2. 上の計算式にDERを当てはめて計算します。
  3. 実際には調理スプーンやキッチンスケールで量を測って与えます。

具体例

体重4kgの犬でDERが316.8kcal、フードが300kcal/100gの場合:
316.8 ÷ 300 × 100 = 105.6g
約106gを1日分として、朝晩に分けて与えます。

注意点

  • ウェットフードはカロリー密度が低く、グラム数は多めになります。表示を必ず確認してください。
  • おやつやトッピングのカロリーも合算して調整してください。
  • 体重や体格の変化は週ごとに確認し、必要なら給餌量を5〜10%ずつ調整します。
  • 持病や妊娠・成長期の犬は獣医師に相談してください。

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