第1章: はじめに
本書の目的
本書はチワワの食事量について、年齢や体重に応じた実用的な情報を分かりやすくまとめたガイドです。子犬期からシニア期までの変化に対応した給餌量、回数、管理のコツを具体例とともに紹介します。
誰に向けているか
初めてチワワを迎えた方、現在の給餌量に不安のある飼い主さん、健康管理を見直したい方に向けています。専門用語を極力避け、日常で使える目安を中心に説明します。
本書で扱う主な内容
- 年齢別・体重別の適切な食事量の目安
- 給餌回数と時間の工夫
- 成長段階ごとの食事管理のポイント
- フードの種類による給餌量の違いと選び方
- 肥満予防や体重管理の実践的な方法
注意点
個体差が大きいため、食欲の急変や体重が極端に増減する場合は獣医師に相談してください。家庭でできる計量や観察を習慣にすると、早めに問題に気づけます。
読み方のポイント
各章は年齢ごとに分けて具体的な数値例を示します。愛犬の体格や活動量に合わせて調整し、無理のない範囲で実践してください。
チワワの食事量の基本原則
基本的な考え方
チワワは超小型犬で、個体差が大きい犬種です。体重、年齢、活動量、避妊去勢の有無、代謝の違いで必要な食事量が変わります。まずは体重と体型を基準にし、目安量を調整してください。
カロリーとフード表示の読み方
パッケージの給餌量はあくまで目安です。表示は一般的な活動レベルを想定しているため、愛犬の実際の体重変化を見て増減します。フードのカロリー(kcal/100g)を確認すると、違う商品間で比較しやすくなります。
腹八分目を意識する
満腹にするより腹八分目を目標にすることで肥満を防げます。食事の後に元気に動き、適度にお腹が落ち着いている状態が理想です。
少量を頻回に与える方法
チワワは胃が小さいため、1回の食事量を少なめにして回数を増やすと消化に優しいです。成犬で1日2回、子犬は1日3〜4回に分けることを検討してください。
体重管理と調整の手順
毎週または隔週で体重を計り、理想体重から±5%以内を維持します。体重が増えれば給餌量を5〜10%減らし、減れば同程度増やします。おやつのカロリーも計算に入れてください。
注意すべきサイン
食欲不振、嘔吐、下痢、急激な体重変化、毛づやの低下が見られたら獣医師に相談してください。特に急な変化は病気のサインであることがあります。
成長段階別の食事量と給餌方法
生後2ヶ月(離乳直後)
少量を1日4回に分けて与えます。離乳食はふやかしたドライフードや缶詰を用い、舌で簡単に潰せる固さにします。消化力が弱いため一度に多く与えないでください。
生後3〜4ヶ月
成長が早いため給餌量をやや増やします。1日3〜4回に分け、4ヶ月頃からは3回に減らします。フードは徐々に水分を減らして固さを上げます。
生後4〜7ヶ月
活動量に合わせて体重管理を行います。1日3回を基本とし、成長のピークを過ぎたら量を徐々に調整します。歯の発達に合わせて固形を増やします。
生後8〜12ヶ月
ほとんどのチワワはこの時期に1日2回へ移行できます。1日2回にしても体重が安定しているか確認し、必要なら獣医に相談してください。
給餌量の目安(体重別・1日)
- 成犬予想1kg:生後2ヶ月60–90g、4ヶ月50–70g、8–12ヶ月35–55g
- 成犬予想2kg:生後2ヶ月100–140g、4ヶ月80–110g、8–12ヶ月60–90g
- 成犬予想3kg:生後2ヶ月140–180g、4ヶ月110–140g、8–12ヶ月90–120g
(フードのカロリーや運動量で前後します)
フードの形状と移行方法
ふやかす量を数日おきに減らし、2週間程度で固形に移します。歯の生え変わりや食欲を観察し、詰まりやすければ一旦戻してください。
注意点
体重が増えすぎる・減りすぎる場合は量を見直し、病気や便の状態に異変があれば早めに獣医に受診してください。個体差を優先して調整することが大切です。
成犬期(1歳~10歳)のチワワの食事量
成犬期の目的と理想体重
成犬期の目的は体重と健康の維持です。理想体重は一般に1.5〜2.5kgを目安にします。急激な増減を避け、安定させることが大切です。
1日のカロリー目安
目安のカロリーは1日あたり60〜100kcalです。より正確には体重1kgあたり30〜40kcalを基準に調整します。例えば体重2kgのチワワなら60〜80kcalが目安です。
給餌量(ドライフード)の目安と計算方法
市販のドライフードは商品によってカロリー密度が異なります。100gあたり約350〜400kcalが一般的です。給餌量はフードのパッケージに記載されたkcal/100gを確認して計算してください。具体例:
- 2kgで必要60kcal、フードが1gあたり3.5kcalなら60÷3.5=約17g
- 同じ条件で80kcalなら約23g
パッケージ表示で50〜100gとある場合は、そのフードのカロリー密度やおやつの量も含めた目安です。
給餌回数と時間帯
基本は1日2回、朝と晩に分けて与えます。食べ残しが続く場合は量を調整し、無理に全部食べさせないでください。
体重管理と調整のポイント
月に1回は体重を測り、肋骨が薄く触れるかなど体型(ボディコンディション)もチェックします。体重が増えれば給餌量を5〜10%減らし、減れば同じ割合で増やします。おやつは総カロリーの10%以内に抑えてください。
注意点
持病や避妊・去勢後はカロリー需要が変わります。体調に不安があるときは獣医師に相談してください。
シニア期(10歳以上)のチワワの食事量
概要
シニア期は活動量が減り太りやすくなります。1日の目安は50〜90kcal、食事量は18〜30g、給餌回数は1日2回です。体重や活動量に応じて調整してください。
食事のポイント
- カロリーを控えめに:脂肪や過剰な炭水化物を抑えたシニア用フードへ切替えを検討します。
- 消化にやさしい成分:消化しやすいタンパク質(鶏ささみなど)、食物繊維(野菜由来)を含むと内臓負担が減ります。
- 低ナトリウム・低リン:腎臓や心臓に配慮した成分が望ましいです。
- 水分補給:ウェットフードを混ぜるか温めて与えると水分摂取が増えます。
給餌方法と調整
- 給餌回数:1日2回、朝・晩に分けます。
- 移行方法:新しいフードへは7〜10日かけて徐々に切替えます。
- 量の調整:体重の増減があれば10%程度ずつ調整します。急な変更は避けます。
サンプル(目安)
- 体重2.5kgの子:総カロリー約60〜75kcal、フード量約20〜25gを朝晩に分けて給餌します。
健康管理の注意点
- 月1回は体重と体型(ボディコンディション)を確認してください。
- 食欲低下・嘔吐・下痢・多飲多尿が見られたら早めに動物病院へ。サプリや療法食は獣医と相談して導入してください。
フードの種類による給餌量の違い
ドライフード
ドライフードは給餌量を決めやすい基本です。パッケージに記載された「目安量」を基準に、年齢や体重、活動量で微調整します。計量カップでは誤差が出やすいので、できればキッチンスケールでグラムを量ると正確です。
ウェットフード・ソフトフード
ウェットやソフトは水分が多く、重さ当たりのカロリーが低くなります。目安としては、同じカロリーを確保するためにドライフードの1.5~2倍の量(重量)を与える必要があります。例えばドライ20gが適量なら、ウェットでは30〜40gを目安にしてください。ただし、メーカーのカロリー表示(kcal/100g)を確認して調整するほうが確実です。
手作り食(自家製)の場合
材料ごとにカロリー差が大きくなります。肉や油は高カロリー、野菜や水分の多い食材は低カロリーです。レシピが決まっている場合は一食分の総カロリーを算出し、普段のフードのカロリーと比べて与える量を決めてください。栄養バランスが偏ると健康を損なうので、長期で与える際は獣医や栄養士に相談しましょう。
ミックス給餌(ドライ+ウェット)の注意点
風味付けや食いつき向上のために混ぜる場合、全体のカロリー量を把握しておきます。ウェットを足すならドライを減らして「総カロリーが変わらない」ように調整してください。歯の健康を考え、ウェットのみで長期間にすると歯垢が付きやすくなる点にも注意が必要です。
与え方の実例とチェックポイント
・体重2kgの成犬でドライが20gなら、ウェットは30〜40gを目安に。体重・活動量で増減します。
・必ず器は計量し、毎日体重をチェックする習慣をつけます。
・便の状態や体重の変化を見て、数日ごとに微調整してください。
・特別な療法食やアレルギーがある場合は獣医の指示に従いましょう。
種類によって給餌量が大きく変わります。パッケージのカロリー表示を確認し、体重や便の状態を見ながら調整することが一番確実です。