目次
はじめに
本書の目的
このドキュメントは、ドッグフードを混ぜて与えるときの安全性や注意点、具体的な方法をやさしく解説します。異なるメーカーや種類を合わせる場合や、新しいフードへの切り替え、療法食との併用についても取り上げます。
想定する読者
犬を飼っている方全般が対象です。初めてフードを切り替える方、複数のフードを併用している方、愛犬の食事で迷っている方に向けて書いています。
本書でわかること
- フードを混ぜるときの基本的な考え方
- 違うタイプやメーカーを混ぜる際のポイント
- 切り替えの具体的な手順(少しずつ混ぜる方法)
- 混ぜる際のデメリットや注意点
- 混ぜても良いものと避けるべきもの
注意事項
療法食や獣医師の指示がある場合は、まずその指示に従ってください。愛犬の体調に変化があれば、早めに受診することをおすすめします。
ドッグフードは混ぜても大丈夫?基本の考え方
はじめに
複数のドッグフードを混ぜて与えることは、基本的に問題ありません。例えば、普段のドライフードに少量のウェットフードを混ぜると食いつきが良くなることがあります。長期で混ぜる場合は前提条件があります。
混ぜてもよいケース
- どちらのフードも「総合栄養食」であること。これが最も大切です。
- 年齢別・犬種別で特に調整されていない「オールステージ」「全犬種対応」の表示があると安心です。
- ウェットをトッピングする程度の少量混ぜは、栄養バランスを大きく崩しにくいです。例:ドライ100gにウェット10〜20g。
混ぜない方がよいケース
- 子犬用と成犬用、避妊・去勢用やシニア用など、栄養配合が異なるものを無造作に混ぜると意図しない栄養過多や不足になります。
- 療法食(病気用)同士や療法食と一般食の混合は避けてください。必ず獣医師と相談してください。
- アレルギーがある場合は、成分表をよく確認して混ぜないほうが安全です。
給餌量と栄養バランスの考え方
- 複数のフードを混ぜると、各パッケージに書かれた給餌量はそのまま使えません。合計のカロリー量で調整する必要があります。
- 簡単な方法:犬の体重から1日の必要カロリーを把握し、それぞれのフードの100gあたりのカロリーで按分して合計量を決めます。細かい栄養素までは計算が難しいため、長期にわたって混ぜる場合は両方とも総合栄養食であることが重要です。
いつ注意するか
混ぜ始めてから便の状態や体重、被毛の艶、元気さに変化があればすぐに中止して獣医に相談してください。次章では、違うメーカーやタイプのフードを混ぜるときのより具体的なポイントを説明します。
違うメーカーやタイプのフードを混ぜる場合のポイント
基本の考え方
違うメーカーのフードを混ぜること自体は問題ありません。どちらも「総合栄養食」であれば、基本的な栄養バランスは大きく崩れにくいです。例えばA社のドライとB社のドライを半分ずつ混ぜても、日々の栄養を満たしやすくなります。
ドライフードとウェットフードを混ぜる
ドライとウェット(缶詰)も混ぜてかまいません。ウェットをトッピングに使う場合は、どちらも総合栄養食であることを確認してください。ウェットは水分が多く満腹感を出しやすいので、与える量で総カロリーが変わります。パッケージのカロリー表示を見て、1日の総摂取カロリーを調整しましょう。
療法食(処方食)は原則混ぜない
病気の治療目的で与える療法食は、成分や塩分、タンパク量などが調整されています。別のフードやトッピングを混ぜると治療効果が薄れる恐れがあります。療法食を混ぜたい場合は必ず獣医師に相談してください。
実践のポイント
- 初めは少量から混ぜ、1〜2週間様子を見ます。下痢や嘔吐、食欲の変化があれば中止します。
- アレルギーの既往がある場合は、成分表示をよく確認します。
- カロリーやたんぱく質の目安を比べ、過剰摂取にならないようにします。
- 不安があれば獣医師に相談してください。
新しいドッグフードへの切り替えは「少しずつ混ぜる」が基本
はじめに
新しいドッグフードに切り替えるときは、急に替えず「少しずつ混ぜる」方法が安全です。急な変更は下痢や嘔吐の原因になります。敏感な子ほどゆっくり行いましょう。
具体的な切り替え方法(例)
1日目:今のフード90%+新フード10%
2日目:今のフード80%+新フード20%
3日目:今のフード70%+新フード30%
…という具合に、1日ごとに新フードを10%ずつ増やし、1週間〜10日で完全に切り替えます。子犬・成犬・シニア犬すべてに有効な基本法です。
注意点と対処法
- よく混ぜる:ムラがあると一口ごとに成分が変わり不調の原因になります。よく混ぜてから与えてください。
- 便や食欲を観察:軟便や嘔吐が出たら、増やす割合を戻して様子を見ます。改善しなければ獣医に相談します。
- 水分調整:固さが違う場合はぬるま湯でふやかすと消化しやすくなります。
年齢別のポイント
- 子犬:成長に必要な栄養が変わるので、切り替えは特に慎重に。獣医と相談すると安心です。
- シニア犬:腎臓や歯の状態を配慮して柔らかくするなど工夫してください。
少しずつ切り替えることで、愛犬の体調を守りながらスムーズに新しいフードに馴染ませることができます。
ドッグフードを混ぜるときのデメリット・注意点
給餌量とカロリーの管理が難しくなる
フードを混ぜると、1日の必要カロリーを満たすための各フードのグラム数が分かりにくくなります。対処法は簡単です。
- 1. 犬の1日必要カロリーを確認する。
- 2. 各フードの表示(100g当たりのkcal)を確認する。
- 3. 目標カロリーを各フードのkcalで割ってグラムに換算する。
例:必要400kcalでAが350kcal/100g、Bが250kcal/100g、カロリー半々にするならAは約57g、Bは約80gになります。
食いつきや嗜好の変化
香りや食感が変わると食いつきが悪くなることがあります。特に好き嫌いのある犬は、混ぜることで好みのフードだけを残す「選り好み」を始めることがあるため、見守りが必要です。
療法食・アレルギーのある場合は原則混ぜない
療法食は病気の管理のために決められています。混ぜると効果が薄れる恐れがあるため、獣医の指示がない限り混ぜないでください。また、アレルギーが疑われる場合は新しい成分を避けるべきです。
保存状態・衛生に気をつける
ウェットフードとドライフードを混ぜると乾いた粒が湿り、傷みやすくなります。残した食事は早めに片づけ、保存は個別に行ってください。
目的を明確にして量を決める
味の変化、栄養調整、コスト節約など混ぜる理由をはっきりさせ、その目的に合わせて割合と量を算出してください。何をどれだけ混ぜるかが不明確だと、健康管理が難しくなります。
ドッグフードに混ぜても良いもの・注意が必要なもの
安全に混ぜやすい食材
- 野菜:にんじん、かぼちゃ、さつまいも、さやいんげんなど。よく加熱し、細かく刻むかすりおろしてから与えます。量は1日の給餌量の約10%以内が目安です。
- タンパク源:茹でた鶏むね肉や白身魚、よく火を通した卵(ゆで卵やスクランブル)。塩や香辛料は使わないでください。
- 果物:リンゴ(芯と種を除く)、バナナ。糖分があるので少量にします。
- 乳製品:プレーンヨーグルトは少量なら消化の助けになりますが、乳糖不耐の子は避けます。
- 水・ぬるま湯:ふやかす用途に安全です。子犬やシニア犬の咀嚼負担を減らします。
絶対に避けるべき食材
- 玉ねぎ・ネギ類(中毒の原因)
- チョコレート、カフェイン、アルコール
- ブドウ・レーズン(腎不全のリスク)
- アボカド、マカダミアナッツ
- キシリトール含有の食品(人工甘味料)
- 生の骨や調理済みの骨(裂けて喉や内臓を傷つける)
与え方のポイント
- 新しい食材は少量から始め、数日観察して便や体調を確かめます。
- 味付けや油分は控え、薄めのスープ少量で混ぜると食べやすくなります。
- 持病や特別な療方食中の犬は、獣医に相談してから混ぜてください。
小さな工夫で食事のバリエーションを増やせますが、安全第一で与えるようにしてください。