目次
はじめに
この文書は、マルチーズの飼い主さんが愛犬に合った餌を選び、健康に育てるための実用ガイドです。複数の情報源を統合し、マルチーズ特有の体質や悩みに配慮した餌選びのポイントを、分かりやすく丁寧にまとめました。
目的
・安全で栄養バランスの良い餌の選び方を具体的に示します。
・涙やけ、皮膚トラブル、関節のケアなど、マルチーズに多い悩みと餌の関係を解説します。
対象読者
・初めてマルチーズを飼う方
・現在のフードに不安がある方
・年齢や体調に応じた与え方を知りたい方
本書の構成と読み方
全7章で、体質の特徴、選ぶときの基本、具体的なおすすめ、涙やけ対策、運動と関節、年齢別の給餌量まで順序立てて説明します。各章は単独でも読めますので、気になる項目から参照してください。丁寧で実践的な情報を心がけていますので、日々のケアにお役立てください。
マルチーズの体質と餌選びの基本ポイント
体質の特徴
マルチーズは小型で被毛が長く、目の周りが濡れやすいため涙やけが出やすいです。皮膚が敏感でかぶれやすい個体も多く、歯が小さいため歯のトラブルや消化器の負担にも注意が必要です。運動量は小型犬としては中程度ですが、関節ケアを意識するほうが安心です。
栄養の基本ポイント
- 良質なタンパク質を中心に。肉・魚など動物性タンパクを優先します。\
- 脂肪とカロリーは過剰にならないよう調整。太りやすい体質の子は低カロリー寄りを選びます。\
- 消化の良さを重視。消化酵素やプロバイオティクス配合はおすすめです。\
- 皮膚・被毛を整えるオメガ3・6（魚油や亜麻仁油など）を含むこと。\
- 関節サポート成分（グルコサミン、コンドロイチンなど）も役立ちます。
成分ごとの具体的な注意点
- 穀物は過敏な子は反応することがあるため、低アレルゲンの種類（玄米やオートミール）やグレインフリーを検討します。\
- 人工的な着色料や保存料、香料は避けるほうが無難です。\
- 原料表示は最初に肉や魚が来ているかを確認してください。
餌の形状と与え方のポイント
- 小型犬用の小さめの粒を選ぶと噛みやすく飲み込みやすいです。\
- ドライとウェットを組み合わせると水分補給と食いつき向上につながります。\
- 一日に複数回に分けて与え、食べ残しや体重変化をこまめにチェックします。
選び方チェックリスト（簡単）
- 原材料の最初が肉・魚か\
- オメガ3・6やグルコサミン配合か\
- 人工添加物が少ないか\
- 粒の大きさとカロリーが体重に合っているか
これらを基準に、個体の体調や好みを見ながら最適なフードを選んでください。
マルチーズにおすすめされるドッグフードの共通特徴
良質な動物性たんぱく質が主原料
マルチーズは筋肉や皮膚を保つために良質なたんぱく質が必要です。主原料にチキンやラム、魚（サーモンなど）が使われているフードを選びます。具体例として「チキン生肉や加水分解でないラムミール」があると安心です。
小型犬に合わせた粒サイズと食感
粒が大きすぎると噛みにくく、飲み込みやすい形状だと誤飲の心配があります。直径約4〜6mmの小粒や、やわらかめの食感を採用している製品が食べやすいです。噛む力が弱い子にはソフトタイプを試してみてください。
人工添加物をできるだけ避ける
着色料・合成保存料・人工香料は不要な負担となることがあります。原材料表に短い、わかりやすい表記があるものを選ぶと安心です。天然の酸化防止剤（ローズマリー抽出物など）を使っているか確認しましょう。
皮膚・被毛・関節をケアする成分
被毛のツヤや皮膚の健康を守るために、オメガ3を含むサーモンオイルや亜麻仁（フラックスシード）が入っていると良いです。海藻類はミネラル補給に役立ちます。関節のためにはグルコサミンやコンドロイチン、緑イ貝（グリーンリップドマッスル）などが配合されていると安心です。
消化の良さとカロリー配分
小型犬は消化器が繊細です。消化しやすい原材料や適切な脂質バランスを持つフードが望ましいです。カロリーは過剰にならないように、表示の目安を守って与えましょう。
その他のチェックポイント
- アレルギーが心配な場合は単一たんぱく源（例：ターキーのみ）や穀物フリーを試す。
- ビタミン・ミネラルのバランスが取れているか確認する。
- 原材料の産地や製造ラインの情報が公開されていると信頼できます。
上記の特徴を目安にして、愛犬の体調や好みに合わせて選んでください。
具体的なおすすめフード（例）と特徴
獣医師監修の総合栄養食・プレミアムドライフード
獣医師の監修がある総合栄養食は、主原料に高品質な肉を使い、たんぱく質をしっかり確保しています。穀物の種類や量を調整し、消化に配慮したレシピが多いです。13種類以上のスーパーフード（例：ブルーベリー、ケール、チアシード、アスタキサンチンなど）を配合し、抗酸化作用や皮膚・被毛の健康、免疫サポートを狙った設計です。マルチーズ向けに小粒設計のものが多く、噛みやすく飲み込みやすい点が特徴です。
ウェット・チルドフード（食いつき重視の選択）
ウェットやチルドタイプは香りと食感が良く、食いつきが向上します。複数の肉（鶏・牛・魚など）や野菜、適度な穀物、海藻類をバランスよく配合した商品が多く、ビタミン・ミネラルも補強されています。トッピングとしてドライに混ぜると嗜好性が高まり、食事量が落ちたときの回復にも使えます。
使い分けの目安と特徴比較
- 主食として：栄養バランスが整ったプレミアムドライを基本に。保存性が良く、毎日の栄養を安定供給します。
- トッピング・食欲不振時：ウェットやチルドを少量混ぜて香りと水分を補給します。
選び方のポイント
成分表示で主原料が肉か確認し、人工着色料や香料の有無をチェックしてください。アレルギーがある場合はシンプルな原料のものを選び、獣医師と相談してください。
保存と与え方の注意
ドライは湿気を避けて密閉保存し、ウェットは開封後は冷蔵保存して早めに使い切ることをおすすめします。
マルチーズの涙やけ対策と餌の関係
涙やけと餌の関係
涙やけは目の周りの色素沈着や毛の変色で、遺伝や涙の量、目の形、そして食事が影響します。特に添加物や消化しにくい原材料は、消化や代謝に負担をかけて皮膚や被毛に影響することがあります。
フード選びの具体ポイント
- 添加物・着色料が少ないものを選びましょう。不要な成分は皮膚の炎症につながる場合があります。
- 動物性タンパク質を中心に。チキンや魚、ラムなど消化しやすい肉が望ましいです。
- 消化に負担が少ない原材料構成。生肉や高品質の肉粉が原料にあるものを優先すると良いです。
- 穀物を含める場合は玄米や大麦など消化しやすい穀物を。グレインフリーが必須ではありません。
- オメガ3・6などの良質な脂肪は被毛と皮膚を整えます。
原材料のチェック方法
パッケージの最初に記載された原料を確認してください。原料は含有量の多い順です。曖昧な表現（“肉類副産物”など）が多い製品は避けると安心です。
実践的な試し方と注意点
フードを変えるときは一度に全部替えず、1〜2週間かけて切り替えながら様子を見ましょう。効果が出るには数週間から数か月かかる場合があります。目の周りだけの変化で終わらず、全身の被毛や便の状態も確認してください。
食事以外のケア
目の周りは清潔に保ち、刺激の少ない専用の拭き取り剤で優しく拭いてください。涙の量が多い、目が赤い、目ヤニが多い時は獣医に相談してください。
フード変更で改善しない場合
アレルギーや鼻涙管の問題など食事以外の原因もあります。改善が見られないときは獣医で検査を受け、体質に合った処方食やケアを検討しましょう。
関節・運動量を意識した餌選び
はじめに
マルチーズは小柄でも活発な犬種です。毎日の運動量を支える栄養と、将来の関節トラブルを防ぐ成分を意識して餌を選びましょう。
タンパク質とエネルギー
良質な動物性たんぱく質（チキン、ラム、サーモンなど）を主原料にしたフードを選んでください。筋肉維持に必要な量を確保し、適度な脂肪で運動のエネルギー源を補います。子犬や活動的な成犬はたんぱく質比率を少し高めにするのが目安です。
関節を支える成分
緑イ貝（グリーンリップドマッスル）やサーモンオイルは炎症を抑え、関節の潤滑を助けます。さらにグルコサミンやコンドロイチン配合のフードは軟骨ケアに有効です。これらが含まれるフードを優先しましょう。
運動量に応じた与え方
運動前に多量の食事を与えると胃腸負担になるため、散歩や遊びの前は軽めにします。運動後は消化しやすい栄養を与えて回復を助けます。
注意点と相談
補助成分は効果に個体差があります。過度の脂肪摂取は体重増加を招き、関節に負担をかけます。気になる場合は獣医師と相談して、最適なフードやサプリを決めてください。
マルチーズの年齢別の餌量と与え方の目安
はじめに
年齢ごとに必要なエネルギーや与え方が変わります。ここでは子犬期、成犬期、シニア期それぞれの回数や調整のポイントを分かりやすく説明します。
子犬期（生後0〜12ヶ月）
・回数：1日3〜4回に分けます。急激な食事量の変化を避け、成長に必要な栄養を安定して与えます。
・量の目安：メーカーの子犬用推奨量を基準に、体重の増え方を週ごとに確認して増減します。
・ポイント：急がず少しずつ増やし、吐く・下痢が続く場合は獣医師に相談します。
成犬期（1歳前後〜7歳頃）
・回数：1日2回が一般的です。忙しい日は1回で済ませることもできますが、2回で分けると消化に負担が少なくなります。
・量の目安：フードのパッケージにある「体重別推奨量」を出発点にし、運動量や体型（痩せ・太り）を見て10〜20%単位で調整します。
シニア期（7歳頃〜）
・回数：消化吸収が落ちるため1日2回、必要に応じて1回増やします。
・量の工夫：代謝が落ちるためカロリーを抑えつつ、筋肉維持に必要なたんぱく質は確保します。関節ケア成分（グルコサミン等）を含むフードに切り替えると良い場合があります。
与え方のコツ
・体重・被毛・活動性を月1回チェックし、体型が変われば給餌量を調整します。
・おやつは1日の総カロリーの10%以下を目安にします。
・フードを変えるときは7日〜10日かけて混ぜながら切り替えます。
・飲水は常に新しいものを用意してください。