はじめに
ドクターズケアとは
ドクターズケアは、日本のペットラインが動物病院向けに提供する国産の療法食ブランドです。特定の病気や症状に合わせて栄養バランスを調整したドッグフードで、獣医師の指示のもとで使われます。療法食とは、病気の管理や症状の改善を目的に栄養を設計した食事です。
対象となる病気・症状（例）
- 腎臓の病気：リンやタンパク質を調整し、腎臓への負担を軽くします。
- 心臓の病気：塩分を調整し、水分管理を助けます。
- 尿石や尿路のトラブル：尿のpHやミネラルバランスを整えます。
- 消化器の不調：消化しやすい成分で胃腸の回復を助けます。
- アレルギー：原材料を限定し、アレルギー反応を抑えることを目指します。
- 体重管理：カロリーや脂質を調整し、適正体重の維持を支援します。
特長
国産で品質管理が行き届いている点が安心です。病院専用のため、成分や管理方法について獣医師と相談しやすいメリットがあります。
使い方の目安と注意点
獣医師の指示に従って与えてください。普段の食事から切り替える際は数日かけて徐々に混ぜると食いつきが安定します。また、長期間使う場合は定期的な検査で効果を確認しましょう。
本書の目的
以降の章でラインナップや特徴、ドクターズダイエットとの違い、相談のタイミングについて詳しく説明します。
ドクターズケアの特徴
設計の前提
ドクターズケアは動物病院専用の療法食で、獣医師の指導のもとで使うことを前提に作られています。病気ごとに必要な栄養や制限を細かく設定し、家庭でのケアを助けます。
病気別の栄養調整
各製品は病態に合わせてミネラルや脂質、たんぱく質源を調整します。例えば慢性腎臓病ではリンを抑え、心臓病では塩分（ナトリウム）を低めにします。膵炎では脂肪を減らして胃腸への負担を軽くします。
原材料と添加物への配慮
国産原料を中心に使い、香料や着色料などの人工添加物をできるだけ抑えています。具体的には消化のよい肉や魚を主要なたんぱく源にし、アレルギーのある子には限定された材料の製品を選べます。
食いつきとやさしさの工夫
食べやすさにも配慮し、キブルの形や風味を工夫しています。嗜好性を高めながらも消化にやさしい処方を両立させ、ウェットタイプや小粒タイプなど選べるラインナップが多いです。
品質管理と安心
国内の製造基準に基づき、成分の分析や衛生管理を行います。投薬や治療と組み合わせた使用方法が明確に示され、獣医師と相談しながら安全に与えられます。
主なラインナップ例
食物アレルギー用（アミノ酸レベルまで分解）
重度の食物アレルギーには、たんぱく質をアミノ酸レベルまで分解した処方があります。個々の成分がアレルギーを引き起こす可能性をほぼ排除するため、皮膚炎や慢性的な下痢などで原因が特定できない場合に用いられます。獣医師の診断のもとで短期間試しやすいです。
尿石症用（ミネラルバランス・尿pH調整）
尿石の種類に合わせてミネラル配合と尿のpHを調整します。例えばストルバイトは酸性寄りの尿で溶けやすく、カルシウム系は逆の管理が必要です。水分を多くとらせるためにウェットフードを併用すると効果的です。
消化器ケア・低脂肪（ウェットタイプあり）
消化不良や脂質制限が必要な犬猫向けに脂肪を抑え、消化しやすい原料を使った処方があります。食欲が落ちているときは嗜好性の高いウェットタイプが給餌しやすく、水分補給にも役立ちます。
減量・関節ケア（カロリー・脂質抑制、サポート成分）
体重管理用はエネルギーを抑えつつ満腹感を得やすい配合にします。関節ケアを併せた処方には、グルコサミンやコンドロイチン、オメガ‑3などのサポート成分が入っており、運動量の少ない子や高齢の子に向きます。給餌量の管理と併用すると効果が出やすいです。
ドクターズケアとドクターズダイエットの違い
目的の違い
ドクターズケアは療法食で、すでにある病気や症状の食事管理を目的に作られています。腎臓病や膵炎、アレルギーなど特定の治療を補助します。ドクターズダイエットは総合栄養食で、体重管理や健康維持・病気の予防を主な目的とします。
対象となる犬
ドクターズケアは獣医師が必要と判断した病気のある犬に与えます。獣医師の指示で使用期間を決めることが多いです。ドクターズダイエットは比較的健康な犬や、体重・体調を整えたい犬に向きます。かかりつけの獣医師が推奨する場合もあります。
成分と与え方
療法食は病気に合わせてたんぱく質や脂質、ナトリウムなどを調整します。総合栄養食は毎日必要な栄養をバランスよく含みます。療法食は長期間の自己判断での使用は避け、定期的に獣医師の確認を受けてください。
選び方のポイント
症状がある場合はまず獣医師に相談し、処方や指示に従ってください。健康維持や体重管理なら、成分表示やカロリー、食いつきの良さを基準に選ぶとよいです。実際の製品で迷ったら獣医師に相談してください。
こんなときに相談するとよい
どんなときに相談するか
- 腎臓病や心疾患で通院中、投薬や療法食の変更を獣医師から勧められたとき
- 尿石症や頻尿・血尿など尿の異常が見られるとき
- 下痢・嘔吐や食欲不振など消化器症状が続くとき
- 関節疾患で体重管理や栄養調整が必要なとき
- 皮膚アレルギーや食物アレルギーで治療食を検討するとき
- 獣医師が療法食を指示し、国産フードを希望する場合
持っていくとよいもの（準備）
- 最近の検査結果や投薬リスト
- 現在のフードの名前と1回量、1日の回数
- 症状の写真や記録（尿の色、便の状態など）
診察で行うこと・期待できること
- 症状や検査結果をもとに、最適な療法食や給餌量を提案します
- 必要なら血液検査や尿検査で状態を確認します
- 国産フードの選択肢や試食サンプルの有無、費用の目安も相談できます
国産フードを希望するときのポイント
- 成分表で目的（腎臓用・低アレルゲンなど）に合うか確認してください
- 好みが合うか試してから長期導入するのがおすすめです
相談後の観察と再診の目安
- 体重、食欲、排泄の変化を1〜2週間は注意深く観察してください
- 症状が悪化したら早めに受診を。定期検査で効果を確認します。