目次
はじめに
本報告の目的
本報告は、ドッグフードに含まれる成分をわかりやすく整理し、飼い主さんが日常で選びやすくすることを目的としています。栄養素それぞれの役割、原材料の見方、犬の健康維持に役立つ成分を中心に解説します。
範囲と構成
第2章で主要な栄養成分とその働きを説明します。第3章はビタミンの種類と機能、第4章は原材料の確認方法と選び方、第5章では関節や皮膚、消化を支える成分について詳述します。各章で具体例と実践的なラベルの読み方を示します。
使い方のポイント
この報告は日常のフード選びを助けることを第一にしています。年齢や体格、既往歴で必要な栄養は変わりますので、気になる点は獣医師にご相談ください。読みやすさを重視して、専門用語は最小限にし、具体例で補足しています。ご一緒に愛犬の健康に役立ててください。
ドッグフードの主要栄養成分と役割
たんぱく質
犬の体を作る基本です。筋肉や内臓、皮膚、被毛、爪、ホルモン、免疫を支える材料になります。鶏肉や魚、牛肉などの動物性たんぱく質が中心で、必須アミノ酸をバランスよく含むことが大切です。成長期や運動量の多い犬ほど必要量が増えます。
脂質
効率の良いエネルギー源で、細胞膜やホルモンの働きにも関わります。被毛や皮膚の健康に重要なオメガ-3(魚油など)とオメガ-6(植物油など)を含むと良いです。適量で体温維持やビタミンの吸収を助けます。
粗繊維
消化器の調子を整えるための成分です。便の量や固さを調節し、腸内環境を支えます。例えば、野菜や穀物に含まれる食物繊維がこれに当たります。
灰分(ミネラル)
骨や歯を作るカルシウムやリン、酸素運搬に関わる鉄、免疫や皮膚に関わる亜鉛などが含まれます。微量でも不足すると健康に影響が出るため、適切なバランスが必要です。
水分
生命維持に不可欠です。消化、体温調節、老廃物の排出に関わります。ドライフードでも水を十分に与えることが大切です。
糖質(炭水化物)
即効性のエネルギー源です。米やジャガイモなどが使われ、活動的な時間のエネルギー補給に役立ちます。過剰だと体重増加の原因になるため、犬の年齢や運動量に合わせます。
ビタミンの種類と機能
水溶性ビタミン(ビタミンB群・ビタミンC)
水に溶けやすく、体内に長く蓄積されません。ビタミンB群はエネルギーをつくる働きや皮膚・被毛の健康を保つ役割があります。具体例として、B1は炭水化物の代謝を助け、B12は赤血球の形成に関わります。ビタミンCは人間ほど必須ではなく、犬は体内で合成しますが、免疫や抗酸化に関係します。過不足は下痢や食欲不振、被毛の悪化などにつながります。
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)
油に溶けやすく体内に蓄積されます。ビタミンAは視力や成長を助け、Dはカルシウムの吸収を高め骨を丈夫にします。Eは抗酸化で細胞を守り、Kは血液の凝固に重要です。レバーや魚、植物油、緑黄色野菜などが供給源になります。過剰摂取は蓄積による中毒を起こすので注意が必要です。
欠乏と過剰の注意点
どのビタミンも穏やかな不足は気付きにくく、症状が進むと健康被害が出ます。逆に脂溶性は与えすぎで問題になります。市販のバランスの良いドッグフードは必要量を満たすよう設計されていますが、サプリを追加する場合は獣医師に相談してください。
ドッグフード選びでの見方
原材料表示や栄養成分表で「ビタミンA、D、E、B群」などの記載を確認しましょう。年齢や体重、生活活動量で必要量が変わるため、ライフステージに合った製品を選ぶことが大切です。
原材料の見方と選び方
原材料表示の基本
パッケージの原材料は使用量が多い順に並びます。最初に書かれているものが主原料です。具体例では「チキンミール」「鶏肉」とある場合、どちらが多いかで主成分が判断できます。
動物性たんぱく質の確認
良質なフードは動物性たんぱく質が主体です。鶏肉、牛肉、豚肉、サーモンなど、明確に品名が書かれているものを優先してください。「ミール」や「副産物」は品質差が大きいので表示をよく確認します。
炭水化物と食物繊維
炭水化物源は野菜、穀物、豆類などです。トウモロコシ・小麦・大豆は使われやすく、エネルギー源として有効ですが、アレルギーが心配なら玄米やサツマイモなどの表記を探すとよいです。
その他の表示に注意する点
添加物や保存料は「天然トコフェロール」などの表記を確認します。ただし、曖昧な表現(例:「ミート」だけ)には注意してください。
選び方のポイント
1) 最初に動物性たんぱく質が来ているか
2) 原料が具体的に書かれているか
3) 年齢や体調に合った配合か(子犬・高齢犬用など)
4) AAFCO相当の適合表示や成分表示(粗タンパク質・脂質・水分)を確認
必要なら獣医と相談し、犬の体調や好みに合わせて選んでください。
健康をサポートする成分
ドッグフードには毎日の健康を支える成分が配合されています。ここでは代表的な成分と、その働き、選び方や与え方の注意点をわかりやすく説明します。
グルコサミン(関節の健康)
関節軟骨の材料となり、動きやすさを保ちます。年を取った犬や大型犬に多く使われます。効果が出るまで数週間かかるため、続けて与えることが大切です。
コンドロイチン(軟骨の保護)
軟骨に水分を保持してクッション性を保ちます。グルコサミンと一緒に配合されることが多く、相乗効果が期待できます。
乳酸菌(腸内環境の改善)
消化を助け、下痢や便のにおいを和らげることがあります。フード切替時やストレスが多い時期に役立ちます。
オリゴ糖(善玉菌のエサ)
乳酸菌などの善玉菌を増やし、腸内バランスを整えます。プレバイオティクスとして、乳酸菌と一緒に配合されることが多いです。
選び方のポイント
- 成分名と含有量が明記されているものを選びます。
- 年齢や犬種に合った配合を確認します。
- 既にサプリを与えている場合は獣医と相談してください。
与え方の注意点
- 過剰摂取は体に負担になることがあります。
- 改善が見られない場合や症状が悪化した場合は速やかに獣医師に相談してください。