犬用フード・おやつ

病院で選ぶドッグフードの特徴と注意点を詳しく解説

はじめに

この章では、本記事の目的と読み方をわかりやすく説明します。動物病院で扱うドッグフード、特に療法食について知りたい飼い主さんに向けた入門です。

この記事の目的

動物病院専用のフードがどう違うのか、どんな病気や体調に使われるのか、選び方や購入方法、注意点を具体例でやさしく解説します。たとえば、腎臓病・アレルギー・肥満・下痢といったよくある症状を例に、どのような配慮が必要かを示します。

誰に向いているか

初めて療法食について調べる方、獣医師からフードの変更を勧められた方、普段のフード選びに不安がある方に役立ちます。専門用語は必要最低限に抑え、実際の商品の例や簡単な読み方を紹介します。

注意点

本記事は一般的な解説です。具体的な診断や処方は必ず獣医師にご相談ください。フードの切り替えは段階的に行うなど、実践的なポイントも後の章で丁寧に説明します。

動物病院で扱われるドッグフードとは

療法食とは

動物病院で扱うドッグフードの多くは「療法食」です。特定の病気や健康状態に合わせて栄養バランスや成分を調整した食品で、獣医師の診断・指導のもとで与えることが原則です。たとえば腎臓病や肝臓病、消化器疾患、アレルギー、肥満、泌尿器系の病気などに対応します。

病気ごとの特徴(具体例)

  • 腎臓病:タンパク質やリンを制限し、腎臓に負担をかけにくくします。水分補給しやすい形状や風味が工夫されています。
  • 肝臓病:消化しやすく良質なタンパク質、特定のビタミンやアミノ酸を強化します。
  • 消化器疾患:消化しやすい炭水化物や可溶性繊維を使い、胃腸を整えます。
  • アレルギー:原材料を絞った限定食や加水分解タンパク質でアレルゲン反応を抑えます。
  • 肥満:カロリーを抑え、満足感の高い食物繊維を配合します。
  • 泌尿器系:尿のpHやミネラルバランスを調整し、結石の予防を助けます。

総合栄養食との違い

総合栄養食は健康な犬の主食として設計されたバランスフードです。多くの療法食メーカーは総合栄養食も扱っており、病状に応じて切り替えます。

与え方の基本

獣医師の指示に従い、急な切り替えは避けて徐々に変更してください。おやつや手作り食の影響もあるため、与えるものは必ず相談しましょう。

主な療法食メーカーと特徴

ヒルズ(Hill's)

世界的に知られるメーカーで、腎臓ケアや体重管理など幅広いラインナップを持ちます。嗜好性に配慮した味付けが多く、食べやすさを重視する犬に向きます。病院でもよく勧められる代表ブランドです。

ロイヤルカナン(Royal Canin)

病気や年齢、犬種ごとに細かく対応した処方が特徴です。例えば小型犬用の関節ケアや高齢犬向けの栄養バランスなど、目的に合った粒の形や栄養設計があります。獣医の診断に合わせて選びやすいです。

サニメド(Sanimed)

オランダ発のブランドで、消化器や皮膚トラブルに着目した処方が多いです。原材料の選定に配慮し、敏感な子にも使いやすい商品を展開しています。

いなば

嗜好性と栄養バランスを両立させた商品が多いです。食べやすさを重視する飼い主さんに選ばれることが多く、ウェットタイプのラインも充実しています。

ドクターズケア

動物病院専売のブランドで、獣医師の推奨を受けて作られています。治療中の栄養管理を目的にした処方が中心で、病院でのフォローと併用しやすいです。

各メーカーは得意分野が違います。愛犬の病気や好みを獣医師と相談して、最適なメーカー・製品を選んでください。

動物病院専用フードの特徴と購入方法

特徴

  • 病気や体質に合わせて作られています。たとえば腎臓、アレルギー、肥満、糖尿病などに応じて栄養バランスや原材料を調整しています。
  • 成分表示が詳しく、タンパク質の量やリン、ナトリウムなどの数値が管理されています。一般の市販品よりも基準が厳しいことが多いです。
  • 臨床試験や獣医師の評価をもとに処方されています。効果を確認するため定期的な検査と併用することが望まれます。

購入方法

  1. 獣医師の診察を受けて、必要性を確認します。症状や検査結果に基づいて適切なフードを提案してもらいます。
  2. 動物病院で直接購入します。多くの病院が在庫を置いており、その場で相談しながら選べます。
  3. 認定されたオンラインストアやメーカー直販で購入できる場合もあります。購入時に処方箋や病院の承認が必要なことがあります。

使用のポイント

  • 切り替えは少しずつ行います。急な変更は胃腸に負担をかけるため、1〜2週間かけて混ぜながら移行してください。
  • 指定の量を守ります。療法食はカロリーや栄養が調整されているため、量が重要です。
  • 定期検査を受け、効果や副作用を確認します。必要に応じてフードの変更や追加の治療を行います。

保管と取り扱い

  • 直射日光や高温多湿を避け、袋は密閉して保管してください。開封後は品質維持のため早めに使い切ることをおすすめします。
  • 他のペットと分けて管理すると誤食を防げます。

よくある疑問

  • 市販の同等品と交換できますか?→ 同じ成分でも目的が違うため、獣医師と相談してください。
  • お試しサンプルはありますか?→ 病院によって配布があります。まず少量から試すと安心です。

病気や体調に合わせたドッグフードの選び方

診断と獣医師との相談

症状がある場合はまず動物病院で診断を受け、獣医師と相談して最適なフードを決めます。自己判断で切り替えると症状が悪化することがあるため、必ず専門家の指示を仰いでください。

疾患ごとの主なポイント(例)

  • 腎臓病:リンやたんぱく質を調整したフードが基本。高品質なたんぱく質を少量、リンを抑えた製品が多いです。
  • 肝臓病:脂肪控えめで消化しやすい成分、特定のアミノ酸バランスを整えた処方が必要です。
  • 消化器症状(下痢・嘔吐):消化に優しい低脂肪・低刺激のフードや、可溶性繊維を含む処方が有効です。
  • アレルギー:低アレルゲン(限定原材料)、もしくは加水分解たんぱくを使った製品を検討します。
  • 肥満・糖尿病:低カロリー・高繊維で満腹感を得やすい処方が望ましいです。

食いつきと切替えのコツ

新しいフードは7〜10日かけて徐々に切り替えます。嗜好性が低い場合は温めたりトッピングで工夫します。どうしても食べない場合は獣医師に相談し、別の処方や治療食の試用を検討してください。

表示の見方と給餌管理

成分表(たんぱく質・脂肪・粗繊維・リン・ナトリウム)やカロリーを確認し、体重や活動量に合わせて給餌量を調整します。定期的に体重や血液検査で効果を確認し、必要があれば処方の見直しを行います。

市販フードと病院専用フードの違い

市販の総合栄養食と病院専用(療法食)は、目的や販売方法、成分の考え方が異なります。ここでは分かりやすく違いを整理します。

販売場所と目的

  • 市販フード:ペットショップやネットで誰でも購入できます。健康維持や日常の栄養補給が目的です。
  • 病院専用フード:主に動物病院や認定された店舗で販売します。病気の治療や症状管理、予防が目的です。

成分とエビデンス

  • 市販フードはバランスの良さを重視します。一般的な健康な犬猫向けです。
  • 病院専用フードは特定の病気に合わせて栄養を調整します(例:腎臓、尿路、消化器)。臨床データや獣医師の臨床経験に基づく根拠があることが多いです。

安全性と品質管理

  • 療法食は成分や製造管理が厳しく、効果や安全性の確認が行われています。獣医師が処方することで管理しやすくなります。

価格と入手のしやすさ

  • 一般に療法食はやや高価です。入手は病院や指定店に限られるため、継続管理が必要な場合は計画的に購入する必要があります。

選び方のポイント

  • 症状がない場合は市販の総合栄養食で十分です。
  • 病気や検査で異常がある場合は、獣医師に相談して療法食を検討してください。切り替え方や給餌量の指示を守ることが大切です。

獣医師との連携

  • 療法食は獣医師が治療の一部として提案します。定期的に観察や検査を行い、効果を確認しながら調整します。飼い主が自己判断での変更を避けると安全です。

よくある質問・注意点

Q1: 療法食を勝手に与えてもよいですか?

自己判断で与えるのは避けてください。病気の診断や必要性は獣医が判断します。健康な犬に不要な療法食を続けると栄養バランスが崩れることがあります。

Q2: 療法食が高いのはなぜですか?

原材料の品質管理や検査、病気別の研究開発費が価格に反映しています。長期管理を考えた処方が多く、一般食よりコストがかかります。

Q3: 切り替え方の注意は?

急な切り替えは下痢や食欲不振を招きます。1〜2週間かけて少しずつ割合を増やす方法をおすすめします。また、切り替え中は便や元気の様子をよく観察してください。

Q4: おやつや他のフードは?

療法食の効果を下げる可能性があります。どうしても与える場合は獣医に相談し、量を制限してください。

その他の注意点

保存方法や賞味期限を守り、複数の療法食を混ぜないでください。異変があればすぐに獣医に連絡して指示を受けてください。

主要な療法食の例

ヒルズ i/d(消化ケア)

消化不良や下痢が続く犬猫向けです。消化しやすい成分を中心に配合し、胃腸の負担を減らします。急性の消化器トラブルや回復期に用いられ、獣医の指示に従って与えます。

ヒルズ z/d(アレルギーケア)

食品アレルギーの疑いがある時に使います。蛋白源を分解したり、限定した原料だけを使って反応を抑えます。除去食として検査や治療に使いやすいです。

POCHI 消化器ケア 低脂肪

すい炎や脂質制限が必要な子に適しています。脂肪を抑えつつ消化しやすさを保ちます。獣医の指導で量や回数を調整してください。

Dr.宿南のキセキのごはん(腎臓サポート)

腎機能低下時に配慮した成分で、鹿肉など嗜好性の高い材料を使い食欲を支えます。塩分やリンを抑えた処方が基本です。

注意点:いずれも専門的な管理が必要です。症状や検査結果に応じて獣医師と相談し、急な切替は避けてください。

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