目次
はじめに
本書はチワワのための手作りご飯と食事管理のガイドです。小さな体に合った栄養バランス、与えてはいけない食材、簡単で毎日続けやすいレシピやトッピングのアイデアをわかりやすくまとめました。
目的
チワワが健康で長生きできる食事作りを支援します。市販のフードに頼りすぎず、必要に応じて手作りを取り入れる方法を紹介します。
対象読者
・初めて手作りご飯に挑戦する方
・年齢や体調に合わせた食事を考えたい方
・介護期の食事について知りたい方
本書で学べること
・基本的な栄養の考え方と食材の組み合わせ
・誤って与えやすい危険な食材のリスト
・簡単で栄養価の高いレシピ(かぼちゃスープ、さつまいもボール等)
注意点
犬の好みや体調は個体差があります。新しい食材やレシピは少量から試し、変化があれば獣医師に相談してください。
チワワの手作りご飯の基本栄養バランス
基本の割合
チワワの手作りご飯で大切なのはバランスです。目安はタンパク質:野菜:炭水化物=1:1:0.5〜1。つまりタンパクと野菜を同じ量にし、炭水化物は半分から同量にします。体重や活動量で調整してください。
具体的な食材例と分量の目安
- タンパク質:鶏むね肉、ささみ、白身魚、薄切りの牛肉、卵など。皮や脂を取り除き、火を通して与えます。
- 野菜:にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、いんげんなど。加熱して小さく刻むと消化しやすくなります。
- 炭水化物:白米、玄米、さつまいも、じゃがいも。量は肥満が気になる場合に減らします。
量の感覚:一食での盛り付けは小さな茶碗1/3〜1杯分を目安に、成犬は1日2回、子犬は3〜4回に分けます。体重が増える・減る時は量を調整します。
注意点と補助栄養
- 味付けはしないでください。塩分や調味料は犬に危険です。
- カルシウムは不足しやすいので、犬用のカルシウム補助や砕いた卵殻などで補ってください。
- オメガ3は魚油で取り入れると被毛や皮膚に良いです。
与え方のポイント
急に切り替えず、7〜10日ほどかけて徐々に混ぜ替えてください。体重や便の状態をよく観察し、異常があれば獣医師に相談してください。
チワワに与えてはいけない食材
危険な食材一覧
- 生卵・生肉(十分に加熱されていないもの): サルモネラやビオチン欠乏、消化不良の原因になります。
- ネギ科(玉ねぎ、ネギ、ニンニク、ニラなど): 赤血球を壊し貧血を引き起こします。少量でも危険です。
- アボカド: 心臓や呼吸に影響する成分が含まれます。特に果肉と種に注意してください。
- ぶどう・レーズン・いちじく: 腎不全を起こすことがあります。量に関係なく要注意です。
- ナッツ類(特にマカダミア): 筋力低下や震え、嘔吐を招きます。
- チョコレート・カフェイン: 中枢神経や心臓に強い影響を与えます。
- キシリトール(ガム・一部の菓子): 低血糖や肝不全を引き起こすことがあります。
- 生の骨や脂身の多い肉: 破片で喉や腸を傷つけたり、膵炎を誘発します。
なぜ危険か(症状の例)
嘔吐、下痢、元気消失、震え、けいれん、呼吸困難、尿が出にくくなるなどが見られます。症状は速やかに出る場合もあれば、時間をおいて現れることもあります。
食べてしまったときの対応
- 何を・どれくらい食べたかを把握します。
- すぐに動物病院に連絡し、指示を仰いでください。可能なら包装や写真を持参します。
- 自宅で無理に吐かせないでください。獣医の指示に従って対応します。
チワワは体が小さいため、少量でも重症化しやすいです。普段から食材は手の届かない場所に保管し、与える前に必ず安全か確認してください。
毎日のトッピング野菜で栄養アップ
概要
毎食のドッグフードに、ブロッコリー、さつまいも、かぼちゃ、にんじん、まいたけを少量ずつトッピングすると、ビタミン・食物繊維・ミネラルが補えます。低カロリーの野菜で満腹感を出せるため、体重管理にも役立ちます。
野菜ごとのポイント
- ブロッコリー:ビタミンCや食物繊維が豊富。小さく切って蒸すか茹でる。小型犬は房の柔らかい部分だけ使う。
- さつまいも:エネルギー源で消化しやすい。蒸すか焼いて皮を取り、潰して与える。
- かぼちゃ:βカロテンと食物繊維が多い。種と硬い皮を取り、蒸すか煮てマッシュに。
- にんじん:βカロテンと歯ごたえ。細かく刻むかすりおろして加熱する。
- まいたけ:免疫や腸内環境のサポートに。必ず火を通し、少量ずつ与える。
量と与え方の目安
- チワワなど小型犬は1回あたり合計で小さじ1〜大さじ1程度を目安に。フード総量の約10%を野菜に置き換えると調整しやすいです。
- 野菜は温度を下げてから混ぜ、塩・油・調味料は使わないでください。
保存と注意点
- 作り置きは冷蔵で2〜3日。冷凍なら小分けにして1か月程度保存できます。
- 新しい食材は少量から試し、便や皮膚の変化を観察してください。アレルギーや持病がある場合は獣医師に相談しましょう。
かぼちゃスープ - 簡単で栄養価の高いレシピ
はじめに
かぼちゃ100gと水200mlで作る、チワワ向けのやさしいスープレシピです。消化に良くビタミンや食物繊維が摂れます。普段のご飯のトッピングや介護食にも使えます。
材料(目安)
- かぼちゃ 100g(種とわたを取り、皮は好みで取り除く)
- 水 200ml
作り方(レンジの場合)
- かぼちゃを一口大に切る。皮は硬ければ剥くと良いです。
- 耐熱容器に入れ、ラップをして600Wで3〜5分加熱し、柔らかくする。
- 柔らかくなったらフォークやマッシャーで潰し、水を加えて混ぜる。
- 器に移して中火かやや弱火で短時間温め、好みの濃度にする。
鍋で作る場合
鍋にかぼちゃと水を入れて中火で加熱し、沸騰後は弱火で10〜15分煮る。かぼちゃが崩れるまで潰し、必要なら裏ごしして滑らかにします。
注意点
- 調味料は不要です。塩・砂糖・香辛料は与えないでください。
- 温度は犬が舌を入れて熱くない程度まで冷ましてください。
- 保存は冷蔵で2〜3日、冷凍なら1か月程度。製氷皿で小分け保存が便利です。
アレンジと使い方
- トッピング:茹でた鶏ささみや刻んだ野菜と混ぜる。
- 濃度調整:薄めておやつ代わりに、濃くして主食の一部に。
- 介護食:裏ごしして滑らかにすると飲み込みやすくなります。
さつまいもボール - 介護食としても活躍
材料(1回分の目安)
- さつまいも:100g(皮をむく)
- ヤギミルク:大さじ1〜2(ぬるま湯で溶かす)
作り方
- さつまいもは一口大に切り、柔らかくなるまで茹でる(約10〜15分)。
- 茹で上がったら湯を切り、熱いうちにつぶすかフードプロセッサーでペースト状にする。
- ヤギミルクを少しずつ加え、飲み込みやすい柔らかさに調整する。
- 手で小さく丸め、直径1.5〜2cm程度のお団子にする。高齢犬や嚥下が弱い場合はさらに柔らかくする。
与え方と注意点
- そのまま与えるか、指で軽く潰してから少量ずつ与えてください。
- 砂糖や塩、バターは加えないでください。
- 糖尿病などで糖分管理が必要な犬は量を獣医と相談してください。
保存と応用
- 冷蔵で2日、冷凍なら1か月ほど保存できます。冷凍する場合は小分けにしておくと便利です。
- ヤギミルクの代わりにぬるま湯や無塩の鶏スープで伸ばしても良いです。
ポイント
- 食べやすさを最優先に、硬さを調整してください。
- 嚥下が難しい子にはさらに細かく潰し、スプーンでゆっくり与えましょう。
- 初めて与えるときは少量から様子を見てください。
基本的なタンパク質・野菜の組み合わせレシピ
以下では、チワワ向けに消化しやすく栄養バランスの良い「タンパク質+野菜」の組み合わせレシピを3点ご紹介します。分量は成犬の体重2–4kgを目安に調整してください。
野菜ビーフスープ(人参、じゃがいも、キャベツと牛肉の煮込み)
- 材料(1食分):牛挽き肉30–40g、人参20g、じゃがいも20g、キャベツ15g、水200ml
- 作り方:野菜は食べやすい大きさに切る。鍋に水と野菜を入れ柔らかくなるまで煮る。挽き肉を加え、火が通るまで煮る。冷ましてから与える。
- ポイント:塩や調味料は不要です。野菜は柔らかく煮て消化を助けます。
カレイや鯛と野菜の焼きパック(蒸し焼き)
- 材料:白身魚(骨除去)30g、ズッキーニまたはかぼちゃ20g、にんじん10g、オリーブオイル少量
- 作り方:アルミホイルに材料を並べ軽くオリーブオイルをかけ包む。弱めの火やオーブンで15–20分蒸し焼きにする。骨は必ず取り除く。
- ポイント:魚は低脂肪で良質なタンパク源です。骨や皮の処理を丁寧に。
チキンオムレツ(鶏肉を卵で包む)
- 材料:鶏胸肉30g、卵1個、ほうれん草5g
- 作り方:鶏肉を細かく刻んで火を通す。溶いた卵に茹でたほうれん草を混ぜ、フライパンで鶏肉を包むように焼く。しっかり冷ましてから切る。
- ポイント:卵は良質なたんぱく質。アレルギーが心配なら少量から試してください。
保管:冷蔵で24時間以内、冷凍なら1週間目安。与える前は人肌に戻すと消化が良くなります。
注意点:玉ねぎ・ネギ類、にんにく、塩分・香辛料は避ける。体調変化があれば獣医に相談してください。
簡単な一品料理
鶏肉と野菜のライスボウル
- 材料(チワワ小盛り1回分): 鶏むね肉30g、白ごはん30g、にんじん5g、ブロッコリー5g、オリーブ油小さじ1/4
- 作り方: 鶏肉は茹でて細かく裂きます。にんじん・ブロッコリーは柔らかく茹で刻む。ごはんと混ぜ、オリーブ油をひとたらし。
- ポイント: 味付けは不要。多めに作る場合は人用には塩や醤油で仕上げを後から加える。
ミートボールうどん
- 材料(チワワ1食): 合挽き肉30g、パン粉小さじ1、卵の一部(少量)、ゆでうどん40g、かぼちゃやほうれん草少々
- 作り方: 肉とパン粉を混ぜ小さな団子にして茹でる。うどんは短く切り、野菜と一緒に柔らかく煮る。団子を戻して温める。
- ポイント: 玉ねぎ・にんにくは絶対に使わない。うどんは消化が良いので高齢犬にも向く。
サーモンとじゃがいものピュレ
- 材料(チワワ1食): 加熱したサーモン20g、じゃがいも50g、豆乳少量
- 作り方: じゃがいもを柔らかく茹で潰す。サーモンの骨と皮を取り除きほぐして混ぜ、豆乳でなめらかにする。
- ポイント: 生の魚は避け、骨は完全に取り除くこと。多めに作って冷凍保存も可能。解凍後はよく温める。