はじめに
目的
本書はフレンチブルドッグの適切な食事量を分かりやすくまとめたガイドです。体重管理や健康維持に必要な基本知識、子犬期・成犬期での与え方の違い、具体的な計算例や調整のコツを順を追って解説します。
対象読者
・これからフレンチブルドッグを迎える方
・現在飼育中で食事量に悩んでいる方
・獣医さんに相談する前に基礎を知りたい方
本書の使い方
各章は独立して読めますが、まずは第1章を読んで全体像をつかむことをおすすめします。実際の給与量を計算する際は、犬の年齢・体重・活動量を確認してください。具体例は第5章で丁寧に示します。
フレンチブルドッグの適正体重の目安
目安の体重
成犬のフレンチブルドッグは、一般的に8〜14kgが理想の目安です。オスはやや重め、メスはやや軽めになる傾向がありますが、個体差が大きい犬種です。
なぜ体重が大切か
適正体重を保つことは呼吸器や関節への負担を減らし、病気の予防や長く健康に過ごすために重要です。太りすぎると呼吸困難や関節痛、内臓への負担が増えます。逆に痩せすぎると体力や免疫力が落ちるため注意が必要です。
ふだんのチェック方法
・月に1回は体重を同じ条件(朝、空腹時など)で量ります。
・肋骨を軽く触れて肋骨が指で感じられるか、上から見たときに腰のくびれがあるかを確認します。
・体重が短期間で5%以上変動したら見直しが必要です。
個体差と注意点
年齢(子犬・高齢)、運動量、去勢・避妊の有無、筋肉量で適正は変わります。子犬期の目安は成犬と異なるため、年齢に応じた管理が必要です。体重の調整や気になる変化があれば早めに獣医師に相談してください。
子犬期の食事量と回数
はじめに
子犬期は消化器が未熟で、栄養を効率よく吸収するために食事を小分けにすることが大切です。ここでは回数や1回量の考え方、実践例と注意点をやさしく説明します。
消化の特徴と分割給餌の利点
子犬は胃が小さく、一度に多く食べると消化不良や嘔吐を起こしやすいです。回数を増やすと胃腸にかかる負担を軽くし、血糖値を安定させて成長に必要な栄養を届けやすくなります。
年齢別の給与回数の目安
- 生後2~4か月:1日4回程度
- 生後4~6か月:1日3~4回
- 生後6か月~成犬期へ移行するまで:1日3回
年齢や個体差で調整してください。
1回量の決め方(実践的手順)
- フードのパッケージにある1日の推奨量を確認します。2. 年齢に合わせた回数で割ります(例:日量100gを4回なら1回25g)。3. 体重の増減や便の状態で毎週微調整します。
食事のタイミングの例
規則正しく与えると消化が安定します。例:朝7時、昼12時、夕方16時、夜20時(4回の場合)。就寝前に重い食事を避け、就寝に近い時間は少なめにします。
注意点
- 便の硬さ、食欲、体重の増え方を観察してください。異常があれば獣医に相談します。
- おやつは1日の総カロリーの10%以内に抑えます。
- 成長に伴い徐々に回数を減らし、2〜4週間かけて成犬の回数に移行してください。
成犬期の食事量と回数
食事回数の目安
成犬期のフレンチブルドッグは、基本的に1日2回の給餌で十分です。朝と夕に分けて与えることで血糖値の安定と胃腸への負担軽減につながります。短時間で食べ過ぎないよう、規則正しい時間に与えてください。
1回あたりの給餌量の決め方
ドッグフードのパッケージに記載された1日の給与量を基準とし、1日分を2回に分けます。たとえばパッケージが1日150gと示すなら、1回75gが目安です。個体差が出るため、体重や活動量を見て5〜10%ずつ調整してください。
体型と便の状態で調整する方法
・体型:肋骨が触れて腰まわりにくびれが見えるのが理想です。太って見える場合は給餌量を減らす。痩せすぎなら増やします。
・便の状態:形が整い、頻度が安定していれば適量です。軟便や下痢が続く場合は量を減らすかフードを変え、硬すぎるときは少し増やします。
運動量・避妊去勢・年齢による違い
運動が多い犬は消費カロリーが増えるため給餌量を増やします。避妊去勢後は代謝が落ちやすく太りやすいため少し減らすのが一般的です。高齢犬は消化吸収の変化に合わせてフードの種類や量を見直してください。
おやつとカロリー管理
おやつは1日の総カロリーの10%以内に抑えます。おやつ分を含めた計算を行い、主食の量を調整してください。
与える時間と習慣化のコツ
朝と夕の間隔をできるだけ均等にし、食事前の興奮を落ち着かせる習慣を作ると良いです。留守や旅行で変則になるときは、事前に少しずつリズムを変えて慣らしておきます。
具体的な給与量の計算例
前提
体重10kgのフレンチブルドッグに対して、人気ドッグフード「モグワン」の1日給与量を175gとします。これは体重あたり約17.5g/kgが目安です。以下はこの基準を使った具体的な計算例です。
基本の計算式
1日の給与量(g)=体重(kg)×17.5×調整係数(活動量・年齢に応じて)
活動量別の調整例(係数の目安)
- 低活動(室内中心、運動少なめ):0.8
- 普通(散歩1日1回程度):1.0
- 高活動(よく遊ぶ、運動量多め):1.2
例:体重10kg
- 低活動:175g×0.8=140g
- 普通:175g×1.0=175g
- 高活動:175g×1.2=210g
年齢別の調整例(係数の目安)
- 子犬(成長期):1.3(場合によって1.5)
- 成犬:1.0
- 老犬:0.9
例:体重10kgの子犬:175g×1.3=227.5g→約230g
体重別の具体例
- 7kg:7×17.5=122.5g→約120g
- 12kg:12×17.5=210g
給餌回数の目安
- 子犬:1日3〜4回に分ける(10kg子犬約230gなら3回で約77g/回)
- 成犬:1〜2回(10kg成犬175gなら2回で約87〜88g/回)
- 老犬:食欲に合わせて少量回数を増やすのも有効
調整のコツ
体重は週に1回程度測定し、変化があれば10%前後の増減で調整します。残す・過剰に食べるなど極端な場合はすぐに量を大きく変えず、獣医師に相談してください。
食事量調整のポイント
体型で判断する
フレンチブルドッグの適正は見た目と触診が基本です。あばらは軽く触れて確認でき、上から見たときに腰がくびれていることを目安にします。丸くて腹が垂れていると太り気味です。毎月1回は写真と触診でチェックしてください。
排便で判断する
便の硬さと回数は栄養バランスの良し悪しを示します。形が整い臭いが強すぎなければ良好です。下痢や便秘が続くときは食事量や内容を見直します。
調整の具体的手順
体重が目標より増えたら、まず給餌量を5〜10%減らします。減った場合は同じく5〜10%増やして様子を見ます。1〜2週間ごとに体重と体型を確認し、急変があれば獣医師に相談してください。
年齢・活動量に合わせる
子犬や活動的な個体は多めに、老犬や運動量の少ない個体は少なめに設定します。避妊・去勢後は太りやすくなるため、注意深く見直します。
記録と見直し
給餌量、体重、便の状態をノートやアプリで記録すると判断が楽になります。数値で管理すると小さな変化にも早く気づけます。
獣医師への相談タイミング
体重が短期間で増減した、便に血が混じる、元気がないといった異変があれば速やかに受診してください。
食事内容の選択
はじめに
フレンチブルドッグは皮膚の敏感さや食物アレルギーが出やすい犬種です。食事は体重管理だけでなく、皮膚・被毛・消化器の健康にも直結します。質の良い食事を選ぶことが長期的な健康維持につながります。
選ぶときのポイント
- 原材料がシンプルで分かりやすいこと。主原料が肉や魚など明記されているものを選びます。
- 添加物が少ない、無添加や低添加のフードを優先します。
- タンパク質と脂質のバランスが取れていること。高すぎる脂質は体重増加や皮膚トラブルの原因になります。
フードの種類と例
- ドライフード:歯垢対策になりやすく、一般的に栄養バランスが整っています。
- ウェットフード:水分補給に役立ち、嗜好性が高いです。単独ではカロリー過多になることがあるので量を調整します。
- 手作り食:新鮮な食材を使えますが、栄養バランスを意識して補助食材やサプリを検討します。
アレルギー対策
- 原因が分からない場合は、原材料を絞った限定食に切り替え、様子を見ます。
- 獣医師と相談して除去食検査を行うと安全です。
注意する食材
玉ねぎ、にんにく、チョコレート、ぶどう・レーズン、高脂肪の残り物は与えないでください。
切り替え方法
新しいフードは7〜10日かけて徐々に混ぜて切り替えます。急な変更は下痢や嘔吐の原因になります。
以上を基準に、愛犬の体調や好みを観察しながら最適な食事を選んでください。
食事管理の実践的ポイント
基本は規則正しく
毎回同じ量を与え、食事時間も決めます。決まった時間に与えることで消化リズムが整い、過食を防げます。朝夕の2回が基本ですが、年齢や運動量に合わせて回数を調整してください。
正確に量を測る
計量カップや台秤で毎回量を測ります。パッケージの給与量は目安なので、体重や体格に合わせて微調整してください。おやつを与えるときはその分を食事から差し引きます。
おやつは低カロリーに限定
おやつは1日の総カロリーの10%以内に抑えます。野菜や低脂肪の犬用おやつがおすすめです。人間の食べ物は塩分や脂肪が多く、与えないでください。
定期的な体重と体格チェック
週に1回は体重を測り、触診で肋骨の触れ具合を確認します。肋骨が触れにくければ量を減らし、痩せ気味なら増やします。
切り替えと食欲変化の対応
フードを変えるときは1〜2週間かけて少しずつ混ぜます。食欲の急変や短期間で体重が変わるときは早めに獣医に相談してください。
日々の記録をつける
食事の量・時間・おやつ・体重を記録します。記録は見直しの材料になり、病気の早期発見にも役立ちます。