犬用フード・おやつ

犬がフードを食べないのにおやつは食べる理由とは?解説

目次

はじめに

犬がドッグフードを食べずにおやつだけを好む――そんな悩みを抱える飼い主さんは多くいます。本記事は、その原因をわかりやすく整理し、家庭でできる対処法や病気の見分け方、受診の目安まで丁寧に解説します。

この記事の目的

犬がご飯を残す理由を具体的に理解し、まずは家庭で対処できることを試せるようにすることです。必要な場合は獣医師へつなげられるよう、判断のポイントも示します。

対象となる読者

・愛犬がご飯を残す方
・おやつを与えすぎてしまう方
・何が原因か知りたい方

本記事で解説すること

フードの嗜好・鮮度の問題、おやつの与え方、病気やストレス、環境や老化の影響、そして「わがまま」と「病気」の見分け方まで、全12章で順を追って説明します。

注意点

急に食欲が落ち、元気がない・嘔吐や下痢が続く場合は早めに獣医師に相談してください。まずは落ち着いて愛犬の様子を観察しましょう。

犬が「ご飯は食べないのにおやつは食べる」ときの主な原因

はじめに

ご飯を残しておやつは喜んで食べる――多くの飼い主が経験する悩みです。本章では、その代表的な原因を分かりやすく整理します。原因を知ることで、次の対処が見えてきます。

わがまま・選り好み

味や食感に飽きて、嗜好が偏ることがあります。毎回同じおやつをもらうとそちらを期待してご飯を拒む場合があります。

フードそのものの問題

鮮度が落ちている、匂いが弱い、サイズや硬さが合わない、種類が合わないなどで食欲が落ちます。

おやつの与えすぎ

頻繁なおやつは満腹や栄養の偏りを招き、ご飯を食べなくなります。量と頻度を見直してください。

病気や体調不良

口の痛み・消化不良・内臓の不調などがあると特定の食べ物だけを好むことがあります。普段と違う様子があれば受診を。

ストレス・環境変化

引っ越し・来客・騒音などで食欲が落ちることがあります。安心できる環境作りが大切です。

老化による変化

嗅覚や味覚の低下で味の濃いおやつを好み、ご飯を避けることがあります。形や温度を工夫すると改善することがあります。

フードに飽きた・選り好みする「わがまま」型

概要

ドッグフードを残したりおやつだけを喜んだりする行動の多くは“わがまま”が原因です。いつもの味に飽きる、あるいは新しいフードを気に入らないといった単純な理由で選り好みします。

なぜ飽きるのか

  • 味の変化が少なく刺激がないため飽きる。例:長年同じフード。
  • おやつや人間の食べ物でより高い味の期待を覚える。頻繁に与えると「おいしいものが出る」と学習します。

わがままの見分け方

  • 食欲自体はある(おやつを食べる、散歩で元気)
  • 特定のフードだけ残す
  • 食べる時間が遅くなるが完食する日はある
    これらが当てはまると“わがまま”の可能性が高いです。病気のサインと区別するため、元気や排泄に変化がないか確認してください。

対処法(具体的)

  1. おやつの量と頻度を減らす。特に食事前の与えすぎはやめましょう。
  2. フードの切り替えは徐々に行う。まず新旧を混ぜ、数日かけて比率を変えます。
  3. トッピングで興味を引く(少量の茹で野菜や鶏ささみのほぐし身など)。塩や油は控えめに。
  4. 食事の時間と場所を一定にしてルーティン化する。短時間で下げてしまう“待たせる”方法も有効です。

注意点

急にまったく食べなくなる、元気や排泄に普段と違う点がある場合は早めに獣医に相談してください。

フードの鮮度・匂い・種類など「ご飯そのもの」の問題

フードの鮮度や匂いの影響

ドライフードでも時間がたつと脂が酸化して風味が落ちます。匂いに敏感な犬は、それだけで食欲をなくすことがあります。袋を開けたまま長期間放置したり、湿気を吸ってしまうと味が落ちるので注意が必要です。

粒の硬さ・大きさ・形の問題

粒が大きすぎたり硬すぎると、子犬や歯が弱ったシニア犬は噛みにくく感じます。逆に小さすぎると噛む満足感が得られず、食べムラにつながることがあります。粒の形状が合わないと鼻先でつつくだけで終わることもあります。

原材料や風味の違い

たとえば魚系から肉系に変えたとき、香りや味が大きく変わると食べなくなることがあります。穀物や特定のタンパク源が苦手な犬もいるため、原材料が合わない場合は食べづらさを感じます。

シニア犬の嗅覚・味覚の低下

加齢で嗅覚や味覚が鈍ると、普段と同じフードでも興味を示さなくなります。温めて香りを立たせたり、風味の少し違うトッピングを足すと食べやすくなることがあります。

簡単にできるチェックと対策

  • 賞味期限・開封日を確認し、酸化や湿気がないか嗅いで確かめる
  • 保存は密閉容器で冷暗所に。できれば小分けにする
  • 粒の硬さや大きさを見直す(子犬用・シニア用に切替)
  • 温める・少量のぬるま湯や無塩スープで香りを出す
  • 慣れさせるために数日かけて少しずつ種類を変える

急に食べなくなった場合はフード自体の問題か、体調不良のサインか見極めが必要です。食事以外の症状があるときは受診を検討してください。

おやつの与えすぎによる栄養バランスの崩れと満腹

なぜおやつがご飯を食べなくするのか

おやつは少量でもカロリーや脂肪、糖分が高いことが多く、短時間で満腹感を与えます。例えばチーズやジャーキー、犬用でも味付けが濃いものは高カロリーです。結果として主食のドライフードに手をつけなくなりやすいです。

栄養バランスの偏りとその影響

おやつだけで満足すると、たんぱく質・ビタミン・ミネラルなど必要な栄養が不足します。長期間続くと体重増加や皮膚トラブル、免疫力の低下、脂肪の取りすぎによる膵炎リスク増加につながります。

具体的な対策

  • おやつは一日の総カロリーの約10%以下を目安にする。トレーニング用は小さく切る。
  • 与える時間を決め、食事の前は与えない。おやつで満腹にしない習慣をつける。
  • 低カロリーの選択肢(茹でた鶏ささみの小片、茹で野菜)に変える。
  • 量を管理するために計量カップや袋に小分けする。

少しの工夫でおやつの楽しみを残しつつ、栄養バランスと食習慣を守れます。

病気や体調不良が隠れている場合

概要

病気や体の不調は、ご飯を食べない大きな原因です。胃腸の炎症や腎臓病、内分泌(ホルモン)の異常など、さまざまな病気で食欲が落ちます。早めの対応が大切です。

よくある病気と特徴(具体例で説明)

  • 胃腸炎:吐く、下痢をする、食欲が急に落ちる。
  • 腎臓病:口臭やよだれ、嘔吐、飲水量の変化、だるそうにする。
  • 歯や口の問題:歯周病や口内炎で硬いフードが食べにくくなる。やわらかい物は食べられることが多い。
  • 鼻や嗅覚の障害:風邪や鼻詰まりで匂いがわからず、食欲が下がる。
  • ホルモン疾患(甲状腺など)やがん:徐々に食欲が落ち、体重が減ることがある。

観察ポイント(家庭で見るべきこと)

  • 食べない期間(何時間・何日)
  • 吐く、下痢、血尿、頻尿の有無
  • 口臭・よだれ・食べ方の変化
  • 元気の有無・体重の変化

動物病院を受診すべき目安

  • 食欲がほとんどない状態が24時間以上続くとき
  • 嘔吐や下痢が続く、血が出る、ぐったりしているとき
  • 呼吸や排泄に異常があるとき
    早めに診察・検査(触診、血液検査、尿検査、画像検査、歯科検査)を受けてください。

家庭でできる応急処置

  • おやつを控え、フードを温める・少量にして回数を増やす
  • やわらかいウェットフードや低塩の鶏スープを試す
  • 水はいつでも飲めるようにしておく
    重症が疑われるときは自己判断せず受診してください。

ストレスや環境変化による食欲低下

犬は環境の変化や生活リズムの乱れで食欲が落ちます。食欲低下のほか、足をなめる、下痢や嘔吐、元気がない、よく寝るなどのサインが出ます。

ストレスの主な原因(具体例)

  • 飼い主とのスキンシップ不足:散歩や遊び時間が減ると不安になります。
  • 苦手な人や音:来客、工事、雷などで緊張します。
  • 長時間の留守番:孤独感や退屈が続きます。
  • 引っ越しや模様替え、家族の変化:環境が急に変わること。
  • 気候の変化:暑さや寒さ、季節の変わり目で体調を崩します。
  • 運動不足:エネルギーが余り、ストレスがたまります。

飼い主ができる対策(すぐ試せる方法)

  • 生活リズムを整える:食事と散歩の時間を一定にします。
  • 運動と遊びを増やす:短い散歩を回数増やす、知育トイやかくれんぼで頭と体を使わせます。
  • スキンシップを増やす:ブラッシングや軽いマッサージで安心感を与えます。
  • 安心できる居場所を作る:ケージや毛布で落ち着ける空間を用意します。
  • 新しい人やペットは段階的に慣らす:距離を保ちつつ時間をかけて紹介します。
  • 環境改善グッズの活用:犬用フェロモンややさしい音楽を試してみます。

注意点と受診の目安

  • 48時間以上食べない、嘔吐・血便・明らかな衰弱や体重減少がある場合は早めに獣医へ相談してください。

食事環境の問題

説明

犬は周囲の環境に敏感で、食事中の刺激や変化で食欲を失うことがあります。普段落ち着いて食べる場所でも、人の出入りや大きな音、他のペットの存在で急に食べなくなることがあるため、環境の見直しが必要です。

よくある原因と具体例

  • 騒音や人の出入り:テレビや掃除機、子どもの声が大きいと緊張して食べられません。来客が多い玄関近くも向きません。
  • 食器や配置の違和感:新しい金属製の器の音や匂いを嫌がる子がいます。床に直置きされた皿を不快に感じる犬もいます。
  • 食事場所の頻繁な変更:場所をあちこち変えると落ち着かず、食事に集中できません。
  • 食事時間の不規則さ:時間がまちまちだと「今は食べる時間」と認識できず、食を拒否しがちです。
  • 他のペットの存在:横取りされる不安があると急いで食べられない、あるいは避ける場合があります。

対策(具体的な手順)

  1. 静かで一定の場所を決める:人通りが少ない部屋や角を選びます。
  2. 食器を見直す:陶器やプラスチックの器を試し、音や感触を確認します。
  3. 毎日決まった時間に与える:朝夕のルーティンを作り、数日続けて観察します。
  4. 食事場所は固定する:数日間は同じ位置で与えて慣れさせます。
  5. 他のペット対策:別室で与えるか、仕切りを使って安心して食べられる環境にします。

注意点

環境を変えても改善しない、元気がない、体重減少が続く場合は病気の可能性があります。早めに動物病院で相談してください。

老化・加齢による変化

老化で起きる主な変化

高齢になると、味覚や嗅覚が鈍りやすくなります。また消化吸収の力が落ち、必要な量を食べても栄養が足りないことがあります。運動量が減るため必要なカロリーも変わってきます。

口腔(歯・歯茎)の問題

歯周病や歯の欠損で硬いフードが噛みにくくなります。口臭やよだれ、食べにくそうにする仕草が見られたら口腔トラブルを疑ってください。獣医での歯科処置が改善に繋がることがあります。

食欲低下と体重管理

食べる量が減っても体重が急に減る場合は要注意です。逆に運動量が落ちて太りやすくなることもあります。年齢に合わせたカロリー管理が必要です。

食事の工夫(具体例)

  • ドライフードをぬるま湯でふやかす、ウェットを混ぜる
  • 食べやすい小粒やシニア用に切り替える
  • 食事回数を増やして1回の量を減らす
  • 器を低くして舌や首の負担を減らす

受診の目安

急な食欲低下、体重減少、痛がる・口から血が出る・飲み込みに困る場合は早めに受診してください。日常の変化を記録して獣医に伝えると診断がスムーズです。

「わがまま」か「病気」かを見分けるポイント

短期間でご飯を食べない理由が“わがまま”か“病気”かは、行動と体の調子を合わせて見ると分かりやすいです。以下の項目を順に確認してください。

1) 食べ方の違いを見る

  • おやつや人の手からの食事は喜んで食べるが、普段のフードだけ残す:わがままや好みの可能性が高いです。例:新しい味のトッピングには飛びつく。
  • 何も口にしない、または食べようとすると痛がる:病気や歯の問題を疑います。例えば口を気にする、よだれが多いときは要注意です。

2) 併発する症状をチェック

  • 嘔吐、下痢、発熱、元気消失、頻繁な水分摂取の減少や増加、体重減少、呼吸の乱れ:病気のサインです。

3) 持続時間と年齢を考慮する

  • 成人で24~48時間以内に改善する場合は様子見も可。ただし子犬・高齢犬・持病がある場合は早めに受診してください。

4) 簡単な対処と観察法

  • フードを温める、トッピングを少量加える、給餌時間を一定にする。改善がなければ薬や検査が必要です。

これらを参考に判断し、赤い旗(嘔吐や血便、ぐったり、給水量の異常など)が出たらすぐに獣医に相談してください。

ご飯以外のものを食べるかどうか

なぜ重要か

ご飯以外のものを食べるかどうかは、病気か“わがまま”かを判断する大切な手がかりです。おやつや好きなものは喜んで食べるなら、単にフードへの好みや習慣の問題である可能性が高くなります。対しておやつも水も口にしないなら、体調不良の疑いが強くなります。

観察するポイント

  • おやつや人の食べ物は食べるか(例:おやつ、茹でた鶏肉、缶詰など)。
  • 水を十分に飲んでいるか。飲まない場合は危険信号です。
  • 元気や遊ぶ意欲、体重の変化があるか。
  • 嘔吐・下痢・よだれ・呼吸の乱れなどの有無。

具体的な対応

  • おやつは一時的に減らし、規則的な食事時間を作ります。香りの強いトッピングを少量試すことも有効です。
  • 24〜48時間で改善しない、あるいは水を飲まない・元気がない場合は早めに動物病院を受診してください。特に子犬・高齢犬は短時間でも危険です。

併発している症状の有無

ご飯を食べないとき、以下の症状が併発していないかをまず確認してください。重い症状があるときは早めに動物病院を受診することをおすすめします。

注意すべき症状

  • 体重が急に減る
  • 元気がなくぐったりしている
  • 下痢や嘔吐が続く
  • 排泄の回数や色が変わる(血便、黒い便など)
  • 飲水量が増える・尿が多い(多飲多尿)
  • 呼吸が速い・苦しそうにする

受診の目安

上の症状が1日以上続く、または急に悪化する場合は病気の可能性が高いです。特に嘔吐や下痢、ぐったりは早めに診てもらってください。

家でできる応急対応

脱水が疑われるときは少しずつ水を与え、無理に食べさせないでください。嘔吐や呼吸困難があるときは無理に動かさず、すぐに受診を。

動物病院に伝えるポイント

症状の始まった時期、頻度、食べたもの、与えた薬、おやつの量、最近の環境変化を伝えると診断がスムーズになります。

緊急サイン(即受診)

意識がない、呼吸が非常に苦しそう、嘔吐が止まらない、血便・血尿がある場合は迷わず救急を受診してください。

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