犬用フード・おやつ

犬がガムやシロップを誤って食べたときの危険と対処法

はじめに

目的

この章では、犬がキシリトールを含むガムやシロップなどを誤って食べたときの危険性について、分かりやすく説明します。飼い主の方が早く気づき、適切に対応できるように基本的な知識をまとめます。

対象となるもの

キシリトールは無糖のガムやキャンディ、口腔ケア製品、果物風味のシロップや一部の焼き菓子にも使われます。家庭で見落としやすい身近な製品が原因になります。

なぜ注意が必要か

犬は人間と違い、キシリトールを摂取すると短時間で血糖値が下がり、場合によっては肝臓に障害が起きることがあります。少量でも症状が出ることがあるため、誤食に対して迅速な対応が必要です。

本書の使い方

第2章で危険性、第3章で中毒症状と発症時期、第4章で応急処置と対応を詳しく説明します。まずは冷静に状況を確認し、すぐに獣医師へ相談することをおすすめします。

キシリトール含有ガムの危険性

キシリトールとは

キシリトールは甘みを出す人工の甘味料で、人向けのガムや歯磨き粉、キャンディなどに使われます。味は甘く砂糖に似ていますが、犬の体には大きな負担になります。

犬にとっての危険性

犬がキシリトールを摂取すると、短時間で大量のインスリンが分泌され、低血糖(血糖値の急低下)を起こします。さらに一定量を超えると肝障害や急性肝壊死につながる危険があります。目安として、体重1kgあたり約0.1gで低血糖、0.5g以上で急性肝壊死のリスクが高まると報告されています。小型犬では、ガム1粒でも深刻な症状が出る可能性があります。

具体例(体重別の目安)

  • 3kgの犬:低血糖の目安0.3g、肝障害の目安1.5g
  • 5kgの犬:低血糖の目安0.5g、肝障害の目安2.5g
  • 10kgの犬:低血糖の目安1.0g、肝障害の目安5.0g
    市販のキシリトール入りガムは製品によって含有量が異なり、数百ミリグラム〜数グラム含むものがあります。したがって、特に小型犬では1粒で基準を超える場合がある点に注意してください。

早期のサインと家庭での注意点

初期症状には嘔吐、元気消失、ふらつき、震え、食欲不振などがあります。進行するとけいれんや意識障害、黄疸が現れることがあります。家庭では以下に気をつけてください。
- キシリトール含有製品を犬の届かない場所に保管する
- 製品の表示を確認し、成分にキシリトールがないか確認する
- 犬が誤って食べた場合は、量にかかわらず速やかに獣医師に相談する

獣医師の判断と処置が早期回復に直結します。次章では中毒症状の詳しい経過と発症時期を説明します。

中毒症状と発症時期

発症の目安

一般に、キシリトールを含むガムを誤飲した場合、症状は誤飲後30〜60分で現れることが多いです。すぐに異変が出ない場合でも、安全のため最低でも半日は注意深く観察してください。

よく見られる初期症状

  • 嘔吐やよだれが増える
  • ふらつきや歩き方のおかしさ
  • 意識がぼーっとする(反応が鈍くなる)
    これらは比較的軽い段階で見られることが多く、気づいたらすぐに獣医に相談してください。

症状の進行と重症例

症状が進むと、痙攣(けいれん)や虚脱(ぐったりして立てない状態)に至ることがあります。進行が早い場合は数時間で重篤化するため、初期症状を放置しないことが重要です。摂取量が多いほど、また体重が小さい動物ほど重症化しやすいです。

遅れて出る症状について

中には12時間前後してから症状が出始める例も報告されています。したがって、誤飲後に一時的に元気があっても、長時間の観察と必要に応じた受診が必要です。

観察のポイント

  • 食欲や元気の有無をこまめに確認する
  • 嘔吐、よだれ、ふらつき、痙攣、呼吸の乱れがないか見る
  • 気になる変化があればすぐに獣医へ連絡する

早めの受診が予後を良くします。気になるときはためらわずに専門家に相談してください。

応急処置と対応

緊急時の第一対応

キシリトールの摂取で低血糖が疑われる場合は、まず動物病院に電話で相談してください。発症時間や摂取した量、製品名を伝えると診察がスムーズです。したがって、連絡しながら行動を開始します。

意識がある場合

獣医師の指示があるときは、砂糖水やガムシロップ、ブドウ糖ペーストなどを少量ずつ舐めさせます。少しずつ与え、むせたり吐いたりしないか観察してください。無理に口に押し込むと危険です。

意識がない、または反応が鈍い場合

歯茎にブドウ糖やシロップを少量塗り込みます。直接飲ませようとすると誤嚥(ごえん)性肺炎を起こす恐れがあります。したがって、無理に飲ませないでください。すぐに搬送準備を行い、救急対応が受けられる病院へ向かいます。

その他の注意点

・摂取した製品(包装やパッケージ)を持参してください。量と時間が分かると診療に役立ちます。
・初期症状が改善しても再発することがあります。帰宅後もよく観察し、異変があれば速やかに受診してください。

受診時に伝えること

製品名、摂取量、摂取時刻、見られた症状、現場で与えた処置内容(砂糖を舐めさせた等)を伝えてください。これらの情報で獣医師が適切な処置を判断します。

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