目次
はじめに
調査の目的
本調査は、犬がご飯を食べない、または食後に嘔吐する原因とその対処法を分かりやすくまとめることを目的としています。日常でよくある原因から、見落としがちな病気まで幅広く扱い、飼い主さんが冷静に対応できるように解説します。
対象と範囲
対象は家庭で飼われている成犬・老犬を想定します。早食いや食べ過ぎ、フードの不適合、ストレス、消化器や内臓の病気、異物誤飲、感染症など多様な原因を取り上げます。獣医師の診断が必要なケースと家庭での初期対応を区別して説明します。
この記事の読み方
章ごとに原因、吐出と嘔吐の違い、病院受診の目安、具体的な対処法を順に紹介します。写真や専門用語は最小限にし、具体例を使って丁寧に説明します。この記事は獣医師の診断に代わるものではありませんので、異変が続く場合は早めに受診してください。
犬が食後に嘔吐する主な原因
早食いや食べ過ぎ
犬が急いで餌を飲み込むと空気も一緒に入ります。胃が膨らんで吐きやすくなり、時に胃の不快感で嘔吐します。食べ過ぎは胃の負担を増やし、消化不良や嘔吐を引き起こします。対策例：小分け給餌や早食い防止食器の使用。
フードの体質不適合（アレルギー・消化不良）
新しいフードや成分に合わないと、嘔吐や下痢、皮膚のかゆみなどが出ます。ドライフードの脂肪分が高すぎると消化不良を起こすことがあります。症状が続く場合はフードの切り替えや獣医での相談をおすすめします。
ストレスや不安
環境の変化や来客、車酔いなどで胃の調子が悪くなり嘔吐することがあります。落ち着ける場所をつくる、生活リズムを整えるなどで改善する場合があります。
胃腸の疾患（胃炎・腸炎・膵炎など）
ウイルスや細菌、脂っこいものの摂取で胃や腸に炎症が起こると嘔吐します。膵炎は特に強い嘔吐や元気消失、腹痛を伴うことがあります。
異物の誤飲・誤食
おもちゃや骨、ゴミを飲み込むと胃や腸で詰まり、繰り返し嘔吐します。異物が原因の場合は早めの受診が重要です。
内臓疾患（肝臓・腎臓など）
肝臓や腎臓の機能低下でも嘔吐が出ます。慢性的に続く場合や他の症状（食欲不振、元気がないなど）がある場合は内臓の病気を疑います。
感染症・寄生虫
細菌、ウイルス、寄生虫（回虫など）は消化器症状を引き起こします。成犬でも予防や駆虫が不十分だと発症することがあります。
吐出と嘔吐の違い
1) 見た目での違い
吐出（としゅつ）は、食べたばかりのフードがそのままの形で戻ることが多いです。たとえば粒やドライフードの形が残っている場合があります。嘔吐（おうと）は胃や腸の内容物が消化された状態で出ることが多く、液体状や消化された茶色っぽいものが混じります。
2) 起こり方と原因の違い
吐出は早食いや丸飲み、食後すぐの激しい運動、異物の刺激などで起きやすいです。一方、嘔吐は胃腸炎、膵炎、感染症、内臓疾患など体の病気が原因のことが多く、継続する場合は注意が必要です。
3) 行動や症状の違い
吐出は比較的短時間で落ち着き、元気や食欲が保たれることが多いです。嘔吐はぐったりする、下痢、発熱、腹痛を伴うことがあり、元気低下や食欲不振が続く場合が多いです。
4) 観察のポイント
吐出か嘔吐か迷ったら、出たものの状態（フードの形、色、臭い）、タイミング（食後すぐか時間が経ってか）、回数、犬の様子を観察してください。動画を撮って獣医に見せると診断が早くなります。
病院受診の目安
いつすぐ受診すべきか
- 嘔吐が繰り返す（短時間に2〜3回以上）場合は早めに受診してください。特に子犬や高齢犬、持病のある犬は危険が高くなります。
- 嘔吐と同時に下痢、血が混じる、皮膚や歯茎が白い、ぐったりしている、体温が異常に高い・低いといった症状があれば緊急で受診が必要です。
受診の目安の例
- 一度だけ吐いて元気や食欲がある：自宅で様子を見て良い場合もあります。食事を少量に減らし、水分補給を心がけてください。
- 短時間に何度も吐く、吐き続ける：受診してください。脱水や電解質の乱れが進行する可能性があります。
病院で行うこと、準備
- 持ち物：嘔吐物の容器（可能なら）、直近の食事内容（市販フード名や手作りなら材料）、常用薬の情報を持参してください。
- 検査：触診、血液検査、レントゲンや超音波、便検査などを行うことがあります。血液検査で肝臓や腎臓の異常、感染や脱水の指標が分かります。
- 治療例：点滴で水分と電解質を補う、吐き気止めの投与、必要なら入院で経過観察します。
症状が頻繁に起きる場合や改善が見られない場合は、専門的な診察を早めに受けてください。
対処方法
対処の基本
食べすぎや早食いが原因と考えられる場合は、まず「食べ方」と「環境」を見直します。食事の与え方を工夫するだけで症状が改善することが多いです。
具体的な方法（すぐ試せる対策）
- 回数を増やす: 1日1回を2回〜4回に分け、1回の量を減らします。胃に負担をかけにくくなります。
- ゆっくり食べさせる: スローフィーダーや仕切り付きの皿、フードを床に散らす「スキャッターフィード」で速度を落とせます。
- おもちゃで時間を延ばす: フードディスペンサーやパズルトイに入れて遊びながら食べさせます。
- 食器や位置を工夫: 深すぎない皿や滑り止めマットを使い、他の犬と離して与えます。
- 食事前後の運動を控える: 食後30分〜1時間は激しい運動を避け、落ち着いた場所で休ませます。
環境とストレス対策
- 騒音の少ない静かな場所で食事を与えます。
- 他の動物や人が近づかないようにし、食事中はそっとしておきます。
- 食事時間に不安を示す犬には、落ち着かせる声かけやルーティンを作ります。
フードや量の見直し
- 食事の量は体重や年齢に合わせて正確に計ります。計量カップで簡単に測るよりも、キッチンスケールで量ると正確です。
- フードを急に変えると胃に負担がかかるので、切り替えは1〜2週間かけて段階的に行います。
注意点
- これらの対策で改善が見られない、血の混ざった嘔吐や元気がない場合はすぐに動物病院を受診してください。
まとめ
食後に嘔吐する犬は、生活習慣の見直しで改善することが多いですが、内臓の病気が隠れている場合もあります。普段から観察を続け、早めに対応することが大切です。
主なポイント
- 一回だけの嘔吐や食べ過ぎは軽度のことが多いです。
- 頻繁な嘔吐や元気の低下、血が混じる場合は注意が必要です。
家庭でできる対処
- まず落ち着いて様子を観察します。
- 2〜12時間ほど食事を休ませ、水は少量ずつ与えます。
- 吐き気が落ち着いたら消化に良い少量の食事を回数分けで与えます（例：白いご飯少量と茹でた鶏肉の一部）。
- 食べ方や飲み方、嘔吐回数を記録しておくと獣医に伝えやすくなります。
受診の目安（すぐに病院へ）
- 嘔吐が何度も続く、24時間以上止まらない
- 血が混じる、呼吸が苦しそう、ぐったりしている
- 腹部の痛がる様子、飲水ができない
- 生後間もない、老犬や持病がある場合
最後に、早めの受診で重い病気を防げることが多いです。気になる症状があれば、迷わず獣医師に相談してください。