犬用フード・おやつ

犬がごはんを食べて吐く原因と対処法を詳しく解説

はじめに

目的

本ドキュメントは、犬がごはんを食べた後に吐いてしまう問題について、原因や家庭でできる対処法、危険な症状の見分け方などを獣医師の解説をもとにわかりやすくまとめたものです。飼い主さんが不安をやわらげ、適切に対応できることを目指します。

対象読者

食後の嘔吐に悩む飼い主さんを主な対象としています。初めての飼い主さんや、何度か経験がある方にも読みやすいように専門用語は最小限にし、具体例を交えて解説します。

本書の構成と読み方

全7章で、原因の種類、吐くタイプの見分け方、受診の目安、自宅でできるケア、フードや食べ方の工夫などを順に説明します。まずは第2章で原因を理解し、その後に具体的な対処法を確認すると実践しやすくなります。

注意点

本書は獣医師の一般的な解説に基づきますが、個々の症状には例外があります。吐き方がひどい、ぐったりしている、血が混じるなどの症状がある場合は、すぐに動物病院を受診してください。

犬がごはんを食べて吐く主な原因

早食い・食べすぎ

犬が短時間で大量に食べると、胃に負担がかかり消化しきれず吐きます。特にフードを丸呑みする子や、多頭飼いで競争がある環境で起こりやすいです。対策例:ゆっくり食べさせる器や少量ずつ与える方法。

消化不良・食物アレルギー

合わない食材や急なフード変更で消化不良を起こします。アレルギーでは皮膚症状や下痢も伴うことが多いです。フードの種類やおやつを見直してください。

異物の誤飲

おもちゃ、布、石などを飲み込むと胃や腸を刺激して嘔吐します。誤飲が疑われるときは早めに受診が必要です。

ストレス・環境の変化

引っ越し、来客、生活リズムの変化で気持ちが不安定になると吐くことがあります。静かな場所で休ませ、普段のリズムに戻すことが助けになります。

消化器系や全身性の病気

胃炎、膵炎、肝臓や腎臓の病気などが原因で吐くことがあります。慢性的に続く、血が混じる、元気がない場合は早めに動物病院で検査を受けてください。

その他(薬・毒物)

薬や植物、家庭用品の誤食でも嘔吐が出ます。心当たりがある場合は獣医に相談してください。

吐くタイプの違いと見極め

犬の嘔吐には大きく「吐出(としゅつ)」と「嘔吐(おうと)」の二種類があります。見分け方を知ると対処が楽になります。

吐出(食べてすぐ吐く)

  • 特徴:食べた直後に未消化のまま戻す。形や匂いがそのまま残ることが多いです。
  • 主な原因:早食い、空気を一緒に飲む、食道の通りが悪い、誤飲や詰まり。
  • 注意点:何度も続く、息づかいや咳がある、異物の可能性がある場合は早めに受診してください。

嘔吐(食後しばらくして吐く)

  • 特徴:数時間たって消化が進んだ状態や胃液(泡や黄色っぽい胆汁)を吐くことが多いです。
  • 主な原因:急性胃炎、消化不良、食べ合わせや食べ過ぎ、ストレス、薬の副作用、感染症。
  • 注意点:元気や食欲の低下、下痢、発熱があれば受診を検討してください。

見分けるための実践ポイント

  • 吐いた時間(食後すぐか時間が経っているか)を記録する。
  • 嘔吐物の状態(未消化か消化物か、色や量)を写真で残す。
  • 回数や間隔、同時の症状(元気、排便、呼吸)を観察する。

これらを把握して動物病院へ伝えると、診察がスムーズになります。

危険な嘔吐のサインと受診の目安

はじめに

犬が吐くのは時々あることですが、早めに受診が必要な場合があります。ここでは具体的なサインと、受診の目安をわかりやすく説明します。

受診をおすすめする主なサイン

  • 1日に何度も吐く:数回以上続く場合は脱水や重い病気の可能性があります。すぐに受診してください。
  • 数日続く嘔吐:24時間を超えて続くと体力を消耗します。早めに診てもらいましょう。
  • 元気消失や食欲不振:ぐったりして普段の反応がないときは要注意です。
  • 下痢や発熱を伴う:感染症や中毒の可能性があります。症状が重いときは早めに受診してください。
  • 吐いたものに血が混じる:胃や食道の出血が疑われます。緊急で診察が必要です。
  • 水も受け付けない:脱水が急速に進みます。すぐに病院へ行ってください。
  • ぐったりして呼吸が苦しそう:生命に関わる可能性があります。迷わず緊急受診を。

1回だけ吐いた場合の目安

  • 元気や食欲があり、吐いた後落ち着いているなら、まず24時間ほど様子を見てもよいです。水は少量ずつ与え、食事は数時間控え、消化の良いものを少量から始めます。
  • ただし翌日以降に再び吐く・元気がなくなる・他の異常があれば早めに受診してください。

受診時に伝えると良い情報

  • 吐いた時間・回数・色や内容(血や異物の有無)
  • 最近食べたものや薬、外での行動(異物誤飲の可能性)
  • ワクチンや持病の有無
    これらを伝えると診断がスムーズになります。

自宅でできる対処法

まず落ち着かせる

愛犬が吐いたら、慌てず静かな場所に移し、安静にさせます。吐しゃ物は写真や保管しておくと獣医に伝える際役立ちます。

絶食(胃腸を休ませる)

軽度の嘔吐では半日〜1日ほど食事を控えます。子犬や高齢犬、持病のある犬は短時間の絶食でも危険になるので、獣医に相談してください。

少量ずつの水分補給

一度にたくさん与えると再び吐くことがあります。1〜2口ずつ、10〜15分おきに与え、飲めるか確認します。吐き気が止まらないときは無理に飲ませないでください。

食事の再開はゆっくりと

吐き気が治まったら、消化に良いものを少量から与えます。具体例:ゆでた鶏胸肉(皮なし)と白米をよくほぐしたもの、またはいつものフードをぬるま湯でふやかしたもの。1回量を少なくして一日に数回に分けます。

早食い対策と生活の工夫

・スローフィーダーやマットに広げるなど量を減らして食べさせる
・食後すぐの激しい運動を避け、安静にさせる(少なくとも30分〜1時間)
・食事の時間を決めて間食を控える

以上の対処で改善しない場合や、血の混ざった嘔吐、高熱、ぐったりなどがあれば速やかに受診してください。

フードや食べ方で気をつけるポイント

1. 原材料の選び方

穀類(小麦・トウモロコシなど)は一部の犬で消化不良やアレルギーの原因になります。まずはフードの主原料を確認し、皮膚のかゆみや下痢、嘔吐が続く場合は穀物を含む製品を疑ってください。穀物不耐症が疑われるときは、穀物フリーや消化に優しいラム・魚・さつまいもなどの素材を試すとよいでしょう。新しい素材は少量から様子を見てください。

2. フードの切り替え方

急な切り替えは吐きや下痢を招きます。1〜2週間かけて徐々に移行してください。目安は最初は新しいフード10%混ぜ、数日ごとに割合を増やす方法です。少量ずつ変えることで腸内環境が整いやすくなります。

3. 食事の与え方と環境

食後すぐの激しい運動や興奮は避けます。食後は静かな場所で休ませ、少なくとも30分〜1時間は激しい遊びをしないようにします。また、早食いする犬は吐きやすいので、スローフィーダーやフードを小分けにする工夫をしてください。

4. 個別の対策(早食い・アレルギー)

早食いにはお皿に障害を置いたり、重めのボウルを使う、床に散らすように与える「散らし給餌」がおすすめです。深胸犬種は胃捻転のリスクがあるため高い位置の給餌や一度に大量に与えることを避けてください。アレルギーが疑われる場合は獣医に相談のうえ、除去食を試しましょう。

5. 保存とおやつの注意

フードは湿気や虫を避けて密封保存し、賞味期限を守ってください。人間の味付けした食べ物や脂っこいおやつは吐きやすくなるので控えめにします。治らない嘔吐や食欲不振が続く場合は早めに受診してください。

まとめと注意点

犬がごはんを食べて吐くことはよくある症状ですが、観察が大切です。

  • 観察ポイント
  • 頻度:1回だけで元気なら経過観察でよいことが多いです。1日に2〜3回以上や繰り返す場合は早めに受診してください。
  • 吐いたもの:血が混じる、黒っぽい、緑色、未消化の食べ物、異物などは要注意です。
  • 体調の変化:ぐったりする、元気がない、食欲不振、下痢、発熱、腹部の張りがある場合はすぐに受診を。

  • 応急処置の目安

  • まずは落ち着かせて水は少量ずつ与える。ごはんは数時間お休みします。
  • 人用の薬や民間療法は避けてください。

  • 予防と記録

  • 食事回数を分ける、早食い防止器を使う、拾い食いを防ぐことが有効です。嘔吐の回数や時間、吐いたものの写真を記録すると診察がスムーズになります。

早めの受診が安全です。特に子犬や高齢犬、既往症がある子は慎重に対応してください。

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