目次
はじめに
概要
犬が下痢をしたときの手作りごはんは、消化にやさしく脂肪分を抑え、味付けをしないことが基本です。少量を回数多く与え、様子を見ながら徐々に通常の食事へ戻します。急に食欲が落ちたり、症状が長引くときは早めに動物病院で受診してください。
手作りごはんの基本ポイント
- 消化の良い食材を選ぶこと。調理は茹でるか蒸すのが安全です。
- 油や塩、調味料は使わないでください。脂肪分は下痢を悪化させやすいです。
- 少量ずつ頻回に与え、便の状態と水分摂取を観察します。
すぐに受診すべきサイン
- 血便や黒い便が出る
- 激しい嘔吐が続く
- 元気が極端にない、ぐったりしている
- 脱水の徴候(口が乾く、皮膚の弾力が弱い)
次章ではまず確認すべきことを詳しく説明します。
まず確認すべきこと
すぐに受診が必要なサイン
- 元気や食欲が極端に低下している
- 何度も吐く、または血の混ざった嘔吐がある
- 血便やゼリー状(粘液状)の便が出る
- 高熱がある、ぐったりして自力で起き上がれない
これらが見られたら、速やかに獣医師に連絡して受診してください。応急処置や搬送での注意点を指示してくれます。
特に注意する犬
- 子犬や高齢犬
- 心臓病や糖尿病など持病がある犬
- 妊娠中の犬やワクチン接種後すぐの犬
これらは症状が悪化しやすいので、少しの変化でも早めに相談してください。
自宅で確認するポイント
- 食欲や水分摂取の量・回数を記録する
- 嘔吐や下痢の頻度、便の色や形(血や粘液の有無)を確認する
- 体温(可能なら)や歯茎の色で脱水の有無を見る
- 動きや反応の変化(ぐったりしているか)を観察する
症状が長引く場合や重い場合は受診が必要です。
受診前に準備すること
- 最後に何を食べたか、いつ食べたかのメモ
- 投薬中なら薬の名前・量・開始日
- できれば便や嘔吐物の写真や小さな容器に入れたサンプル
- 保険証やワクチン履歴のコピー
これらを持参すると診察がスムーズです。市販の人用薬は与えないでください。
下痢時に向く食材
なぜ味付けなし・油抜き・よく火を通すか
下痢のときは消化に負担をかけないことが大切です。味付けや脂は腸を刺激しやすく、火を通すことで細菌や消化しにくい部分をやわらげます。
具体的な食材と調理法
- 白がゆ(柔らかめ)
- 米を多めの水で長めに煮て、とろみをつけます。塩は入れません。
- 鶏むね肉・ささみ(皮と脂を除く)
- くずれないように弱火でゆで、繊維がほぐれるまで火を通します。薄く裂いて与えます。
- 白身魚(骨を取り除く)
- 蒸すか湯通しして、ほぐしてから与えます。生は避けます。
- 蒸したかぼちゃ・さつまいも(少量)
- ほっくりするまで蒸し、皮は除いて一口大にします。繊維が気になる場合はつぶします。
与え方の目安
少量をこまめに、まずは様子を見ながら与えます。急に量を増やさず、一回分は普段の半分程度から始めるとよいです。
注意点
- 香辛料や油、濃い味付けは避けます。
- 食材は必ず十分に火を通し、骨や硬い皮は除いてください。
- 発熱や血便、ぐったりが続く場合は医療機関へ相談してください。
簡単な手作りメニュー例
以下は下痢のときに作りやすい、やさしい手作りメニューの例です。調理はシンプルにして、味付けはしません。
基本の作り方
- 白がゆ:米1に対して水6〜8(ひとさじの目安ではなく鍋や炊飯器で柔らかめに炊く)。柔らかくなったら裏ごしやすりつぶしてペースト状にすると消化に良いです。
- 加えるたんぱく:ゆでたささみや白身魚を繊維が崩れるまでほぐします。脂が少ない部位を選びます。
メニュー例1:白がゆ+ゆでささみ
- ささみ1本(約50g)をゆで、細かくほぐす。皮は取り除く。
- 白がゆ100〜150gにささみ10〜20gを混ぜる。
- 冷ますと固くなるので、温かいうちに与えます。
メニュー例2:白がゆ+白身魚
- タラやスズキなど脂の少ない白身魚20〜30gを蒸すかゆでる。
- 骨や皮を取り除き、細かくほぐして白がゆ100〜150gに混ぜる。
メニュー例3:かぼちゃペースト+白がゆ少量
- かぼちゃを蒸して柔らかくし、裏ごしする(甘味は加えない)。
- 白がゆ少量にかぼちゃ10〜20gを混ぜて、食感を調整します。
与え方の目安
- 普段のごはん量の1/3〜1/2を目安に、1日3〜4回に分けて与えます。
- 冷たいものは避け、温かい状態で与えてください。
- いつもより食いつきが悪ければ無理に与えず、少量ずつ回数を増やします。
与え方のポイント
下痢のときは与え方で回復が早まります。ここでは分かりやすくポイントをまとめます。
少量を何回かに分ける
一度に多く与えず、少量を3〜6回に分けて与えます。胃腸に負担がかかりにくく、吐き気や悪化を防げます。食事量の目安は普段の半分以下から始めて、様子を見て増やします。
水は常温でこまめに
冷たい水は胃腸を刺激します。常温の水を少しずつ頻回に与えて脱水を防ぎます。飲めないときは小さな容器で何度か誘ってください。
手作りごはんの期間と切り替え
手作り食で1〜2日様子を見て便の状態が安定したら、徐々に通常のフードに戻します。最初は手作り7割・通常3割くらいから始め、1〜2日ごとに通常食の割合を増やします。
温度や形状の工夫
温かくして柔らかくすると消化しやすくなります。塊を細かくほぐすか、湯でやわらかくして与えます。
注意するサイン
血便、激しい嘔吐、ぐったり、高熱が続く場合はすぐに受診してください。また、飲水量が極端に減るときも注意が必要です。
避けたほうがよいもの
- 乳製品(牛乳・ヨーグルトなど)
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多くの犬や猫は乳糖を分解する酵素が少なく、下痢や軟便を起こしやすいです。どうしても与えるなら少量の無糖ヨーグルトなど、様子を見ながらにしてください。
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脂肪の多い肉・皮・揚げ物
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脂肪分が高いと消化不良や膵炎を招くことがあります。皮や脂身は取り除き、蒸すか茹でたものを選びます。
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人間用のスープや味付け(塩分・だし・調味料)
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塩分や油、化学調味料は胃腸に負担をかけます。素材は薄味の茹で汁で代用してください。
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玉ねぎ・ネギ類・ニラ・香辛料入りの料理
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これらは赤血球を破壊する成分を含み、貧血や中毒を起こす恐れがあります。にんにくも注意が必要です。
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チョコレート・カフェイン・アルコール・ブドウ・レーズン・生の骨
- 中毒や窒息、消化管損傷のリスクがあります。確実に避けてください。
与え方の工夫:完全に避けられない場合は獣医に相談し、少量から様子を見ます。普段から安全な食材(白いご飯、茹で鶏、かぼちゃ、にんじんなど)を用意しておくと安心です。