はじめに
本章の目的
この章では、犬の無添加ダイエットフードを選ぶ際の基本をやさしく説明します。どのような点に注意すればよいか、後の章で詳しく扱う内容の見取り図として読んでください。
無添加ダイエットフードとは
「無添加」は合成の保存料、着色料、香料などを使っていないことを指します。天然の素材を中心に作られ、添加物に敏感な犬や食いつきにこだわる飼い主さんに向きます。ただし、表示はメーカーごとに差があるため、原材料表示や成分表を必ず確認してください。
ダイエットで見るべき基本ポイント
- カロリー表示:パッケージの1日あたりの目安や100gあたりのkcalを確認します。急激に減らさず、まずは現在の量から10~20%程度の減量を目安に調整します。獣医師と相談すると安心です。
- 脂質の傾向:脂肪分が控えめの製品はダイエット向きです。成分表の脂肪(脂質)や総合カロリーをチェックしましょう。
- 体質との相性:年齢、体重、アレルギーの有無、持病を考慮します。特に持病がある場合は必ず獣医師に相談してください。
本記事の構成(予告)
次章で「無添加ダイエットフードを選ぶポイント」を詳しく説明し、第3章で代表的な製品例、第4章でダイエット時の考え方、第5章で迷ったときの選び方を紹介します。まずは基本を押さえて、安全で無理のないダイエットを目指しましょう。
無添加ダイエットフードを選ぶポイント
まず原材料表示をチェック
原材料欄で「香料、着色料、合成保存料、BHA/BHT、エトキシキン」などの人工添加物が使われていないか確認します。表記は商品ごとに違いますが、添加物名が明記されていれば避けられます。原料は多い順に並ぶため、主原料が肉類かどうかも見てください。
脂質とカロリーの目安
体重管理用なら脂質はおおむね12%以下、カロリーは300~360kcal/100g程度を目安に選びます。脂質が低めでエネルギー密度が抑えられていると減量が進みやすくなります。パッケージの「保証分析」や栄養成分表示で脂質(Crude Fat)とカロリー(kcal/100g)を確認しましょう。
主原料は高たんぱく・低脂肪の動物性タンパク質
主原料が鶏肉、ターキー、鹿肉などの高たんぱく・低脂肪の肉類だと、筋肉を維持しながら体重を落としやすくなります。原材料欄で肉類が最初に書かれているものを選ぶと安心です。
比べ方と実用的なポイント
同じ「無添加」と書かれていても成分は違います。脂質やカロリーを比較し、主原料の順番を見比べてください。また、ドライとウェットでエネルギー密度が変わるため、100gあたりの数値で比べると分かりやすいです。給与量の目安が書かれているか、獣医の指示に合わせやすいかも確認しましょう。
注意点
アレルギーがある犬は原材料を細かく確認してください。食いつきだけで選ぶとカロリー過多になりやすいので、成分と量の両方を管理することが大切です。
代表的な無添加系ダイエットフード例
※どれも「無添加志向かつ体重管理向きのタイプがある銘柄」の一例です。必ず愛犬の年齢・持病・体調に合うか獣医師と相談してください。
国産無添加&体重管理設計(例:体重管理用ソルビダ グレインフリー)
高たんぱく・低脂肪でカロリーを抑えた体重管理用ラインがあります。人工保存料・香料・着色料を使わないタイプが多く、筋肉量を維持しながら体重を落とす設計です。給与量はパッケージの指示を基準に、体重の変化を見ながら調整してください。体重が落ちにくい場合は獣医師と相談を。
野生鹿肉などの国産無添加ダイエットフード
鹿肉は高たんぱく・低脂肪で、一般的な肉に比べてアレルギーが出にくいことがあります。ダイエット中の犬に向く一方、初めて与える場合は少量から試してお腹の様子を確認してください。
魚(白身)ベースの低脂肪タイプ
白身魚を主原料にした無添加ラインは脂肪が少なく、消化に優しいことが多いです。EPA/DHAが含まれる種類もあり、皮膚や被毛のケアにも役立ちます。魚アレルギーのある犬は避けましょう。
限定原材料(LID)でカロリー管理
原材料を絞った製品は、食物アレルギーや胃腸が敏感な犬に向きます。余分な添加物を使わず、カロリーをコントロールしやすい点が利点です。栄養バランスを保つために総合栄養食かどうかを確認してください。
ウェットやトッピングで満足感アップ
低カロリーの無添加ウェットや、低脂肪のトッピングを併用すると満腹感が上がり、ドライフードの量を減らしやすくなります。水分が増えるため便の様子を確認しながら与えてください。
無添加ドッグフードとダイエットの考え方
無添加は低カロリーとは限らない
「無添加」は保存料や着色料などの不使用を示しますが、必ずしもカロリーや脂質が低いわけではありません。パッケージのカロリー表示(kcal/100gや1カップ当たり)と脂質量を必ず確認してください。目安として、フードの推奨給与量を基に一日の総摂取カロリーを計算します。
切り替えはゆっくり行う
急なカロリー制限や突然のフード変更は食欲不振や下痢につながります。新しい無添加フードへは7〜10日かけて少しずつ混ぜながら移行してください。最初は新フード10%から始め、毎日比率を増やします。移行中はうんちの状態や食欲、元気さを観察しましょう。
おやつと運動もセットで見直す
フードだけで減量を図ると効果が出にくい上、栄養バランスを崩す恐れがあります。おやつは低カロリーのものに替え、与える量を明確に数えます。散歩時間や遊びの時間を少し増やして消費エネルギーを上げると安全に体重を落としやすくなります。
実践チェックポイント
- ラベルでkcalと脂質量を確認する
- 体重は週1〜2回同じ条件で測る
- 体型(ボディコンディションスコア)も目で確かめる
- 目標は急激でなく、まずは体重の5〜10%減を目安に段階的に進める
注意点
持病がある場合や高齢犬は体調を見ながら獣医に相談してください。必要ならカロリー計算や食事管理を専門家に任せると安心です。
迷ったときの選び方のコツ
候補の絞り方
まず「体重管理用」「ライト」「ダイエット」と表示され、かつ人工添加物不使用をうたう製品に絞ります。成分表示で人工的な着色料・保存料・香料が入っていないか確認してください。
愛犬の好みと年齢、アレルギーで選ぶ
鶏・魚・ラム・鹿など、愛犬が好む主原料を優先します。子犬・成犬・シニアと年齢に合った仕様を選ぶことが大切です。食物アレルギーがある場合は、含有原料を必ず確認してください。
獣医師に相談する準備
体重・年齢・現在のフード名をメモして、かかりつけの動物病院で「無添加のダイエットフードを探している」と相談します。獣医師は個体に合った細かなアドバイスをしてくれます。
与え方と経過観察のコツ
切替は徐々に1〜2週間かけて行ってください。急な切替は避けてください。給餌量はパッケージの目安だけでなく、体重の変化を見ながら調整します。週に1回は体重を測り、必要なら獣医師と相談して調整しましょう。
その他の注意点
おやつや人の食べ物の与えすぎに注意します。運動量も合わせて見直すと効果が出やすくなります。