犬用フード・おやつ

犬の結石予防に最適なフード選びと注意点完全ガイド

はじめに

本章の目的

この章では、犬の尿路結石に向き合うときの基本的な考え方をお伝えします。結石の種類に合わせた食事管理と水分管理が重要で、まずは獣医師に相談することが安全です。

なぜ受診が必要か

尿路結石にはいくつか種類があり、原因や治療法が異なります。見た目や症状だけで判断すると、適切でないフードを選んでしまう恐れがあります。まず尿検査や場合によっては画像検査を受け、結石の種類を確認しましょう。

フード選びの基本姿勢

結石の種類に合った療法食を、獣医師の指示で選びます。ミネラル(特にカルシウムやマグネシウム、リン)の量と水分量を調整することがポイントです。市販の一般フードを自己判断で切り替えるより、診断結果に基づく選択を優先してください。

受診前にできる準備

・最近の症状をメモする(血尿、頻尿、食欲変化など)
・普段与えているフードの名称と成分表示を持参する
・可能なら新鮮な尿サンプルを持って行くと検査がスムーズです

以降の章で、結石の種類別の特徴、避けるべきフード、実際のフード選びの手順や日常で気をつける点を詳しく説明していきます。

結石とフードの基本

結石の種類と特徴

犬の尿路結石で特に多いのはストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石です。ストルバイトは尿がアルカリ性(pHが高い)になるとできやすく、シュウ酸カルシウムは逆に酸性(pHが低い)で起こりやすい傾向があります。どちらの結石かで必要な食事が変わります。

食事で調整するポイント

  • 水分量を増やす:ウェットフードやぬるま湯を混ぜると尿量が増え、結石の再発を防ぎやすくなります。
  • ミネラル管理:マグネシウムやリンはストルバイトに関係しやすく、カルシウムやシュウ酸はシュウ酸カルシウムで問題になります。具体例として、ほうれん草やビートなどシュウ酸が多い食材は控えると良い場合があります。
  • 尿pHの調整:メーカーの療法食は尿をやや酸性に保つものや、逆に極端な酸性化を避けるものなど、目的別に設計されています。

療法食とは

療法食は獣医師の診断のもとで使う専用のフードです。成分バランス(ミネラル量やタンパク質)、水分、そして尿pHを管理することで結石の溶解や再発予防を目指します。市販の一般食とは成分の配慮が異なるため、独断で切り替えず獣医師に相談してください。

実際の管理と注意点

定期的な尿検査や画像検査で状態を確認します。フードを変えてもすぐに効果が出ないことがあるため、継続と観察が大切です。食材を手作りする場合は栄養バランスが崩れやすいので、獣医師やペット栄養士に相談してください。

避けたいフード・おやつ

基本方針

結石のリスクがある犬には、ミネラル(マグネシウム・リン・カルシウム)が多いもの、塩分の高いもの、プリン体が多いものを避けてください。特に頻繁に与えるものや毎日のトッピングは注意が必要です。獣医師の確認なくサプリや独自トッピングを追加しないでください。

避ける具体例

  • 乳製品(チーズ、牛乳、ヨーグルトなど): カルシウムや脂肪が高く、結石を促すことがあります。
  • 骨や骨粉入りのフード・おやつ: カルシウムとリンが過剰になりやすいです。
  • 塩分の高いおやつ・人間の加工食品(ジャーキー、ハム、スナック類): 尿の濃縮を招きやすく、石につながります。
  • 内臓肉やイワシ・アンチョビなどの魚: プリン体が多く、尿中の物質バランスを崩す可能性があります。
  • 濃縮されたトッピング(骨ブロスや高ミネラルのソース): 少量でもミネラルが高いことがあります。

避けるサプリ・商標表現

  • 「高カルシウム」「高タンパク」を強調するサプリやボディメイク向けの粉末: 無断で追加しないでください。
  • 市販の“強化”トッピング: 成分表示を確認し、獣医師に相談してください。

与え方の注意点

  • 少量でも頻繁に与えるのが危険です。ごほうびやトッピングは回数を減らしましょう。
  • 成分表示(カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、プリン体が分かれば確認)を見てください。分からなければ獣医師に相談してください。

獣医師と相談し、個々の犬の状況に合わせて安全な代替品を選んでください。

フード選びの実務ポイント

パッケージ表示の読み方

フードを選ぶときはまず表示を確認します。パッケージに「尿路ケア」「尿石管理」「ストルバイト用」「シュウ酸カルシウム用」など目的が明記されているものを選びます。「動物病院専用」「療法食」と書かれている場合は、必ず獣医師と相談してください。

結石の種類が分からないときの注意

結石の種類が不明なまま自己判断でpH調整系のフードを切り替えると、別の結石を悪化させる可能性があります。原因が分からない場合は、まず検査(尿検査や画像診断、結石があれば成分分析)を受けてください。

成分表示で見るポイント

  • マグネシウム、リン、カルシウム量をチェックします。製品ごとに違いがあるので、獣医師の指示に合わせて選びます。
  • 塩分や蛋白質の量も確認します。腎臓や心臓に問題がある場合は別の配慮が必要です。

購入・切り替えの実務手順

  1. 獣医師と相談して目的の療法食を決める。2. 既存フードからは1〜2週間かけて少しずつ切り替える。3. 切り替え後は尿のpHや排尿状況、体重を観察し、定期検査を受ける。

おやつや間食の扱い

おやつも成分により影響します。療法食を与えている間は、獣医師が許可した専用おやつ以外は控えてください。

獣医師との連携

フードの選択・変更は獣医師と情報を共有して行ってください。検査結果やパッケージの写真を保存しておくと相談がスムーズです。

フード以外で気をつけること

いつでも清潔な水を用意する

犬が自由に飲めるように、新鮮で清潔な水を常に用意してください。複数の水飲み場を用意すると、飲む回数が増えます。ウォーターファウンテンや浅めの器を使うと好む犬も多いです。濡れたフード(ウェットフードやふやかしたドライ)を混ぜると水分摂取量が自然に増えます。

飲水量を増やす工夫

氷を入れてみる、低塩のチキンブロスを少量足す、味の好みに合わせて器を替えるなどで飲む量が増えることがあります。無理に飲ませるより、自発的に飲める環境作りを優先してください。

トイレの環境を整える

おしっこを我慢させないことが大切です。散歩回数を増やす、室内トイレトレイを清潔に保つ、長時間のケージ拘束を避けるなどで排尿の機会を確保してください。留守が長いときは、ペットシッターや犬用デイケアの利用を検討すると安心です。

症状が出たら早めに受診する

血尿、頻尿、排尿時の痛みやそわそわした様子があれば、すぐに獣医師に相談してください。早期対応で負担を軽くできることが多いです。家庭での自己判断で様子を見るのは避けましょう。

再発予防と療法食の継続

一度結石になった犬は再発しやすい傾向があります。獣医師がすすめた療法食は勝手に中断したり、別のフードへ急に切り替えたりしないでください。おやつやサプリも獣医師に相談のうえで選んでください。

定期検査と記録を行う

定期的な尿検査や必要に応じた検査で状態を確認します。飲水量やトイレ回数、気になる変化をノートやスマホで記録すると、受診時に役立ちます。獣医師と相談しながら、生活の工夫を少しずつ調整してください。

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