犬用フード・おやつ

犬のクレアチニンが高い時に知るべき食事のポイント

はじめに

このドキュメントは、犬の血液検査でみられるクレアチニン値の上昇と、その原因、特に食事との関連を分かりやすく解説するために作りました。飼い主さんが日常の変化に気づきやすくなり、早めに適切な対応が取れることを目的としています。

クレアチニンとは何か

クレアチニンは筋肉の働きで生まれる老廃物で、腎臓が血液から取り除きます。血液検査で値が高いと、腎臓の働きに問題がある可能性があるため注意が必要です。ただし、筋肉量や脱水の影響も受けますので、値だけで決めつけないことが大切です。

なぜ食事が関係するのか

食事は犬の体調全体に影響します。たんぱく質や水分の量、与える食材の種類によってクレアチニン値や腎臓への負担が変わることがあります。本書では具体的な例を挙げて、日常のごはんで気をつけるポイントを説明します。

この章の使い方

以降の章で基礎知識、検査結果の見方、腎臓病との関係、食事管理の方法、検査時の注意点、そして実際の対処法を順に解説します。まずは心配になったときに慌てず情報を整理できるように読み進めてください。必要があれば動物病院で検査や相談を受けてください。

犬のクレアチニンについて~血液検査の異常値と食事の関係~

概要

クレアチニンは筋肉中の物質が分解されてできるもので、腎臓が正常に働いていないと血液中に増えます。本章では血液検査での異常値と食事の関係を分かりやすく説明します。

クレアチニンとは

クレアチニンは体内でほぼ一定に作られ、腎臓でろ過されて尿として出ます。検査で高ければ腎機能低下の可能性を示しますが、必ずしも腎臓だけの問題とは限りません。

食事の影響

特に肉などの高タンパク食を食べた後は、一時的にクレアチニン値が上がることがあります。例えば焼いた鶏肉や牛肉を多く与えた直後の検査では数値が高めに出ることがあるため、検査は食後時間を考慮して行うとよいです。

筋肉量や犬種の違い

筋肉量が多い犬は基準値が高めに出る傾向があります。大型犬や筋肉質の犬種では同じ数値でも問題が少ない場合があります。個体差を考慮して判断する必要があります。

その他の原因

脱水や重い感染症、特定の薬の影響でもクレアチニンは上がります。急に数値が上がった場合は飲水量や薬の有無を確認してください。

検査時の注意点と飼い主の対応

検査前はできれば食事を控え、安静にしてから血液を採ると誤差が減ります。結果に不安があれば獣医に相談し、必要なら再検査や追加検査を受けてください。食事は一度に大量の肉を与えないようにし、バランスを意識しましょう。

腎臓病の進行とクレアチニン値の関係

腎臓病と検査結果の変化

腎臓病はゆっくり進行します。初期には尿素窒素(BUN)が先に上がることが多く、体内の老廃物がうまく排泄できなくなると数値に出ます。クレアチニンは筋肉から作られるため、腎機能がかなり低下してから上昇しやすいです。日常的にはBUNが先に異常を示し、後からクレアチニンが追随するイメージです。

BUNとクレアチニンの違い

BUNは脱水や食事の影響を受けやすく、一時的に上がることがあります。クレアチニンは比較的安定しますが、筋肉量が少ない犬では値が低めに出るため注意が必要です。検査値は単独で判断せず、体重や筋肉量、飲水量と合わせて見ると分かりやすくなります。

SDMAという新しいマーカー

SDMAはより早期に腎機能の低下を検出できます。国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)のガイドラインにも採用され、早期発見や治療開始の目安として役立ちます。SDMAが上がると、まだクレアチニンが正常でも腎機能の問題を疑います。

臨床での使い方と注意点

検査は1回だけで判断せず、経時的な推移を確認します。BUNだけが上がる場合は脱水や一時的な要因を疑い、両方上がれば進行を示唆します。SDMAの結果を含めて獣医師と相談し、薬や食事管理、定期検査の頻度を決めるとよいです。

食事管理の重要性

食事が腎臓に与える影響

犬のBUNは脱水や最近の食事に敏感に反応します。高タンパク質の食事はBUNを上げやすく、クレアチニンが高い場合は腎臓の負担を減らすために食事を見直すことが大切です。年齢とともに腎機能は低下しやすいので、シニア期の食事調整も考慮してください。

具体的な食事のポイント

  • タンパク質の量と質を調整する:量を減らしすぎず、消化しやすい良質なタンパク源(鶏胸肉、白身魚、卵など)を選びます。過度な低タンパクは筋肉量低下を招くため注意します。
  • リンを控える:チーズ、レバー、加工肉や骨つき肉はリンが多めです。これらを避け、低リンの食材や療法食を利用します。
  • 水分を十分にとらせる:ウェットフードやぬるま湯をかけるなどで水分摂取を促します。脱水はBUNと腎臓への負担を悪化させます。
  • 塩分管理:塩分を控えることで高血圧やむくみを防ぎます。市販のスナックや人間の食べ物は与えないでください。

日常でできる工夫(例)

  • 食事の切り替えは7〜10日かけて少しずつ行う。
  • 体重と採尿・排尿回数を記録して変化を早めに察知する。
  • おやつは低リン・低塩のものにし、与える量を決める。

療法食やサプリについて

獣医と相談のうえ、腎臓病用の療法食を検討してください。オメガ3脂肪酸は炎症を抑える助けになります。ただし、サプリや自家調理食は獣医の指示なしに変更しないでください。

まとめの注意点

食事管理は腎臓への負担を軽くし、病状の進行を遅らせる重要な対策です。変化に気づいたら早めに獣医へ相談し、無理のない形で食事内容を整えていきましょう。

血液検査時の注意点

検査前の食事について

検査の12時間以内に肉類を与えると、クレアチニン値が一時的に上がることがあります。特に牛や鶏などの赤身肉は影響しやすいです。検査前は原則として12時間の絶食(飲水は可)を心がけてください。夜間のごはんやおやつも控えてください。

検査当日の準備

早朝に採血することが望ましいです。同じ時間帯に測ると比較しやすくなります。薬を飲ませている場合は獣医師に確認してください。過度な運動やストレスも値に影響するため、安静にして来院してください。

異常値が出た場合の対応

一回の検査で異常が出たら、まずは事情を確認します。食事や運動、薬の影響であれば再検査をおすすめします。数日〜1週間後に再検査して値の傾向を確かめます。

検査を繰り返す理由

クレアチニンは一時的に上下します。継続的な上昇かどうかを見ないと腎臓病かどうか判断できません。複数回のデータで正しい診断と適切な治療方針を立てます。

獣医師への伝え方

検査前の食事内容、時間、投薬、運動の有無を正直に伝えてください。そうすることで検査結果が正しく評価され、無駄な不安を避けられます。

対処法と早期発見の重要性

早めに獣医師に相談する理由

クレアチニン値が高いと分かったら、まずは速やかに獣医師に連絡してください。軽い脱水であれば点滴や経口補液で改善することが多く、腎臓そのものの障害があれば早期治療で進行を遅らせられます。診断がつけば適切な治療計画を立てられます。

受診で行う主な検査と意味

・血液検査:クレアチニン、尿素窒素などで腎機能を評価します。
・尿検査:尿の濃さや蛋白の有無を確認します。
・尿蛋白クレアチニン比(UPC):尿中の蛋白量を腎臓のダメージの指標として調べます。値が高いと腎臓の障害が疑われます。

家でできる一次対応

・まず新鮮な水をいつでも飲めるようにする。
・食欲が落ちたら消化の良い療法食や少量ずつ与える。
・市販のNSAIDsなど腎臓に負担をかける薬は獣医師に確認して止める。

医療での主な対処法

・点滴療法:脱水や電解質の調整に有効です。
・食事療法:腎臓サポートの療法食で負担を減らします。
・薬物療法:貧血や高リン血症、吐き気など症状に合わせて投薬します。

継続的な観察と再検査

定期的に血液検査と尿検査を行い、体重・水分摂取量・排尿の変化を記録してください。変化があれば早めに受診しましょう。

緊急を要する症状

嘔吐が続く、食欲が全くない、極端に元気がない、尿が出ないといった場合はすぐに受診してください。これらは重篤な状態のサインです。

まとめ

犬のクレアチニン値の上昇は、食事(例えば高タンパクのごちそうを食べた直後)で一時的に上がる場合と、脱水や腎臓の働きが落ちている場合など、原因がさまざまです。血液検査で異常が出たら、まずは落ち着いて次の対策を取ってください。

  • 再検査を行う:食事や運動の影響を避けるため、獣医師の指示に従い空腹での再検査を受けます。簡単な例として、肉をたくさん食べた翌日は数値が高く出ることがあります。
  • 水分補給と観察:散歩後の脱水でも上がるため、十分な水を与え、嘔吐や元気のない様子があればすぐ受診してください。
  • 食事の見直し:獣医師と相談してタンパク質量や与え方を調整します。自己判断で急に食事を変えず、獣医師の指示を優先してください。
  • 詳しい診断を受ける:必要なら尿検査や超音波検査、他の血液項目の測定が行われます。早めに原因を特定すると治療や管理がしやすくなります。

検査値だけで判断せず、生活状況や症状を合わせて診てもらうことが大切です。したがって、異常が見つかったらまず獣医師に相談し、指示に従ってください。日常の体重・食欲・排尿のチェックを続けることで、早期発見につながります。

-犬用フード・おやつ
-, , ,