目次
はじめに
犬の尿路結石は、尿の中のミネラルや老廃物が結晶化して固まることで起こります。痛みや血尿、尿が出にくくなるなどの症状が現れ、放置すると膀胱や尿道の詰まり、腎機能の悪化につながることがあります。本章では、本記事の目的と読み方、対象となる方について簡潔に説明します。
本記事の目的
本記事は、尿路結石の犬に対するおやつの与え方や、ロイヤルカナンの尿路管理用フードの特徴、安全なおやつ選びのポイントをわかりやすくまとめることを目的としています。獣医師の指導の下で、日常の食事管理に役立てていただければ幸いです。
対象となる方
- すでに尿路結石と診断された犬の飼い主さん
- 再発予防を考えている方
- 療法食やおやつの選び方に悩んでいる方
注意点
本記事は一般的な情報を提供します。個々の犬の状態や治療方針は獣医師が決めますので、最終的には獣医師の指示に従ってください。特に、尿が出にくい、嘔吐、元気消失などの緊急症状がある場合は速やかに受診してください。
尿路結石の犬におやつは与えてもいいのか?
療法食の目的
尿路結石の療法食は、尿のpH(酸性度)やマグネシウム・リン・カルシウムのバランスを細かく調整してあります。目的は結石の再発防止と溶解(種類による)です。獣医師の指示で食べている場合は、原則としてそのまま続けることが一番安全です。
おやつが与える影響
療法食に他の食材を混ぜると、ミネラル比やpHが変わる可能性があります。たとえばチーズや市販のおやつはカルシウムやリンが多く、尿の環境を変えてしまうことがあります。結果として結石ができやすくなったり、治療効果が落ちたりします。
具体的に避けたいおやつ例
- チーズ、ヨーグルト(乳製品)
- 魚や内臓を使った高ミネラルのおやつ
- 市販の一般的なドッグビスケット(成分不明なもの)
獣医師に相談する際のポイント
おやつをあげたい場合は必ず獣医師に相談してください。普段の療法食名・量・おやつの種類を伝えると、個別の許可や代替案がもらえます。
どうしてもあげるなら
獣医師の許可がある場合は、療法食の同ブランドで出ている獣医師推奨のおやつや、療法食の一部を“ご褒美”として少量だけ与える方法があります。水分を多くとらせることも大切です。
ロイヤルカナンの尿路結石対応フードの特徴
製品の概要
ロイヤルカナンの「ユリナリー S/O」シリーズは、下部尿路のトラブルに配慮した療法食です。ストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石の管理に用いられ、獣医師の指示に基づいて給餌します。
効果の仕組み
ミネラル(特にマグネシウムやリンなど)の量を調整し、尿を弱酸性に維持することでストルバイトが形成されにくい環境を作ります。尿の比重を下げる=尿を薄めることも重視し、結晶や結石の再発リスクを減らす仕組みです。種類によってはシュウ酸カルシウムに対する管理も考慮しています。
栄養バランスとカロリー管理
カロリーを適切に設定して体重管理をサポートします。肥満は尿路疾患のリスクを高めるため、体重を維持することが重要です。タンパク質や脂質の配分も配慮されており、全体のバランスを保ちながら療法効果を狙います。
与えるときのポイント
療法食の効果を最大にするには、他のフードやおやつを極力避けてください。人の食べ物やサプリメントも成分が影響する可能性があります。水分摂取を促すためにウェットタイプを併用したり、新鮮な水を常に用意したりすると良いです。
獣医師との連携
投薬や経過観察が必要な場合があります。尿検査やレントゲンで状態を確認しながら、獣医師と相談して給餌期間や切替えのタイミングを決めてください。
どうしてもおやつをあげたいときのポイント
基本の条件
尿路結石の犬に比較的安全なおやつは、次の条件を満たします。
- 水分が多い(ゼリー状、蒸し野菜など)
- リン・カルシウム・マグネシウムの含有量が低い
- 無添加・無香料・塩分不使用
- pHに大きな影響を与えない(中性〜やや酸性寄り)
- 療法食メーカー(例:ロイヤルカナン)の尿ケア対応おやつ
市販品の選び方
市販の「下部尿路ケア」表示のゼリーやおやつは、成分が配慮されています。パッケージでミネラル量、添加物、塩分を確認し、獣医師に相談してから与えてください。
手作り・一般のおやつの注意点
低脂肪・低ミネラル・無添加であれば許容される場合もありますが、必ず獣医師に相談してください。例えば、蒸し鶏のささみ(塩なし)は量を少なめにすれば比較的安全です。
与え方の実践ポイント
- 少量を頻回に与え、総カロリーを管理する
- たっぷりの新鮮な水を常に用意する
- 尿の色や回数を観察し、変化があれば中止して受診する
- 新しいおやつは少量ずつ試す
避けるべきもの(簡潔)
チーズや骨、塩分の高い加工品、添加物の多いおやつは避けてください。必ず獣医師の確認を受けることが大切です。
りんごやクランベリーなどの食材はどうなのか?
りんご
りんごは水分と食物繊維、ビタミンが豊富で、少量ならおやつ代わりに使えます。種や芯にはアミグダリン(微量の毒性)があるため必ず取り除き、小さく切って与えてください。糖分もあるので体重管理や糖尿病のワンちゃんには控えめが望ましいです。療法食を与えている場合は、追加の食材で栄養バランスやミネラル比が崩れることがあるため獣医師に相談してください。
クランベリー
クランベリーには抗酸化物質や尿路の細菌付着を抑える成分があり、膀胱炎やストルバイト結石の予防に有効とされます。ただし、シュウ酸カルシウム結石のリスクを高める可能性が指摘されることもあり、効果のエビデンスは完全ではありません。市販のジャムや果汁には糖分や添加物が多いため避け、無糖の乾燥果実やピューレを少量使うのが安全です。
与えるときの注意点
・ごく少量から試し、下痢や嘔吐がないか確認する。
・療法食を与えている場合は必ず獣医師に相談する。
・果物は補助であり、治療の代替にしない。
疑問があればかかりつけの獣医師に相談してください。
まとめ:安全なおやつ・食事管理のポイント
尿路結石の犬は、基本的に療法食と十分な水分での管理がもっとも安全です。療法食は結石の種類に合わせて設計されているため、まずは主食を守ってください。
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おやつは原則避ける:市販の一般おやつや人間用食品、ミネラルや塩分が多いものはリスクが高く避けてください。小分け包装でも成分を確認しましょう。
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どうしても与える場合:必ず獣医師に相談のうえ、療法食メーカーの専用おやつや「低ミネラル・無添加」と明記されたものを極少量に留めます。量は目安より少なく、頻度も減らしてください。
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果物や天然素材:りんごやクランベリーなどは種類や量、犬の状態で影響が変わります。独断で与えず、獣医師の指示を仰いでください。
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水分と検査を優先:飲水量を増やす工夫(ウェットフードや水分補給スープなど)をし、定期的に尿検査や健康チェックを受けてください。早期発見が再発防止につながります。
実践のコツとしては、成分表を読む習慣をつけ、小さなご褒美は療法食の少量代替や短時間のスキンシップで代用する方法が安全です。愛犬の症状や検査結果に応じて柔軟に対応し、迷ったら必ず専門家に相談してください。