はじめに
本資料の目的
本資料は「犬 おやつ 販売」に関する情報を整理し、販売を考える方が全体像をつかめるように作成しました。市場の傾向、実際に売れている商品の特徴、販売に必要な法的知識、製造する際の基本知識を順に解説します。
誰のための資料か
・これから犬用おやつを販売したい個人・小規模事業者
・既に販売していて商品ラインや表示を見直したい方
・安全性や許可の要否を確認したい方
本資料で扱う内容の範囲
・市場のニーズと人気傾向（例：素材、形状、保存性）
・販売されている商品に見られる特徴（例：無添加表示や素材の産地）
・販売に関係する法律や必要な届出の種類（一般的な説明）
・自家製おやつを作って販売する際の衛生管理や表示の基本
読み方のポイント
章ごとに具体例を交えて説明します。まずは第2章で市場の全体像を把握し、以降はご自身の販売形態に合わせて該当章を詳しく読むことをおすすめします。
犬用おやつ市場の概要とニーズ
市場の全体像
ペット用食品市場は多様化が進み、特に犬用おやつは種類が豊富です。ペットショップ系のオンラインストアではデンタルケア用ガム、ささみやビーフ系のスナック、チュール状の流動おやつがよく並びます。公式通販では無添加・無着色・国産を打ち出す専門店が多く、安心・安全を重視する傾向が強いです。
主な商品ラインナップ
- デンタルケア：歯みがき効果や口臭対策を謳うガムやスナック
- 高タンパク：ジビエ（鹿・猪）、鴨肉などの栄養価が高い肉系
- ソフトタイプ：高齢犬や小型犬向けに柔らかいスナック
- トリーツ状：しつけ用の小分けおやつや、ちゅーるタイプ
飼い主のニーズ
飼い主は「口臭・歯石ケアができる」「噛みやすく飲み込みやすい」「無添加・国産など安全性が高い」を求めます。また原材料の明示やアレルギー対応、与え方の説明がある商品を選ぶ傾向があります。
今後の注目点
健康志向の延長で機能性表示や高品質タンパクの需要が伸びています。地域特産の食材やサステナブルな原料を使った商品も増える見込みです。
実際に販売されている犬用おやつの傾向
概要
大手と専門店で取り扱うおやつは種類が豊富です。歯磨き用ガム、ジャーキー、ふわふわ系、ペースト状おやつなど、目的や嗜好に合わせた商品が並びます。体重別や年齢別に分ける表示が増え、選びやすくなっています。
大手オンラインショップの特徴
- デンタルケアガムは体重・目的別に細かくラインナップし、咬合力や歯垢対策を訴求します。
- 変わり種として「ササミ巻き牛すじ入りガム」など、嗜好性を高めた商品が人気です。
- ちゅ〜る系のペーストややわらかジャーキーは高齢犬や小型犬向けに売れています。
販売手法と価格戦略
まとめ買い割引や定期購入、セット販売でリピートを促します。小分けパックやお試しセットで購入のハードルを下げる工夫が多いです。価格帯は低価格のデイリーおやつから、素材にこだわった高級品まで幅があります。
無添加・国産専門通販の特徴
フリーズドライ、鴨肉、ジビエ、やわらかめシリーズを中心に展開します。商品の詳細説明やお客様の声、レビューが充実していて、安心感を重視する飼い主に支持されています。
購入時のチェックポイント
成分表、保存方法、硬さ、与える量の目安を必ず確認してください。小型犬や歯の弱い犬には柔らかめ、デンタル目的ならサイズや形状を確認すると良いです。
まとめの一言
種類が多い分、愛犬の年齢・体格・好みを基準に選ぶと失敗が少なくなります。
犬用おやつを販売する際の法律・許可
はじめに
犬用おやつを販売する際は、法律や表示義務を理解しておくことが重要です。基本的には販売だけなら営業許可や国家資格は不要ですが、表示や品質管理で守るべきルールがあります。
営業許可・資格について
個人や小売店が仕入れて販売するだけなら、原則として特別な許可は不要です。販売の基本は良い仕入れ先を確保し、適切な保存・配送ルートを整えることです。ただし自分で製造や輸入をする場合は、追加の手続きやルールが発生します。
ペットフード安全法での表示義務（主な項目）
- 原材料名（具体的に記載する）
- 成分表示（例：粗たんぱく、粗脂肪など）
- 賞味期限または消費期限
- 原産国および製造者名・住所
- 保存方法や給与上の注意
これらは消費者（飼い主）にとって重要です。表記が不十分だとクレームや行政指導の対象になります。
製造・輸入時の注意点
自社でおやつを作る場合や海外から輸入する場合は、原料の安全性確認と表示の厳守が必要です。原材料の仕入れ先やロット管理、アレルギー情報の確認、適切な賞味期限設定が求められます。輸入品は通関や検査など別途手続きが必要になることがあります。
衛生管理と品質管理の基本
- 衛生的な保管（温度・湿度管理）
- ロット番号や入出庫記録の保存
- 見た目・匂いなどの目視検査と定期的な抜き取り検査（必要に応じて専門検査機関へ）
- 問題発生時の回収手順を事前に整備
実務的なチェックリスト（販売者向け）
1) 仕入れ先の安全性・表示内容を確認する
2) 商品ラベルが法令に沿っているか確認する
3) 保管・配送の方法を明確にする
4) トレーサビリティとして記録を残す
5) 万が一のための保険や回収手順を準備する
必要な知識が不足すると表示ミスや品質管理の不備につながります。したがって、販売前に表示ルールや衛生管理の基礎を学び、必要に応じて専門家や自治体に相談してください。
犬用おやつを「作って」販売するために必要な知識
1. 原材料の選定
安全で慣れ親しんだ素材を使います。鶏肉、さつまいも、米粉など消化にやさしいものが定番です。チョコレートや玉ねぎ、キシリトールなど犬に有害な成分は絶対に使わないでください。原料は産地や鮮度を記録し、仕入れ先の信頼性を確認します。
2. 衛生管理と設備
調理場は清潔に保ち、作業者は手洗い・消毒を徹底します。温度管理（加熱・冷却）や交差汚染の防止が重要です。家庭で作る場合でも専用器具を用意し、製造記録を残してください。
3. 成分表示とラベル表示
原材料名、重量、賞味期限、保存方法、製造者名は必須です。成分（粗たんぱく質・脂質など）やアレルギー表示は消費者の安全に直結します。表示は正確に作成し、誇大表現は避けてください。
4. 法令遵守と手続き
販売するには保健所や自治体への届出や許認可が必要な場合があります。必要な手続きは地域ごとに異なるため、事前に確認してください。食品表示の基準に沿った表示も求められます。
5. 品質管理とトレーサビリティ
ロット管理、製造日や原料のロット番号の記録を行い、不良時には速やかに回収できる体制を整えます。外部試験で栄養成分や安全性を確認することも信頼につながります。
6. 保険とリスク対応
万が一の健康被害に備え、製造物責任（PL）保険への加入を検討してください。消費者からの問い合わせやクレーム対応の窓口を明確にしておくと安心です。
丁寧な素材選びと記録・表示の徹底が、信頼されるおやつ作りの基本です。