目次
はじめに
目的
本書は、愛犬のために安心・安全な手作りおやつ、特に犬用ボーロの作り方と与え方をわかりやすくまとめたガイドです。市販品に頼らず、素材を選んで作る楽しさと安全性を伝えます。
誰向けか
料理が苦手な方や、初めて手作りおやつを作る方、愛犬に食物アレルギーや好みがある方に向けています。特別な道具はほとんど不要で、すぐに始められます。
本書の構成
第2章で手作りボーロの魅力とメリットを説明し、第3章で基本レシピを紹介します。第4章はアレンジとアレルギー対応、第5章は他のおやつ例、第6章は与える際の注意点、第7章で市販品との違いと選び方を解説します。
安全に作るために
食材は人間用の新鮮なものを選び、調理器具は清潔に保ってください。愛犬に合うか不安な場合は、事前に獣医師へ相談することをおすすめします。
手作り犬用ボーロの魅力とメリット
安心して与えられる
手作りなら材料を自分で選べます。小麦粉や米粉、卵、豆乳など、愛犬の体質や好みに合わせて使う食材を決められます。市販品にある添加物や保存料を避けられるので、安心感が高まります。
子犬・シニアに向く理由
ボーロは唾液で溶けやすい食感に作れます。小粒にすると喉に詰まりにくく、咀嚼が苦手な子犬や歯が弱くなったシニア犬にも与えやすいです。安全性を優先して柔らかめに仕上げましょう。
しつけやトレーニングに便利
ひと口サイズで割れやすく、量を細かく調整できます。ご褒美回数が多い場面でもカロリー管理がしやすく、香りや味を変えて飽きさせにくい点も役立ちます。
経済的・環境面のメリット
少量ずつ作れば無駄が出にくく、材料費も抑えられます。ラベルや過剰包装に悩まされない分、環境負荷も軽くなります。
手作りならではの楽しさ
愛犬の反応を見ながら配合を変えられるため、飼い主と犬のコミュニケーションが深まります。簡単に作れるので続けやすいのも魅力です。
基本の犬用ボーロレシピ
材料(プレーンタイプ・目安)
- 薄力粉:30g
- 溶き卵:大さじ1(約15ml)
- 低脂肪乳または犬用ミルク:大さじ1
- はちみつまたはオリゴ糖:大さじ1
作り方(簡単ステップ)
- 薄力粉をふるいにかけます。ダマを取ることで口当たりが良くなります。
- ボウルに牛乳(犬用ミルク)、はちみつ、溶き卵を入れてよく混ぜます。
- 粉を加えてゴムべらで混ぜ、手で軽くこねてひとまとまりにします。
- 生地を一口大にちぎり、手のひらで丸めます。小さなボーロなら直径約1〜1.5cmが目安です。
- クッキングシートを敷いた天板に並べ、160℃に予熱したオーブンで12〜15分焼きます(オーブンによって差があるので様子を見てください)。
- 焼き上がったら天板のまま冷まし、完全に冷めてから与えます。
焼き時間・仕上がりの目安
- 表面がうっすらきつね色になり、触ると固い感触なら焼き上がりです。
与える量と保存
- 体格や年齢、運動量に合わせて1日数粒を目安にしてください。
- 保存は密閉容器で冷蔵なら1週間、冷凍なら1か月程度を目安にします。
ポイント・代替材料
- 低脂肪乳の代わりに犬用ミルクを使うと安心です。
- はちみつは天然の甘味ですが、与え過ぎないようにしてください(糖尿病の犬には控えます)。
- 卵アレルギーが疑われる場合は、事前に獣医師に相談してください。
アレンジレシピ・アレルギー対応
はじめに
犬の体質は個々に違います。ここでは小麦アレルギー対策としての米粉を使ったアレンジと、栄養を補う工夫、注意点をわかりやすくまとめます。
アレルギー対応の基本
- 小麦、牛乳、卵、大豆などが問題になりやすいです。初めて与える材料は少量から試し、24〜48時間は様子を見てください。
- 新しい素材を一度に複数使わないで、一つずつ確認します。
米粉ボーロの基本(分量例)
- 米粉100g、かぼちゃピューレ50g、卵1個、オリーブオイル小さじ1。よく混ぜて直径1〜2cmに丸め、150℃で12〜15分焼きます。
- 卵がダメな場合はバナナやかぼちゃのピューレでつなぎます。
野菜で栄養アップ
- かぼちゃ、さつまいも、にんじんのピューレや粉末を加えるとビタミンや食物繊維が増えます。全体量の10〜30%を目安にしてください。
たんぱく質・カルシウム強化レシピ
- 大豆系(きな粉)を足すとたんぱく質が増えますが、大豆アレルギーには注意してください。例:米粉80g、きな粉20g、卵1個。
- チーズ(無塩の粉チーズ少量)を加えるとカルシウム補給になります。塩分に気をつけ、少量に留めます。
保存と与え方の注意
- 砂糖、塩、人工甘味料(キシリトール)は絶対に使わないでください。
- 保存は冷蔵で3〜4日、冷凍で約1ヶ月。解凍後は早めに与えます。
- 持病や薬を服用中の犬は、必ず獣医師に相談してください。
人気の手作りおやつレシピ例(ボーロ以外も紹介)
かぼちゃのワッフル
- 材料(小さめ約8枚分): 米粉100g、蒸しかぼちゃ80g、卵1個、ヨーグルト大さじ2、はちみつ小さじ1(成犬のみ任意)、ココナッツオイル小さじ1
- 作り方: かぼちゃを潰して他の材料と混ぜます。ワッフルメーカーで焼くか、フライパンを弱めの中火で温め、薄く油を引いて両面を2–3分ずつ焼きます。冷ましてから与えます。
- ポイント: はちみつは少量にし、乳製品に弱い子はヨーグルトを減らしてください。
バナナマフィン
- 材料(マフィン型6個分): 米粉120g、熟したバナナ1本、プレーンヨーグルト50g、卵1個、ココナッツオイル大さじ1、ベーキングパウダー小さじ1(任意)
- 作り方: バナナを潰して他の材料と混ぜ、型に入れて170℃のオーブンで15–20分焼きます。中央に竹串を刺して生地がつかなければ完成です。
- ポイント: 型が小さい場合は焼き時間を短く調整してください。甘味はバナナで十分です。
さつまいもボール
- 材料: 蒸したさつまいも200g、必要なら犬用ミルクや無塩バター小さじ1
- 作り方: さつまいもを熱いうちに潰し、丸めるだけです。しっかり形を保ちたい場合は160℃のオーブンで10–15分焼きます。
- ポイント: 砂糖や塩は加えないでください。冷ましてから与えます。
保存: 冷蔵で2–4日、冷凍なら1ヶ月を目安に保存してください。
与え方: 小さく切って与え、初めての食材は少量から試してください。カロリーを考えて与える量を調整します。
手作り犬用ボーロを与える時の注意点
人間用のボーロは与えない
人間用のボーロは砂糖や塩、香料、保存料などが多く含まれることがあります。犬には不要な成分が多いため、与えないでください。犬用に作るか、犬用として表示のあるおやつを選びましょう。
与えすぎに注意(適量を守る)
カロリー管理が大切です。おやつは一日の総摂取カロリーの10%程度を目安にしてください。あげすぎると肥満や糖尿病、消化不良の原因になります。体重や年齢、運動量に合わせて量を調整しましょう。
初めての材料は少量から試す
新しい食材は少量から与え、24〜48時間は様子を見ます。下痢、嘔吐、かゆみ、呼吸の変化などが出たら中止し、必要なら獣医に相談してください。アレルギー歴がある犬は特に注意が必要です。
市販品や他の手作りおやつとのバランス
日常的に複数の種類のおやつを与える場合、成分やカロリーの合計を考えます。同じ成分が重ならないようにし、栄養バランスを崩さないよう配慮してください。
保存・与え方の注意(衛生と安全)
保存は湿気や傷みを防ぐ密閉容器で。カビや異臭があれば廃棄します。小型犬には小さめにし、丸のみを防ぐためにサイズや硬さを調整してください。
既往症がある場合は獣医に相談
持病や投薬中の犬は、特定の食材が悪影響を与えることがあります。不安があるときは事前に獣医に相談しましょう。
市販の犬用ボーロとの違い・選び方
市販の犬用ボーロと手作りの違いや、店頭での選び方をわかりやすくまとめます。飼い主さんが安全に選べるポイントを押さえましょう。
市販品と手作りの主な違い
- 原材料表示と添加物:市販品は表示が明確で、保存料や着色料、香料が入ることがあります。手作りは材料を自分で決められます。
- 保存性:市販品は長持ちします。手作りは保存性が低く、早めの消費が必要です。
- 栄養とカロリー:市販品は栄養バランスや低脂肪表示のものがあります。手作りは調整できますが栄養計算は飼い主の責任です。
- 価格と手間:市販品は手軽で安定供給、手作りは材料費と時間がかかります。
市販ボーロの選び方
- 成分表示を確認:原材料は量が多い順に記載。上位が主原料です。
- 添加物をチェック:合成着色料や人工香料を避けたい場合は無添加の商品を選びます。
- アレルギー対応:食物アレルギーがあるなら限定原料やグレインフリー表示を選びます。
- カロリーと給餌量:パッケージにある1回分の目安を確認し、総カロリー管理を行います。
- サイズと硬さ:犬の年齢や噛む力に合わせて選びます。
- 賞味期限・保存方法:開封後の保存期間も必ず確認します。
- 信頼できるメーカー:口コミや獣医師の意見も参考にします。
手作りと併用するコツ
- 新しいおやつは少量から試し、体調変化を確認します。
- 手作りは冷蔵・冷凍で保存し、長期間置かないようにします。
- 市販と交互に使い分けると、手間を減らしつつ原材料管理もできます。
注意:おやつは1日の総カロリーの目安を守り、主食とのバランスを大切にしてください。
まとめ
手作り犬用ボーロは、素材を自分で選べる分だけ安心感があり、健康を考えたおやつとしておすすめです。
- 素材を工夫するメリット
- 小麦や卵、乳製品などの有無を調整でき、アレルギー対策がしやすいです。
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鶏ささみやかぼちゃ、すりごまなどで栄養を補えます。
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与え方のポイント
- 1回の量は体重や運動量に合わせて少なめに。与えすぎは体重増加や栄養バランスの乱れにつながります。
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小型犬は粉々にして与える、丸ごとは丸飲みの危険を避けるなど工夫してください。
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保存と安全管理
- 冷蔵保存で数日、冷凍で長期保存できます。温め直す際はやけどに注意してください。
- 新しい食材を試すときは少量から始め、体調変化を観察してください。
最後に、手作りおやつは愛犬とのコミュニケーションの一つです。毎日の楽しみとして無理なく続け、疑問や体調変化があれば獣医師に相談してください。愛犬とのおやつタイムがより安全で楽しい時間になりますように。