目次
はじめに
目的
このシリーズは、愛犬に安心して与えられる手作りおやつの作り方と基礎知識をやさしく伝えることを目的としています。簡単なレシピと注意点を中心に、日常で取り入れやすい情報をそろえました。
誰に向けているか
初心者の飼い主さんや、素材に気を使いたい方、アレルギーや年齢に合わせたおやつを作りたい方に向けています。調理の経験が少なくても取り組める内容です。
安全に関するお願い
食材の与え方や分量は犬の体重や健康状態で変わります。新しい食材を試す前は少量から始め、体調の変化があれば獣医師に相談してください。本書では安全のための注意点も丁寧に説明します。
本書の構成
第2章以降でメリットや注意点、野菜・果物・肉類の簡単レシピ、アレルギー対応の材料、作り方のコツ、年齢別の選び方などを順に紹介します。まずは基本を押さえて、楽しみながら作ってください。
手作り犬おやつのメリットと注意点
メリット
手作りおやつは素材を自分で選べるため、保存料や着色料などの添加物を避けられます。コストを抑えやすく、愛犬の好みや体質(アレルギーなど)に合わせて柔軟に作れます。新鮮な食材を使うことで風味も良く、与える楽しみが増えます。
注意点(食材編)
犬に与えてはいけない代表的な食材は次の通りです:ネギ類、チョコレート、カフェイン、アルコール、アボカド、ナッツ、ぶどう・レーズン、香辛料、じゃがいもの芽、人間用加工食品。また、キシリトールなどの人工甘味料も危険です。これらは少量でも中毒を起こすことがあります。
与え方と管理のコツ
新しい食材は少量から試し、翌日まで様子を見ます。おやつは1日の総カロリーの10%程度を目安にし、体重管理に注意してください。調理や保存は清潔に行い、加熱が必要な食材は十分に火を通します。アレルギーや持病がある場合は獣医師に相談しましょう。
基本の簡単おやつレシピ【野菜・果物編】
はじめに
野菜や果物はビタミンや食物繊維が豊富で、手軽に作れるおやつになります。ここでは材料が少なく簡単につくれる3つのレシピを紹介します。調味料は使わず、犬に安全な素材だけで作ることを基本としてください。
1. さつまいもボール
- 材料:さつまいも中1本、無塩バター少量または犬用ミルク小さじ1
- 作り方:さつまいもを洗って皮ごとまたは皮をむいて蒸す(約20〜30分)。柔らかくなったら潰し、好みで無塩バターか犬用ミルクを混ぜて丸める。
- ポイント:熱いうちに成形するときれいにまとまります。冷蔵庫で2〜3日保存できます。
- 注意:砂糖やはちみつは使わないでください。
2. 煮りんご
- 材料:りんご1個、水100ml
- 作り方:りんごは皮と芯を取り除き、小さめの角切りにします。鍋にりんごと水を入れ、弱火で10〜15分煮て柔らかくする。
- ポイント:そのままでも、冷ましてから少量を与えてください。保存は冷蔵で2〜3日です。
- 注意:種や芯は必ず取り除いてください。糖分が気になる場合は量を控えてください。
3. りんごジャーキー(乾燥りんご)
- 材料:りんご1〜2個
- 作り方:りんごは薄くスライスし、種と芯を取り除きます。オーブンなら100℃前後で1.5〜3時間、または食品乾燥機で指示通り乾燥させます。完全に乾いたら冷ます。
- ポイント:薄く切るほど早く乾き、カリッと仕上がります。無添加で低カロリーです。
- 注意:焦げないように途中でひっくり返すと良いです。
安全のため、異変があれば獣医師に相談してください。
基本の簡単おやつレシピ【お肉・魚編】
1. ささみジャーキー(オーブン/電子レンジ)
- 材料:鶏ささみ(脂肪少なめ)1本
- 作り方:ささみを筋を取り、できるだけ薄く切ります。オーブンなら100℃前後で1〜2時間(端が乾くまで)、電子レンジなら600Wで30〜60秒ずつ様子を見て加熱し、水分を飛ばします。味付けは不要です。
- ポイント:厚いと中がしっとり残るため薄く伸ばすこと。完全に火を通してから与えてください。冷蔵で3〜4日、冷凍で1か月が目安です。
2. ペーストおやつのジャーキー風
- 材料:犬用無添加ペースト(鶏・牛・魚)適量、オーブンシート
- 作り方:ペーストを薄くオーブンシートに伸ばし、100℃前後で30〜60分焼いてパリッとさせます。電子レンジなら短時間ずつ加熱して乾かします。
- ポイント:厚さは数ミリが目安。割って小さくして与えると扱いやすいです。塩分や香辛料を含まない製品を選んでください。
3. 魚(鮭・タラ)のおやつ
- 方法:切り身を薄く切り、ささみと同様に乾燥させます。生の魚は寄生虫の心配があるため必ず加熱してください。脂の多い部分は酸化しやすいので少量ずつ作ると安心です。
注意点と応用
- アレルギーがある犬は原材料を確認し、初めての食材は少量から試してください。
- 幼犬や歯の弱い子には焼き時間を短めにして柔らかく仕上げるか、小さく切って与えます。
- 保存は清潔な容器で、長期保存は冷凍をおすすめします。
小麦・卵アレルギーにも対応!米粉やオートミールのおやつ
はじめに
小麦や卵にアレルギーがある犬にも安心して与えられる、米粉とオートミールを使ったおやつを紹介します。どちらも消化にやさしく、家庭で手軽に作れます。
米粉のカリカリおやつ(オーブン)
- 材料(小型犬角型約20枚分): 米粉150g、熟したバナナ1本、犬用ジュレ(無糖)50〜70ml、少量の水または犬用ブロス
- 作り方: バナナはフォークでつぶします。米粉とジュレ、つぶしたバナナを混ぜ、耳たぶくらいの硬さに調整します。薄く伸ばして型抜きまたは包丁で切り、170℃のオーブンで15〜20分焼きます。表面が乾いてカリッとしたら冷ましてください。
オートミールクッキー(時短・レンジ)
- 材料(小分け): ロールドオーツ100g、熟したバナナ1本、湯または水大さじ1〜2
- 作り方: オーツとつぶしたバナナを混ぜ、スプーンで丸く平らにのせます。600Wで1分30秒〜2分加熱し、十分に冷ましてから与えます。型抜きや生地休ませは不要です。
材料のポイントと注意点
- バナナはほんのり甘みがあり量は控えめに。糖分が気になる犬は少量にします。
- 犬用ジュレやブロスは無塩・無添加のものを選んでください。
- 新しい材料は少量から試し、アレルギー反応がないか観察します。
保存と与え方
- 常温で1〜2日、冷蔵で3〜4日が目安です。乾燥させれば長持ちします。
- おやつは1日の総カロリーに含め、与えすぎないようにします。
犬おやつ作りのコツとアレンジ
甘みの付け方
自然な甘みを使うと安心です。バナナやすりおろしたりんご、かぼちゃは風味が出やすく犬も好みます。はちみつはやさしい甘みですが、1歳未満の犬には与えないでください。甘みは必ず少量に抑え、初めての材料はごく少量で様子を見ます。
人とシェアするレシピの工夫
ワッフルやプリンなど人も食べられるレシピは材料を工夫すれば共有できます。牛乳の代わりに犬用ミルクや無糖の豆乳、甘さは果物で調整します。かぼちゃピューレや蒸した梨を混ぜるとやさしい味になります。
乾燥やジャーキーの作り方
食品乾燥機があると素材の味をいかせます。薄切りにして水分を飛ばすと野菜チップスやフルーツジャーキーが作れます。オーブンの場合はできるだけ低温でゆっくり乾かしてください。種や芯、皮に毒性があるもの(ぶどう、アボカド、種のある桃・栗など)は取り除きます。
保存と衛生のポイント
保存性を高めるには水分を減らして冷蔵・冷凍保存します。作った日付と中身を書いたラベルを付け、冷蔵で1週間程度、冷凍で1〜2か月を目安にしてください。解凍は冷蔵庫でゆっくり行います。
その他のコツとアレンジ例
- アレルギー対応:小麦は米粉やオートミールで代用します。卵不使用ならバナナやすりおろし野菜でつなぎます。
- 食感調整:固いおやつは小型犬や高齢犬には砕いて与えます。
- 味の組み合わせ:かぼちゃ+チーズ少量、さつまいも+リンゴ、鶏ささみ+かぼちゃなど簡単に変化がつけられます。
- 禁止食材:チョコ、キシリトール含有品、玉ねぎ・にんにく、ぶどう・レーズンは絶対に使いません。
年齢や健康状態に合わせたおやつの選び方
子犬(成長期)
子犬は消化力がまだ弱いので、柔らかくて小さめの一口サイズにします。味付けは薄くし、塩分や砂糖を避けます。具体例:蒸したささみの細切り、やわらかくしたさつまいもボール、バナナを少量混ぜたヨーグルト(無糖)。栄養は主食が基本ですから、おやつはごほうび程度に抑えてください。
成犬(活動期)
活動量に合わせてカロリーを調整します。運動後のご褒美にはタンパク質を含む軽めのおやつが向きます。具体例:茹でた鶏ささみ、かぼちゃのキューブ、オートミールビスケット(小さめ)。一日の総カロリーの約10%を目安に分量を決めましょう。
シニア犬(高齢期)
シニア犬は咀嚼力や消化力が落ちます。柔らかく、低脂肪・低塩の素材を選んでください。腎臓や肝臓に負担をかけないために、塩分と脂質を控えめにします。具体例:蒸したさつまいも、野菜のピューレ、フードを湿らせたプリン風おやつ。歯が弱い場合はペースト状やよく柔らかくしたものが安心です。
病気のある犬(肥満・糖尿病・腎臓病など)
持病がある場合は獣医師に相談してください。肥満なら低カロリー・低脂質、糖尿病なら糖分の少ない野菜やタンパク質、腎臓病なら塩分と高リンの食材を避けます。具体例:低脂のささみ、茹でたキャベツ、小麦を避けたい時は米粉やオートミールで作る薄めのおやつ。
歯や口の問題がある場合
歯が悪い犬には硬いおやつは避け、柔らかく潰せる形状にします。歯石予防が必要な場合は、獣医師の指導のもとで専用おやつを使ってください。
与え方の注意点
・おやつは1日に与える量を決め、食事量と調整する。
・新しい素材は少量から試し、アレルギー反応を確認する。
・市販品を使う場合は成分表示をよく確認し、塩分や添加物が多いものは避ける。
年齢や健康状態に合わせて素材と調理法を工夫すると、安全で喜ばれるおやつを作れます。
まとめと安全な手作りおやつのためのポイント
安全の基本
手作りおやつは素材を選べるのが強みです。無添加で新鮮な材料を使い、塩や砂糖、香辛料は基本的に加えないでください。栄養バランスと与える量を普段の食事と合わせて考えます。
与えてはいけない食材(代表例)
- タマネギ・ネギ類、ニラ:赤血球を傷つけることがあります。
- チョコレート、カフェイン:中毒を起こします。
- レーズン・ぶどう:腎障害のリスクがあります。
- アボカド、キシリトール、アルコール、生の豚肉や鶏の骨:危険です。
作るときのポイント
- 初めは材料を少なくしてシンプルに作る。アレルギーの有無を確かめやすくなります。
- 火を通す(特に肉や卵)。生食にする場合は獣医と相談してください。
- 油や塩分は控えめに。代わりに茹で野菜や果物で風味を出します。
- 分量は計って作ると、毎回同じ品質にできます。
与え方と保存
- 体重や運動量に応じて量を調整し、おやつは1日のカロリーの10%前後が目安です。
- 初回は少量から与え、24〜48時間は便・皮膚・元気の変化を観察してください。
- 保存は冷蔵で2〜3日、冷凍で約1ヶ月が目安。小分けにして解凍すると便利です。
トラブルが起きたとき
嘔吐・下痢・呼吸困難・ぐったりした場合は速やかに獣医に相談してください。与えてはいけない物を食べた疑いがあるときも同様です。
安全に配慮して作れば、手作りおやつは愛犬との楽しい時間になります。初めは控えめに、様子を見ながらレシピを増やしてください。