目次
はじめに
犬の便がゆるくなると、飼い主はとても心配になります。この章では、本書の目的と扱う内容、読むと得られることを分かりやすく説明します。日常の悩みに寄り添い、実践しやすい対処法を順を追ってお伝えします。
本書で扱う主な内容
- 犬の便がゆるくなる主な原因とドッグフードの給与量の関係(第2章)
- 軟便や下痢になったときの応急処置や家庭でできる対応(第3章)
- 病院での受診が必要なサインとその目安(第4章)
- 軟便の根本原因の考え方と腸内環境の整え方(第5章)
注意点と目標
本書は、フード量の調整に加え、フードの質や腸内環境の改善が重要である点を重視します。専門的な検査や治療が必要な場合は獣医師の診察を優先してください。読後には、自己判断での対応範囲と獣医師に相談すべきときの目安が明確になります。
犬のウンチがゆるい原因とフード量の関係
フード量が多すぎるとどうなるか
与える量が多いと、犬の消化器官が処理しきれません。特に子犬や高齢犬は消化力が弱く、未消化の栄養が腸に残り水分を引き寄せて軟便になります。例:成犬の目安量を毎回20〜30%超えて与えると便がゆるくなることが多いです。
フードの質・種類が及ぼす影響
酸化した油や低品質の脂質は消化を乱します。穀物主体で消化しにくい原料が多いフードや、添加物の強いものも腸に負担をかけます。ドライ・ウェット・手作りのどれでも、素材の鮮度と脂質の質が重要です。
腸内環境と水分バランス
急なフードの切替えやおやつの与えすぎで腸内バランスが崩れます。水を多く飲ませすぎても少なすぎても便の状態が変わります。規則正しい給餌と適量の水分が大切です。
見直しのポイント
- 給与量は体重と活動量に合わせて確認する
- フードの賞味期限や保存状態をチェックする
- 切替は数日〜1週間かけて少しずつ行う
- おやつは総量に含める
これらを試しても改善しない場合は獣医師に相談してください。
軟便・下痢時の対処法
はじめに
犬の軟便や下痢が続くと飼い主も不安になります。まずは落ち着いて、家庭でできる対処を順に試しましょう。症状が重い場合は早めに獣医師に相談してください。
軽度の場合の対処(普段より柔らかい便が続く程度)
- 食事量を一時的に減らす:通常量の7〜8割にし、回数を増やすと負担が減ります。
- 消化に良い食事に切り替える:茹でた鶏むね肉と白ご飯(脂肪少なめ)を中心に与えると良いです。かぼちゃやさつまいもも使えます。
- おやつや人の食べ物は控える:脂っこい物や味付けは下痢を悪化させます。
- プロバイオティクスの検討:犬用サプリや獣医師推薦の製品を使うと整腸に役立つ場合があります。
激しい下痢・嘔吐がある場合の対応
- 絶食(短期):12〜24時間、水は常に少量ずつ与えます。子犬や高齢犬は短時間で受診してください。
- 水分補給:水のほか、無塩の鶏ガラスープや獣医師推奨の犬用経口補水液を与えると良いです。
食事の切り替え方
- 軟便が落ち着いたら、消化に良い食事から徐々に通常フードへ戻します。3〜5日かけて量を増やし、新しいフードへは7日程度かけて少しずつ混ぜます。
症状観察のポイントと受診の目安
- 便の色・粘血・頻度・回数を記録します。
- 元気や食欲が急に落ちる・嘔吐が続く・血が混じる・脱水の兆候(ぐったり、眼が落ちくぼむ)などがあればすぐに受診してください。
注意点
- 人用の薬は勝手に与えないでください。症状に合った治療は獣医師の判断が必要です。
- 長引く場合や繰り返す場合は、検査や食事の見直しが必要になります。
獣医師の診察が必要な場合
症状の見極め
軟便が続き、元気や食欲が明らかに落ちている場合は受診を検討してください。排泄回数が増える、便に粘液や血が混じる、嘔吐が続くときも早めに診察を受けましょう。水分を取らない・ぐったりしている場合は緊急性が高いです。
受診前に準備すること
最近の食事(種類・量・おやつ)、発症時期、便の写真や目についた異物、嘔吐の有無をメモして持参してください。普段の体重や既往歴、薬の有無も伝えると診断がスムーズです。
診察で行われること
体温・脈拍・脱水の有無を確認し、腸の音や腹部の触診を行います。必要に応じて便検査、血液検査、レントゲンや超音波検査を行い原因を探します。治療は脱水があれば点滴、感染や寄生虫があれば薬、食事療法で改善を図ります。
緊急時の対応
嘔吐が続き水分が取れない、血便、大量の血が混じる、意識が低下している場合はすぐに動物病院へ連絡し来院してください。短時間で状態が悪化しますので速やかな対応が必要です。
受診後の注意点
獣医師の指示どおり薬や療法食を続け、変化があれば再診してください。普段の様子や排泄回数を観察し、改善しない場合は再度相談しましょう。
軟便の根本的な原因理解
軟便が示すこと
柔らかいうんちは体の内部で何かがうまく働いていないサインです。短期的なものもありますが、繰り返す場合は腸内のバランスや細胞レベルのダメージ(酸化ストレス)を反映していることがあります。
主な原因(具体例付き)
- 腸内細菌バランスの乱れ:抗生物質や急なフード変更で、善玉菌が減ると軟便になります。例えば、急に新しいおやつを与えた翌日に緩くなることがあります。
- フードの質や成分:低品質の原料や脂肪過多の食事は消化を乱します。粗悪フードを高品質に替えたら改善する例も多いです。
- 酸化ストレス:過酸化物の増加で腸の粘膜が傷つきやすくなります。老犬や慢性炎症のある子で見られます。
- ストレスや生活環境:引越しや来客、運動不足で腸の働きが変わります。
根本的な対策
- フードの質を見直し、消化に良いものへ徐々に切り替えます。したがって、7〜10日かけて変えてください。
- 食物繊維や発酵食品(かぼちゃの茹でたもの、ヨーグルト等)で腸内バランスを整えます。
- プロバイオティクスやプレバイオティクスの補助を検討します。
- ストレスを減らす生活習慣(規則正しい食事時間、適度な運動、静かな休憩場所)を作ります。
日常の観察ポイント
便の回数・色・におい・血の有無、食欲や元気の程度を記録します。変化が続く場合は獣医師と相談してください。