はじめに
生後2ヶ月の子犬は、これからの学びが最も早く進む大切な時期です。本章では、おやつを使ってしつけを始める際の心構えと基本的な考え方をやさしく説明します。
この時期の特徴
2ヶ月前後の子犬は好奇心が強く、人や音、環境に慣れていくことで性格や行動が決まりやすくなります。短い時間でも集中して学べるため、少しずつ繰り返すことで効果が出やすいです。
おやつの役割
おやつはごほうびとして使います。よい行動が出た瞬間に与えると、子犬は「その行動をするとよいことがある」と覚えます。誘導や脅しとしてではなく、学習を助ける道具と考えてください。
注意点の概要
量や頻度、タイミングを守ることが重要です。小さくて柔らかいおやつを選び、与えすぎないようにします。本書では目的、基本ルール、与え方、具体的なしつけ例、避けるべき使い方を順に解説します。初めての方も無理なく進められる内容です。
おやつを使う目的
なぜおやつを使うのか
おやつは子犬にとって「良いこと」が起きるサインです。望ましい行動と楽しい結果を結びつけることで、覚えやすくなります。短時間で効果が出やすいため、しつけの導入に向きます。
望ましい行動を強化する
行動を見た直後におやつを与えると、子犬はどの行動が褒められたか理解します。例えば「おすわり」「呼び戻し」「待て」などを成功させたらすぐに小さなおやつを与えてください。
信頼関係と学習意欲を育てる
おやつを使うことで、飼い主と一緒にいると良いことが起きると学びます。褒め言葉や優しい触れ合いを併用すると、信頼感がさらに深まります。
動機づけや集中力の向上
興味を引くおやつは子犬の集中力を高めます。短いトレーニングを繰り返すことで、学習意欲が持続します。
実用的な具体例
- 噛み癖の矯正:噛む代わりにおやつを渡して交換する。
- 社会化:人や犬に慣れるときに安心材料として使う。
- ケアの習慣化:ブラッシングや爪切りの間に少しずつ与える。
注意点(簡潔に)
おやつは小さく、頻度を管理してください。普段の食事とのバランスを考え、過度な与えすぎを避けてください。
おやつを使う基本ルール
はじめに
おやつはしつけの強い味方です。ただし量や与え方を守ることで健康と学習効果を両立できます。以下の基本ルールをやさしく説明します。
総量の目安
1日の摂取カロリーの1〜2割以内に収めます。具体例:毎日200kcalを必要とする子犬なら、おやつは20〜40kcal程度が目安です。
おやつの種類と選び方
- 普段のドライフードを1粒ずつごほうびに使うのが手軽で安全です。
- 市販品は「子犬用」や「低カロリー」を選んでください。成分表で砂糖や塩分が多くないか確認します。
与え方のルール
- 一度に多量を与えないでください。小さく切るか、1粒ずつ与えます。
- ごほうびは行動の直後に与えると学習が早まります。
管理と記録
- 毎日のおやつ量をメモして過剰にならないよう管理します。
- 体重や食欲の変化があれば量を調整します。
衛生と安全
- アレルギーや誤飲に注意してください。新しいおやつは少量から試します。
- 変色や臭いがする場合は与えないでください。
タイミングと与え方
望ましい行動が起きたら1〜2秒以内におやつを与えて、その行動と良いことが結びつくようにします。遅れると犬が何を褒められたかわからなくなるため、素早く渡すことが大切です。
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即時に褒める方法
1) 犬が正しい行動をした瞬間に短い声かけ(「いいこ」「よし」など)で褒めます。
2) 声を出しながらすぐに小さく割ったおやつを手のひらにのせて与えます。手は平らにして指を噛まれないように注意します。 -
与え方のポイント
・おやつは小さめ(米粒〜豆大)で、すぐ食べられる柔らかさにします。
・すべての成功で最初は必ず与え、犬が学んだら頻度を減らします(毎回→2回に1回→3回に1回→声かけ・なでる中心)。
・短い練習を何回かに分けて行います(1回5〜10分を目安)。 -
トイレや噛み癖への適用例
・トイレ成功:屋外ですぐ褒めてからおやつを与える(家に入る前に与えると成功が特定しやすい)。
・甘噛み:正しい咬み方の代替(おもちゃを噛んだとき)を褒めておやつを与え、噛む行動と褒めを結びつけます。
おやつの量は体重増加を見ながら調整し、最終的には声やスキンシップが主なごほうびになるようにします。
2ヶ月子犬に向くしつけ内容とおやつの使い方
はじめに
2ヶ月の子犬は好奇心が強く学びが早い時期です。短い時間で成果が出るため、おやつを使って楽しく教えます。
トイレのしつけ
排せつできた瞬間にすぐ1〜2粒のおやつを与え、大げさに褒めます。声かけは「いい子」など短い言葉にし、撫でたり明るく向き合ってあげます。屋外でできたら必ず褒める習慣を続けてください。失敗したら叱らずに静かに片付け、臭いを残さないようにします。
基本コマンド(おすわり・まて・呼び寄せ)
短時間(1〜3分)の練習を1日に数回行います。できたらすぐ一粒与え、成功とおやつを結びつけます。例えば「おすわり」は手で誘導し、座ったら即報酬。「まて」はすぐ離れて戻して報酬を与え、徐々に待つ時間を伸ばします。名前を呼んで来た時も同様に少量を与えます。
おやつの種類と量
柔らかく小さいものを選び、丸のみしにくい形が良いです。普段のドライフードをおやつに使っても構いません。1日の総エネルギーの一部として調整し、与えすぎないようにします(目安として総カロリーの一割程度を参考にしてください)。
失敗時の対応
失敗を見つけても叱らず、落ち着いて片付けます。叱ると怖がって学習が遅れることがあります。排せつ後にすぐトイレへ連れて行くなど予防も大切です。
安全と習慣化のコツ
人の食べ物(チョコ・玉ねぎなど)は絶対に与えないでください。おやつに頼りすぎないよう、褒め言葉や触れ合い、おもちゃでの報酬も使い分けます。徐々におやつを減らしても行動が続くように練習を進めてください。
子犬は日々成長します。焦らず短い成功体験を積み重ねることが大切です。
やってはいけないおやつの使い方
1 吠えたときにおやつを与える
吠えた瞬間におやつを渡すと、「吠えればおやつがもらえる」と学習します。結果として要求吠えが増えます。代わりに無視して、静かになってから短時間(1〜3秒)だけ褒めておやつを与えてください。
2 人の食べ物を与える
人の食べ物を与えると、ちょうだい吠えや盗み食いにつながります。味の濃い物やテーブルの食べ物は避け、犬用の安全なおやつだけを使ってください。
3 与え方や量の誤り
おやつを大量に与えると肥満や偏食になります。大きさは小さく刻み、回数を管理して主食の量を調整してください。
4 タイミングがずれる
行動の直後に報酬を与えないと、犬は何が正解かわかりません。行動に対して即座に与える習慣をつけましょう。
5 おやつを罰として使う
おやつを取り上げたり脅して与えると信頼が損なわれます。叱るときはおやつは使わず、冷静に対応してください。
6 子犬に教える代替方法
静かにする練習は「静か」の合図と静止時間を短くして始めます。食事は皿で与え、テーブルでの取り分けはしないでください。咥え物や知育トイで注意をそらすのも有効です。