はじめに
目的
本書は、生後3ヶ月のミニチュアダックスの子犬に与える適切な餌の量をわかりやすくまとめたガイドです。飼い主が毎日の給餌量を判断しやすくするために、体重の目安、カロリー、フード量、与え方の工夫まで段階的に説明します。
対象犬と前提条件
対象は生後3ヶ月のミニチュアダックス（子犬）です。個体差がありますので、本書で示す数値は目安とお考えください。健康状態や避妊・去勢の有無、活動量によって必要量は変わります。
本書の構成
全8章で構成し、順に読めば給餌の基本から調整方法までわかるようにしました。第2章は体重の目安、第3章は1日あたりのカロリー、第4章は具体的なフード量、第5章は活動量に応じた調整方法、第6章は食事の回数と与え方、第7章は成長段階ごとの進め方、第8章では愛犬の様子を観察する重要性を解説します。
本章を読むポイント
まずは「目安を知る」「愛犬を観察する」ことを意識してください。数値は参考にし、体調や体型の変化を見ながら調整してください。
体重の目安
一般的な目安
生後3ヶ月のミニチュアダックスの子犬は、一般的に1.5kg〜2.0kg前後が平均的な体重です。別の報告では2.5kg〜3.0kgという例もあります。個体差が大きいため、あくまで目安としてお考えください。
個体差が出る理由
父母の体格や遺伝、性別、胎内や幼犬期の栄養状態、同胎児の数などで差が出ます。例えば兄弟でも出生体重が違えば成長の速度が変わります。
正しい測り方
毎週同じ時間帯（朝食前が望ましい）に量ります。子犬が動くと正確に測れないため、キッチンスケールにタオルを敷いてその上に乗せると安定します。体重は記録して成長曲線を作ると変化が分かりやすいです。
相談の目安
目安から大きく外れる、あるいは1週間で体重が増えない場合や元気がない場合は獣医師に相談してください。早めの受診が安心につながります。
日常でできるチェックポイント
・毎週の体重記録
・毛づやや活力の確認
・食欲の有無を観察
これらを続けることで健康な成長を見守れます。
1日あたりのカロリー目安
基本の目安
3ヶ月のミニチュアダックスの子犬は、1日あたり約180〜250 kcalを目安にしてください。これは成長期用の子犬用フードを基準にした一般的な範囲です。個体差やフードのカロリー密度で適切な量は変わります。
目安が幅を持つ理由
- 体重や体格：同じ年齢でも体重が違えば必要カロリーは変わります。小柄なら下限に近く、大きめなら上限に近くなります。
- 活動量：よく遊ぶ子は消費が多く、カロリーも多めに必要です。室内で大人しく過ごす子は控えめにします。
- フードの成分：高カロリーのフードだと少ない量で目標カロリーに達します。パッケージのkcal表示を確認してください。
簡単な計算例
- 目安範囲を用いて体感で調整します。例：体重2.5kgの子犬なら約200 kcal/日を出発点にして、体重や体つきを見ながら増減します。
実際の与え方での注意点
- フード袋の「1日あたりの給与量」をまず確認してください。メーカー表示はカロリー密度を基に算出されています。
- おやつもカロリーに含めること。おやつが多いと総摂取量が増えます。
- 体重は定期的に測り、ふくよかになってきたら量を減らします。逆に痩せているなら少し増やします。
- 食欲の急激な変化や体重が大きく変わるときは、獣医師に相談してください。
与えるときのちょっとしたコツ
- 1日分を数回に分けて与えると消化が楽です。水は常に用意してください。
- 初めてのフードを試すときは少しずつ混ぜ、体調を確認して量を調整します。
フード量の具体的な目安
基本の目安
小粒タイプの子犬用ドライフードでは、1日あたり約60g〜80gが一般的な目安です。これはあくまで出発点ですので、パッケージの給与量ガイドを必ず確認してください。フードのカロリー密度や成分で必要量は変わります。
実例で見る違い
- ある報告では体重2kgの子犬が約98g／日を必要とした例があります。体格や成長スピード、フードの種類で差が出ます。
測り方と与え方のコツ
- キッチンスケールで正確に量りましょう。目分量は誤差が出やすいです。
- 1日の量は2〜3回に分けて与えると消化に優しく、食欲の安定にもつながります。
調整のポイント
- フードを替えたときは量を少しずつ調整し、体重や体型を週に1回確認します。
- 食いつきが悪い、便の状態が変わる、体重が増えすぎ・減りすぎのときは量を見直し、必要なら獣医師に相談してください。
パッケージ表示の読み方（簡単）
- パッケージに「1日目安量（g）」と体重別の数値が載っています。カロリー（kcal/100g）がわかる場合は、同じカロリー帯の別製品と比べて量を調整します。
この章では具体的な数値と、実際に量る・調整する際の手順を丁寧に示しました。次章では活動量に応じたさらに詳しい調整方法を説明します。
活動量に応じた調整方法
活動量の分類と基本ルール
子犬の活動量は大きく3つに分けます。1）活発（よく走り回る、運動量が多い）、2）普通（散歩や室内遊びがほどほど）、3）インドア派（ほとんど室内で静かに過ごす）。給餌量の調整は体重に基づく「基本量」を元にします。目安としては、活発な子は基本量の1.1〜1.2倍、普通の子は基本量どおり、インドア派は基本量の0.8〜0.9倍にします。
具体例でわかりやすく
例えば基本量が1日200gの子の場合：
- 活発：220〜240g
- 普通：200g
- インドア派：160〜180g
このように数値で示すと調整しやすくなります。
調整の手順
- 現在の生活パターンを記録する（日々の散歩時間や遊ぶ時間）。
- 基本量に対して上記の倍率をかけて給餌量を決める。
- 変更は一度に大きく行わず、まず10％程度の増減に留める。
- 2週間を目安に体重や体型を確認し、必要ならさらに微調整します。
注意点
- おやつやトレーニングで与えるカロリーも合算して考えてください。
- 体重が短期間に増えたり減ったりする場合は獣医師に相談してください。
- 成長期は運動量が変わりやすく、給餌量もこまめに見直す必要があります。
愛犬の個性に合わせ、無理なく調整することが大切です。
食事の回数と与え方
3か月の子犬が回数を分ける理由
3か月の子犬は胃腸がまだ未熟で、一度にたくさん食べると消化不良を起こしやすいです。少量を回数多く与えることで消化の負担を減らし、栄養を安定して吸収させられます。
回数と1回あたりの目安
- 基本は1日3回〜4回に分けるとよいです。朝・昼・夜の3回が最小目安で、活動が多い場合は昼を分けて4回にします。
- 1回量は総摂取量を等分するか、朝と夜をやや多めにして昼を少なめにします。体重やフードのカロリー表示を参考に少しずつ調整してください。
与えるタイミングと具体例
- 毎日同じ時間帯に与えると生活リズムが整います。例：朝7時、昼12時、夜18時。4回なら朝9時と昼を分けます。
- 日中に留守にする場合はフードタイマーや自動給餌器を使うと安全で規則正しく給餌できます。
与え方の工夫
- 静かな場所で、落ち着いて食べられるようにします。慌てて食べる子は小分けの器やパズルフィーダーで緩めるとよいです。
- ウェットフードは室温に戻すと犬が食べやすくなります。
食欲不振や下痢・嘔吐が出たとき
- 一時的な軟便や嘔吐なら量を減らし様子を見ます。症状が続く、元気がない、血が混じる場合はすぐに獣医に相談してください。
注意点
- 一度に多量を与えると消化不良や嘔吐、食欲不振につながります。日々の観察で回数や量を微調整しましょう。
成長段階に応じた食事の進め方
生後2〜3ヶ月
ぬるま湯でふやかしたフードを1日3〜4回に分けて与えます。1回の量は少量ずつ、食べ残しがない程度が目安です。消化が未熟なので細かく分けて与えてください。
4〜5ヶ月
回数を1日3回に減らします。徐々に水分を減らして固さを出し、噛む練習を促します。成長が早い時期なので食事量は体重や運動量で調整してください。
6〜8ヶ月
ドライフードへ切り替えを進めます。切替は7〜10日かけて行い、毎日2〜3割ずつドライの割合を増やすと安全です。回数は2〜3回にし、夜の量を多めにする家庭もあります。
9〜12ヶ月
一般に成犬用フードへ移行し、1日2回が基本です。小型犬は早めに成犬食へ移ることがありますが、大型犬は骨の成長期間が長く、12〜18ヶ月までパピー用を続ける場合もあります。
ポイント
- 急な切替は下痢の原因になります。少しずつ変えてください。
- 体重や便、毛艶を見て量を微調整します。
- 常に新鮮な水を用意してください。
愛犬の様子を観察することの重要性
愛犬の給餌量は体重や活動量、フードの種類で変わります。一般的な目安を参考にしつつ、日々の様子をよく観察して柔軟に調整することが大切です。
観察のポイント
- 体重：週に一度同じ時間に量ると変化が分かりやすいです。
- 体型：横から見て腹部が引き締まっているか、肋骨が軽く触れるか確認します。
- 被毛と皮膚：つややかで皮膚がやわらかければ栄養状態が良い目安です。
- 便と尿：量や形、においの変化は消化状態を示します。
- 食欲と元気：急な食欲不振やだるそうな様子は注意が必要です。
異常を見つけたら
少し体重が増えすぎた場合は、給餌量を5〜10%減らし、2週間ほど様子を見ます。逆にやせている場合は同程度増やして様子を見ます。改善しない、食欲が落ちる、嘔吐や下痢が続く場合は獣医師に相談してください。
日々の工夫
毎回の食事量を計量し、記録を残すと変化に気づきやすくなります。年齢や生活環境が変わったときは給餌量を見直しましょう。
観察は飼い主さんにできる一番身近な健康管理です。小さな変化に気づき、早めに対応する習慣をつけてください。