目次
はじめに
この章では、本ドキュメントの目的と読み方をわかりやすく説明します。
目的
本書は、ロイヤルカナンの療法食「犬用 腎臓サポート+低分子プロテイン 小粒」について、製品の特長や使い方を分かりやすくまとめたガイドです。獣医師やペットオーナーが選択・管理しやすいように情報を整理しています。
対象読者
- 腎臓病と診断された小型犬を飼っている方
- 療法食の選び方を知りたい獣医師・スタッフ
- 製品の成分や利便性を比較したい方
本ドキュメントの構成
以下の章で、背景、栄養面の工夫、食物アレルギー対応、皮膚配慮、小粒化の利点、製品ラインアップを順に解説します。実際の給餌時の注意点や選び方のポイントも盛り込みますので、日々のケアにお役立てください。
製品の背景と開発経緯
背景
日本では小型犬の飼育が多く、慢性腎臓病(CKD)や食物アレルギーに悩む犬も増えています。飼い主は病気に配慮した食事を求めますが、小型犬には粒が大きい療法食が食べにくいという課題がありました。ロイヤルカナン ジャポンはこの声に応える必要性を感じました。
開発の目的と方針
目的は「腎臓に配慮しつつ、食物アレルギーのリスクを抑え、小型犬でも食べやすい製品を作る」ことです。獣医師や栄養の専門家と連携し、成分選定と形状の両面を見直しました。
従来品からの進化点
2016年発売の従来品を基に、キブル(粒)を小さくしました。具体的には噛みやすさを重視して形状を最適化し、食べ残しや誤飲の心配を減らしています。また、低分子プロテインを採用し、アレルギー反応の抑制や腎臓への負担軽減を目指しました。
開発プロセスと現場での検証
試作は複数回行い、実際の小型犬で嗜好性や食べやすさを確認しました。獣医師からのフィードバックを反映し、栄養バランスと安全性を両立させています。
販売・入手方法
全国の動物病院とロイヤルカナンの公式オンラインストアで購入可能です。獣医師と相談のうえ、適切な療法食としてご利用ください。
腎臓病対応の栄養学的特徴
慢性腎臓病の犬に対する栄養設計は、腎臓の負担を減らしつつ必要な栄養を効率よく届けることが肝心です。本製品の主な特徴を、分かりやすく説明します。
低リン設計
リンの摂取を抑えることで腎機能の悪化を遅らせる効果が期待できます。本製品は原料と製法を工夫してリン含有量を低めに設定しています。必要に応じて獣医師の指示に従ってください。
高消化性タンパク質
良質なタンパク質を使い、体が効率よく吸収できるようにしています。量を過剰に減らすのではなく、消化されやすい素材で必須アミノ酸をしっかり補給します。
エネルギー密度の調整
食欲が落ちた犬でも少ない量で必要なカロリーを取れるよう、エネルギー密度を高めに設計しています。結果として体重維持がしやすくなります。
電解質と水分の配慮
ナトリウム(塩分)を適切に管理し、カリウムなどの電解質もバランスを考慮しています。また、ドライとウェットの組み合わせで水分摂取を補いやすくしています。
抗酸化成分とオメガ‑3脂肪酸
腎臓の炎症や細胞の酸化を抑えるために、抗酸化成分やオメガ‑3(EPA/DHA)を配合しています。これらは腎臓の健康維持に寄与します。
給餌上のポイント
少量を回数多く与える、嗜好性を高めるために温めるなどの工夫をして下さい。体重や尿量の変化は必ず記録し、定期的に獣医師と相談してください。
食物アレルギー対応の革新的な成分設計
概要
本製品は食物アレルギーに配慮し、加水分解大豆タンパクを主たる低分子ペプチド源として採用しています。分子を小さくすることで、消化器への負担を減らし、アレルギー反応の引き金になりにくくしています。腎臓病と食物アレルギーの両方に配慮した統合的なサポートを目指しています。
なぜ加水分解大豆タンパクか
大豆タンパクを酵素で分解すると、タンパク質は短いペプチドやアミノ酸になります。こうした低分子形態は消化しやすく、腸での吸収もスムーズです。たとえば、長い鎖の蛋白質が原因となる過剰な免疫反応を避けやすくなります。
低分子ペプチドの利点
- 消化負担の軽減:胃腸での消化時間が短くなります。具体例として、長時間消化されずに残る“大きなタンパク質”が減ります。
- アレルギーリスクの低下:免疫系が認識しにくい構造にすることで、反応を起こしにくくします。
- 腎負担の配慮:必要なアミノ酸を効率よく供給し、腎臓の代謝負担を和らげます。
他の配慮点
原材料はアレルゲン管理された工場で処理し、交差汚染を最小化しています。また、保存料や不要な添加物を極力抑え、シンプルな成分設計にしています。
使用上の注意
完全にアレルギーを防げるわけではありません。既往歴のある方は医師や専門家に相談の上でご使用ください。小さな変化でもアレルギー症状が現れた場合は直ちに使用を中止し、医療機関を受診してください。
皮膚健康維持への配慮
重要成分:亜鉛
亜鉛は皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)を助け、傷の回復やかゆみの抑制に役立ちます。具体的には角質層の形成を支え、肌のバリアを強くします。本製品では適量の亜鉛を配合し、食物アレルギーでダメージを受けやすい皮膚を内側からサポートします。
重要成分:リノール酸(大豆油由来)
リノール酸は体でつくれない必須脂肪酸で、皮膚の保湿と柔軟性を保ちます。大豆油由来のリノール酸を採用し、細胞間の脂質を補うことで乾燥やフケ、かゆみを軽くします。脂質バランスを整えることで外部刺激に強い肌を維持します。
皮膚バリアを守る働き
亜鉛とリノール酸は互いに働き、バリア機能を高めます。バリアが整うと、ほこりや花粉、病原菌の侵入が減り、炎症や二次感染のリスクを下げます。腎臓病や食物アレルギーと併せて使うことで、全身の負担を考えた包括的なケアが可能です。
日常ケアのポイント
- 皮膚の変化は週単位で観察してください。効果は通常4〜8週間で現れることが多いです。
- シャンプーは低刺激のものを選び、洗いすぎを避けます。
- かゆみや赤みが強い場合は獣医師に相談してください。本製品は補助的なサポートを目的にしています。
使用上の配慮
継続的な給餌で効果が期待できますが、個体差があります。既往症や投薬がある場合は、事前に獣医師と相談してください。
小粒化による利便性の向上
小粒化の目的と設計方針
従来の栄養バランスは維持しつつ、キブル(粒)を小さく設計しました。目的は小型犬や歯が弱い高齢犬にも負担なく食べられるようにすることです。粒の形状や硬さを調整し、噛む力の違いにも配慮しています。
食べやすさと給餌の工夫
小粒は口に入れやすく、短時間で噛み砕けます。食欲が落ちた時はぬるま湯でふやかすとさらに食べやすくなります。また、薬やサプリを混ぜやすく、投薬が苦手な犬でも与えやすい工夫です。
多様な犬への対応
小型犬はもちろん、顎や歯に問題が出やすいシニア犬にも適しています。食事に時間がかからないため、ストレスが減り毎日の給餌が楽になります。
注意点
しかし、粒が小さい分、早食いしやすくなる場合があります。早食い対策としては、1回量を小分けにする、パズルフィーダーを使う、硬さを少し残した粒を混ぜるなどの工夫が有効です。また保存は湿気を避けて密閉し、風味と品質を保ってください。