犬用フード・おやつ

老犬がドッグフードを食べない理由と対処法を詳しく解説

はじめに

本章の目的

老犬(シニア犬)がドッグフードを食べなくなる悩みは、多くの飼い主が直面します。年齢とともに体や感覚が変わり、病気や環境の変化が重なると食欲が落ちやすくなります。本章では問題の全体像をわかりやすく示し、以降の章で扱う内容への導入を行います。

起きやすい状況の例

  • 口や歯が痛くて咀嚼できない
  • 嗅覚・味覚が衰えて食べ物に興味を示さない
  • 腎臓や胃腸の病気で食欲が落ちる
  • 新しい環境や器の変更でストレスを感じる
  • ドッグフードの匂い・食感が合わない

この記事で学べること

本記事は、主な原因の見分け方、具体的な対処法、シニア犬向けドッグフードの選び方、飼い主が気を付ける点を順に解説します。緊急性がある場合の受診タイミングも紹介するため、すぐに使える実践的な情報が得られます。

大切なお願い

食事を全く取らない時間が長く続く、急激に体重が減る、元気が著しく低下する場合は早めに獣医師に相談してください。小さな工夫で改善することも多いので、一緒に対策を考えていきましょう。

老犬がドッグフードを食べなくなる主な原因

老犬が急にドッグフードを食べなくなる原因は複数あります。ここでは分かりやすく分類し、具体的な症状や例を挙げて説明します。

加齢による体の変化

  • 味覚・嗅覚の低下:若いときよりにおいを感じにくくなり、味が薄く感じるため好みが変わります。例えば、香りの強いトッピングに反応することがあります。
  • 噛む力・飲み込む力の低下:硬いドライフードが食べにくくなります。ふやかすと食べやすくなる場合があります。
  • 消化機能や基礎代謝の低下:食べられる量が減る、消化に時間がかかるといった変化が起きます。

口腔内・身体的トラブル

  • 歯周病や歯の痛み:口を触られるのを嫌がり、固い物を避けます。
  • 関節炎や筋力低下:食器まで移動するのが辛くなり、食事を諦めることがあります。
  • 嚥下障害:飲み込みに問題があるとむせる、食べ物を落とすことがあります。

病気や体調不良

  • 腎臓病、心臓病、内分泌疾患(甲状腺など)、消化器疾患などは食欲低下を招きます。
  • 伴う症状:嘔吐、下痢、元気の低下、飲水量や尿量の変化が見られます。早めに受診してください。

精神的・環境的要因

  • 環境変化やストレス:引っ越し、来客、他のペットの出現などで食欲が落ちることがあります。
  • わがまま・偏食:好みがこだわりになる場合もあります。食器や置き場所を変えると改善することがあります。

これらの原因は重複することが多く、まずは日々の様子をよく観察し、変化が続く場合は動物病院で相談してください。

老犬がドッグフードを食べないときの対処法

食感・温度を工夫する

ドライフードはぬるま湯や低脂肪のだしでふやかすと食べやすくなります。ウェットフードに切り替えるのも有効です。少し温めて香りを立たせると食欲が刺激されますが、熱くしすぎないよう体温より少し高い程度にしてください。

環境と食器の調整

食器台の高さを調整して首や背中に負担がかからない高さにします。滑りにくいマットを敷き、浅めで口が届きやすい食器や重めの陶器製を試してください。静かで落ち着ける場所に移すと集中して食べやすくなります。

与え方を工夫する

少量を回数多めに与える、手で与えて様子を見る、シリンジやスプーンで少しずつ与える方法が使えます。新しいフードに替えるときは数日かけて少しずつ混ぜ、急な変更で胃腸を乱さないようにします。

食欲を刺激するトッピング

低塩の鶏スープや茹でた鶏むね肉、かぼちゃやプレーンヨーグルトなどを少量トッピングすると香りや味で食欲が上がることがあります。人間の味付けは避け、玉ねぎ・ネギ・にんにく・チョコレート・ぶどうなどは与えないでください。

病気が疑われるとき

食欲不振が続く、嘔吐や血便、体重減少、元気がないといった症状があれば早めに動物病院で診てもらってください。必要に応じて血液検査や画像検査、処方食や薬での対応を受けると安心です。

どの方法も愛犬の様子をよく観察し、無理をさせない範囲で試してください。

シニア犬におすすめのドッグフードの選び方

はじめに

噛む力や消化力が落ちるシニア犬には、食べやすさと栄養の両立が大切です。ここでは選び方のポイントと具体的な工夫をわかりやすく説明します。

食感と香りを重視する

セミモイストやウェットタイプは柔らかく、香りが強いので食欲を刺激します。ドライフードはぬるま湯やだしでふやかすと噛みやすくなります。冷たいままだと香りが弱くなるため、少し温めると好む犬が多いです。

栄養バランス

高タンパク・低脂肪で消化しやすいタンパク源(鶏肉・魚など)を優先してください。関節のためのグルコサミンや、皮膚・被毛のためのオメガ‑3脂肪酸が入っていると安心です。

消化と成分設計

消化酵素やプレバイオティクス(善玉菌のえさ)、可溶性食物繊維を含む配合は便通と吸収を助けます。消化が苦手な犬には消化吸収に優れたタンパク分解製品を検討してください。

添加物・保存料

合成着色料や人工香料、過剰な保存料が少ないものを選びましょう。天然由来の酸化防止剤を使っている製品は安心感があります。

形状と使いやすさ

小粒で柔らかい形状は高齢犬に向きます。嚥下が難しい場合はウェットや流動食、ペースト状の製品を獣医と相談して活用してください。

療法食や特別なケア

持病がある場合は自己判断せず獣医師の指示に従うことが重要です。療法食や流動食を使うときは用量や期間を守ってください。

選ぶときのチェックリスト

  • 原材料は先頭に良質な肉類があるか
  • タンパク質と脂肪のバランス
  • 消化補助成分の有無
  • 添加物の種類と量
  • 獣医師の推奨や安全性表示

切替と与え方の工夫

新しいフードは少しずつ混ぜて1〜2週間かけて切り替えます。嗜好性が低いときは温める、少量ずつ与える、だしや少量のトッピングで誘うと効果的です。変化が続く場合は獣医に相談してください。

注意点と飼い主が気を付けること

早めに受診する目安

食欲が24〜48時間以上ほとんどない、嘔吐や下痢、ぐったりしている、体重が急に減る、けいれんや呼吸困難がある場合は早めに獣医師の受診をおすすめします。自己判断で様子を見続けると病気の進行を見逃すことがあります。

長期間の絶食に対する応急対応

長く食べない状態が続くと体力や免疫力が落ちます。まずは少量でもカロリーを取らせる工夫を行ってください。具体例:
- ウェットフードを少量ずつ温める(50℃近くにしない)
- 茹でた鶏ささみの汁や薄めた缶詰スープを与える
- ペースト状にして小さいスプーンや指先で与える
必要なら獣医師に相談して、経口の高カロリー補助食や流動食を処方してもらいましょう。

わがままか病気か判断に迷うとき

食べない理由がわからない場合は歯や口の中の痛み、消化器や内臓の病気、痛みや認知症などが原因のことがあります。自己判断せずに診察や血液検査、口腔のチェックを受けてください。

家での観察と記録の大切さ

食べた量、時間、吐き戻しや下痢の有無、便の色・形、元気の程度を簡単に記録してください。写真やメモを獣医師に見せると診断が早まります。

与え方や環境の注意点

食器の高さを合わせる、静かな場所で落ち着かせる、滑りにくい器を使うなど環境を整えます。無理に口をこじ開けて与えると誤嚥(ごえん)して危険ですから避けてください。

薬や人間の食べ物、サプリの扱い

人間の食べ物や自己判断のサプリは犬に害を及ぼすことがあります。新しい薬やサプリを与える前に必ず獣医師に相談してください。

まとめ

シニア犬がドッグフードを食べなくなる主な理由は加齢に伴う味覚や嗅覚の変化、歯や口のトラブル、消化機能の低下、薬の影響などです。中には重大な病気が隠れている場合もあるため、軽視しないことが大切です。

  • 日々の観察を続ける:食欲の変化、体重、排泄、元気さの変化を記録してください。
  • 初期対応のポイント:温めたりふやかしたり、香りを足したりして興味を引いてください。食べる量が戻らないときは早めに獣医師へ相談しましょう。
  • 生活環境の工夫:食器の高さや静かな場所、食事の回数を増やすなど負担を減らしてください。
  • フード選びは慎重に:シニア向けの消化に優しい、嗜好性の高いものを少しずつ試すと良いです。

体重減少や嘔吐、血便、極端な元気消失があれば速やかに受診してください。日常の小さな変化に気付き、適切に対応することで愛犬の健康寿命を支えていきましょう。

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