目次
はじめに
調査の目的
本調査は、老犬がふやかしたフードを食べない原因と、日常で実行できる対策を分かりやすく伝えることを目的としています。食欲低下は飼い主にとって不安要素です。原因を知り、適切な対応を取ることで犬のQOL（生活の質）を守れます。
対象と方法
主に高齢の犬を飼う家庭での観察、獣医師の知見、既存の資料をもとに原因を整理しました。医学的用語は最小限にし、実践的な工夫を中心にまとめています。
本稿で扱う内容の概略
第2章で「老犬がドライフードを食べない理由」を詳述します。口腔の痛み、嗅覚や味覚の衰え、消化機能の低下など複数の要因を取り上げます。第3章では「ふやかしたフードが推奨される理由と効果」を紹介し、ふやかし方のコツも説明します。第4章ではその他の対処法や注意点を挙げ、日常で使える具体的なヒントを提案します。
読み手への案内
まずは愛犬の変化に気づくことが大切です。次章以降で原因別の対応を順に示しますので、焦らず一つずつ試してみてください。必要があれば獣医師に相談することをおすすめします。
老犬がドライフードを食べない理由
はじめに
老犬が急にドライフードを食べなくなると不安になります。年齢による体の変化や病気が原因であることが多いため、見分け方と早めの対応が大切です。
基礎代謝と食欲の変化
年を取ると基礎代謝が下がり、活動量が減ります。その結果、体が求めるエネルギーが少なくなり食欲が落ちます。同じ量を与えても残すことが増えることが多いです。
嗅覚・味覚の衰え
においや味を感じにくくなると、香りの少ないドライフードに興味を示しにくくなります。嗅ぎ方が鈍くなる、食べ物を選ぶようになるのが典型的なサインです。
口の中のトラブル
歯周病、欠けた歯、口内炎などで噛むと痛みが出ます。よく見られる症状はよだれ、片側でしか噛まない、食べ物を口に入れてすぐ出すことです。口の検査で痛みが原因か確認します。
筋力と嚥下（えんげ）の低下
あごや喉の筋力が弱ると、硬いフードを噛めない、飲み込みに時間がかかる、むせるといった症状が出ます。ごはんをこぼす、飲み込み時にむせる場合は注意が必要です。
消化機能の低下や内臓の病気
消化酵素の減少や腸の働きの低下で食欲が落ちます。また、腎臓病、肝臓病、心臓病、内分泌疾患（糖尿病や甲状腺の異常）などが食欲不振を招くことがあります。持続する場合は検査が必要です。
見分け方と受診の目安
以下のような変化があると早めに受診してください。
- 急に食べなくなった（老犬は24時間以上続けば早めに）
- 体重が減る、元気が明らかに落ちる
- 嘔吐、下痢、血便や痰のような咳が出る
- 口を触ると嫌がる、口臭が強い
獣医は口の中の検査、血液検査、レントゲンなどで原因を探します。早めの対応で改善しやすくなります。
ふやかしたフードが推奨される理由と効果
なぜふやかすのか
老犬は歯やあごの力、消化力が若い頃より落ちます。ドライフードをふやかすと粒が柔らかくなり、噛む力や胃腸への負担を減らせます。飲み込みやすく、食事でのストレスが軽くなります。
主な効果
- 消化が楽になる：柔らかい食べ物は胃で溶けやすく、消化不良や吐き戻しの予防につながります。
- 水分補給になる：ふやかす際の水分が補給源となり、脱水予防に役立ちます。
- 食欲を刺激する：温めたり水分を加えると香りが立ち、食いつきが良くなることが多いです。
具体的なふやかし方
- 常温〜ぬるま湯（人肌程度）を用意します。熱すぎるとやけどの危険があるので注意してください。
- フードと水は1:1〜1:3程度を目安にし、5〜15分ほど置いて柔らかくします。時間は使用するフードによって調整してください。
- ウェットフードや無塩の鶏スープを少量混ぜると風味が増し、食べやすくなります。
注意点
熱湯は使わない、ふやかしたものは長時間放置せず24時間以内に消費する、味付けは塩分や油分が多くないものを選ぶ、体重や便の状態を観察することが大切です。歯や口内の不調が疑われる場合は獣医師に相談してください。
老犬の食欲低下に対するその他の対処法
ウェットフードへの切り替え
歯や噛む力が弱くなった老犬には、ウェットフードが食べやすく喜ばれます。嗜好性が高いため食欲を刺激しやすいです。缶詰やパウチを少量ずつ試して好みを探してください。
低脂肪・高消化性フードの選択
消化が苦手な犬には消化性の良いフードが向きます。ラベルで「低脂肪」「高消化性」「シニア用」といった表示を確認してください。成分表示に粗繊維が少ないものが負担が少ないです。
フードの温めで香りを引き出す
温めると香りが立ち、食欲をそそります。電子レンジなら10〜20秒ほど、温度を手で確かめて熱くない状態で与えてください。調味料は使わないでください。
ふやかしや柔らかさの調整
ドライをぬるま湯で5〜10分ふやかすと、噛まずに飲み込みやすくなります。ふやかし過ぎると鮮度が落ちるので、与える分だけ準備しましょう。
歯や歯茎のチェックと獣医師への相談
口臭や出血、痛みを示すなら獣医師に相談してください。歯が原因で食べられないことがよくあります。適切な治療や歯石除去で改善することがあります。
食事の環境と与え方の工夫
静かな場所で食べさせ、器の高さを調整すると楽に食べられます。少量を回数多めに与えると負担が減ります。食欲促進剤やサプリは獣医師と相談して使ってください。