犬用フード・おやつ

老犬の健康を守る食事とおすすめ手作りレシピ

はじめに

本書の目的

この文書は高齢犬(老犬)の健康を支えるための食事について、わかりやすくまとめたガイドです。消化しやすく栄養バランスのよい手作りごはんの考え方や調理のポイント、避けるべき食材、食欲が落ちたときの工夫、獣医師の助言まで幅広く扱います。

なぜ食事が重要か

年を取ると、消化力や歯の状態、腎臓や肝臓の働きが変わります。適切な食事は体重管理や体力維持、病気の進行を遅らせる助けになります。毎日のごはんが老犬の生活の質に直結します。

本書の使い方

各章は実践しやすい内容に分けています。第2〜3章は具体的なレシピや食材、第4〜5章は注意点や食欲不振への対応です。獣医師の見解も紹介しますので、個別の病状がある場合は必ず獣医師と相談してください。

優しい心遣いを大切に

高齢期は体調が日々変わります。食事を通じて愛犬の様子を観察し、小さな変化にも気づいてあげてください。

老犬の食事で大切なポイント

消化しやすさを最優先に

老犬は胃腸の働きが弱くなるため、消化しやすい食事を心がけます。食材はやわらかく調理し、細かく切るか潰して与えます。煮る・蒸す調理法がおすすめです。

良質なタンパク質を確保する

筋肉維持のためにタンパク質が大切です。鶏ささみ・胸肉、白身魚、豆腐など低脂肪で消化の良い食材を中心にします。量は体重や状態に合わせ、獣医と相談してください。

炭水化物と野菜でエネルギーと栄養を補う

消化しやすい炭水化物として、さつまいもやかぼちゃを活用します。野菜はにんじん、ほうれん草、きのこ類を少量ずつ加え、ビタミン・ミネラルを補います。すべて柔らかく加熱してください。

噛む・飲み込む力への配慮

噛む力や飲み込む力が弱い場合は、とろみをつけたりペースト状にします。片栗粉でとろみを付ける、ミキサーで攪拌してペーストにする、スープでのばすなど工夫しましょう。

水分と塩分の管理

脱水を防ぐために水分をしっかり摂らせます。スープや煮汁を使うと取りやすくなります。塩分は控えめにし、人用の味付けは避けてください。

カロリーと体重管理

活動量が減る老犬は太りやすいので、カロリー管理が重要です。痩せ気味の場合は高カロリー食に切り替えることもありますが、獣医の指示に従って調整してください。

食べ方と与える回数

一回に多く与えず、回数を分けて与えると消化に優しいです。食欲の変化や便の状態を日々観察し、異常があれば獣医に相談します。

老犬向けおすすめ手作りごはんレシピ集

1. 卵と野菜うどん

  • 材料(小型犬1食分): うどん50g(柔らかく茹でる)、卵1個、にんじん20g、かぼちゃ20g、だし(薄め)100ml
  • 作り方: 野菜は小さく切り蒸すか柔らかく茹でます。うどんは細かく刻み、だしで温めた鍋に入れます。卵をとき入れて軽く混ぜ、とろみがついたら冷まして与えます。
  • ポイント: のどへ詰まりにくいようにとろみをつけ、温度は人肌程度にしてください。消化に優しい素材を使います。

2. さんまと大葉の炊き込みご飯

  • 材料(中型犬2食分): 米1合、さんま(頭・内臓取り)1尾、刻んだ大葉1〜2枚、少量のだし
  • 作り方: 米を洗い、さんまは塩少々で下処理してから骨を取り除きます。炊飯器に材料を入れ薄めのだしで炊き、炊き上がったら骨が残っていないか確認して混ぜます。
  • ポイント: 骨は必ず取り除き、塩分は控えめにします。香りづけに大葉を入れると食欲が出ます。

3. とろとろ野菜ペースト

  • 材料: じゃがいも50g、かぼちゃ50g、さつまいも少々、水やだし
  • 作り方: 野菜を柔らかく蒸してブレンダーで滑らかにします。必要に応じてだしでのばし、とろみを調整します。
  • ポイント: 歯が弱い老犬や食欲のない時に便利です。冷凍保存して少しずつ解凍できます。

4. 鮭の野菜あんかけ

  • 材料(小型犬1食分): 生鮭50g(骨取り)、白菜やにんじん30g、片栗粉小さじ1、水100ml
  • 作り方: 鮭は蒸すか軽く焼きほぐします。野菜を煮てから水溶き片栗粉でとろみをつけ、鮭を合わせます。冷ましてから与えます。
  • ポイント: 片栗粉でとろみを付けると飲み込みやすくなります。塩や調味料は使いません。

食べやすさを最優先にし、骨や塩分、硬い皮などは除いてください。調理後は常温での放置を避け、冷凍や冷蔵で早めに使い切ってください。

老犬の食事で注意すべき点

老犬は体の変化で消化力や噛む力が落ちます。安全で食べやすい食事作りに気を配りましょう。

与えてはいけない食材

  • ネギ類(玉ねぎ、ねぎ、にら):血が薄くなる中毒を起こす恐れがあります。少量でも危険です。
  • ぶどう・レーズン:腎臓に障害を起こすことがあります。おやつに混ざっていないか確認してください。
  • チョコレート:中毒を起こし、心拍異常やけいれんの原因になります。
  • 香辛料・塩分・アルコール・キシリトール:味付けの強い食品や人工甘味料も危険です。

食事の切り替え方法

急な変更は下痢や拒食につながります。新しい食事を少量混ぜ、数日〜1週間かけて割合を増やしてください。便や食欲を観察し、異常が続く場合は獣医に相談しましょう。

食べやすくする工夫

  • 温度:ぬるめ(人肌程度)に温めると匂いが立ち食欲が増します。
  • 食感:柔らかく煮るかすり潰す。噛む力が弱い子はとろみをつけると飲み込みやすくなります。
  • 食器:浅めで滑りにくい皿、少し高めの台を使うと首や関節の負担が減ります。

量・塩分・薬の確認

老犬は塩分や脂肪を控えめにします。投薬中は食事との相互作用がある場合があるため、必ず獣医に確認してください。

老犬が食欲を失ったときの工夫

食欲低下の原因をまず確認

年齢による嗅覚・味覚の変化、歯や口の痛み、消化器の不調、薬の副作用などが考えられます。急な変化やぐったりがあるときはすぐ獣医師に相談してください。

温める・香りを活かす

ごはんを人肌〜ぬるま湯程度に温めると香りが立ち、食欲を刺激します。かつお節や細かくしたささみ、納豆や大葉など香りの強い食材を少量トッピングすると効果的です。熱すぎないよう注意してください。

見た目と食感を工夫する

彩りを添える(にんじんやブロッコリーのやわらかい部分)と目先が変わり食欲が出ます。食べにくい場合は刻む・すり潰す・おかゆ状にして柔らかくします。手から与えると安心して食べる子も多いです。

少量を頻回に与える

一度に大量は負担です。少量を一日に数回に分けて与えると食べやすくなります。

水分とスープで食欲を補う

温かいスープ(無塩の鶏ガラスープなど)でふやかすと風味が増し、水分補給にもなります。

最後に注意点

嗜好改善を試しても48時間以上食べない場合、体重減少や嘔吐・下痢が続く場合は必ず獣医師に相談してください。

頻繁に使われるおすすめ食材

たんぱく質(主な食材)

  • 鶏ささみ・胸肉:脂肪が少なく消化しやすいです。茹でて身をほぐし、皮や骨は必ず取り除きます。
  • 鮭・白身魚:良質な脂(DHAなど)と柔らかい身が魅力です。塩分無添加で、火を通して骨を取り除いてください。
  • 豆腐:消化がよく、たんぱく質補給に便利。含め煮やそのまま軽く温めて与えます。

炭水化物(主な食材)

  • ごはん:消化しやすく胃腸に優しい基本食です。水分多めにして柔らかく炊きます。
  • うどん:消化がよく食べやすい。短く切って温めるだけで使えます。
  • さつまいも・かぼちゃ:ビタミンや食物繊維が豊富で満足感を得やすいです。蒸すか茹でてつぶして与えます。

野菜・きのこ(主な食材)

  • キャベツ・にんじん・ブロッコリー:ビタミンや食物繊維を補います。柔らかく茹でて細かく刻むかすりつぶします。
  • トマト:抗酸化作用のあるリコピンが含まれます。種やヘタを取り、与えすぎに注意します。
  • まいたけ:消化を助け、免疫をサポートすることがあります。よく加熱してから少量を混ぜます。

トッピング・補助食材

  • 納豆:タンパク質と発酵食品の良さ。ただし与えすぎないでください。
  • 無添加スープ(だし):水分補給と香りづけに便利。塩分無添加を選びます。
  • 野菜のペースト:噛む力が弱い老犬におすすめ。冷凍小分けで保存できます。

調理のポイント

  • 味付けは基本的にしないこと。素材は柔らかく、骨や皮、硬い部分は必ず取り除きます。
  • 新しい食材は少量から試し、アレルギーや消化不良の兆候がないか確認します。

保存と与え方の目安

  • 作り置きは冷蔵で2日、冷凍は1か月を目安に。解凍は自然解凍か湯せんで温め、均一に温度を戻します。
  • 食事は年齢や体重に合わせて調整し、体調に変化があれば獣医師に相談してください。

獣医師・専門家のアドバイス

基本方針

老犬の食事は栄養バランスと安全性を第一に考えます。体重、歯の状態、持病に合わせて調整することが大切です。普段の様子を細かく観察し、変化を伝えてください。

栄養バランスと食材のチェックポイント

タンパク質や良質な脂肪、消化しやすい炭水化物を適量に。カルシウム、ビタミン、ミネラルも不足しないようにします。タマネギ、ネギ、チョコレート、ぶどう、キシリトールなどは避けてください。塩分や脂肪は控えめにします。

健康チェックと受診の目安

急な食欲低下、体重減少、嘔吐、下痢、排尿の変化があれば早めに受診してください。血液検査や尿検査で腎臓や肝臓の状態を確認できます。日頃から体重を測り、記録を持参すると診察がスムーズです。

食欲不振や体重管理の実践的アドバイス

食べやすい形(細かく切る、温める)や嗜好性を上げるトッピングを試します。必要ならカロリー調整のため療法食やサプリを獣医師と相談して取り入れてください。

専門家の活用方法

栄養士や老犬ケアの専門家と連携すると安心です。獣医師には日々の変化を具体的に伝え、指示に従って食事を調整してください。

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