犬用フード・おやつ

老犬の食事量を体重・年齢別に正しく見直すポイント

はじめに

老犬になると何が変わるのか

年をとると、肝臓や腎臓などの内臓の働きや消化機能がゆっくりと衰えます。運動量や基礎代謝も下がり、若い頃と同じ食事量や内容では消化不良や肥満になりやすくなります。たとえば、散歩の時間が短くなったり、同じおやつでも太りやすくなったりします。

食事量と回数の大切さ

老犬は一度にたくさん食べられないことが多く、回数を分けて与えるほうが消化に優しいです。エネルギーやたんぱく質の必要量は個体差があるため、体重の変化や便の様子、元気さを見ながら調整します。

この記事で学べること

本シリーズでは、年齢・体重別の食事量の目安、与え方のポイント、栄養の工夫、日々のチェック方法を順に詳しく解説します。まずは老犬の体の変化を理解し、安全で快適な食事管理につなげましょう。

年齢・体重別:老犬の1日の食事量の目安

概要

老犬に必要なカロリーや食事量は年齢、体重、活動量、健康状態で変わります。以下は一般的な目安です。日々の様子を見て調整してください。

小型犬(体重約5kg)の目安

  • カロリー:1日あたり約200〜300kcal
  • 食事量の目安:1日約96〜137g(フードのカロリー密度で変わります)
  • 回数:3〜4回に分けて与えると消化に優しいです
  • 例:避妊・去勢済みの老犬で1日281kcalの場合、おやつは総カロリーの約10%(約28〜56kcal)に抑えます。

中型犬(体重約10〜15kg)の目安

  • カロリー:おおむね1日350〜700kcal程度が目安です。体重や活動量で幅があります。
  • 回数:3〜4回に分けて与えてください
  • 注意点:関節の問題や筋肉量の低下がある場合は、獣医と相談して調整します。

大型犬(体重約25〜30kg)の目安

  • カロリー:おおむね1日800〜1,200kcal程度が目安です。個体差があります。
  • 回数:3〜4回が基本です。消化負担を減らすため少量ずつ与えます

与え方のポイント

  • フードのカロリー密度(kcal/100g)を確認して、グラム量に換算してください。
  • 体重が増える・減る、便や被毛の状態が変わる場合は食事量を調整します。
  • 持病(腎臓病、糖尿病など)があるときは、必ず獣医の指示に従ってください。

必要であれば、体重別に具体的な計算例(フードのkcal/100gを使った換算)もご用意します。

食事回数と与え方のポイント

基本の考え方

老犬は一度に多く食べると消化に負担がかかります。1回の量を減らし回数を増やすと胃腸に優しくなり、栄養吸収も安定します。食欲がしっかりしている場合は無理に増やさず、様子を見ながら調整します。

年齢別の目安

  • 7〜10歳:1日3〜4回に分けます。朝・昼・夕に加え、軽い夜食を足すと安定します。
  • 11歳以上:1日4〜5回が理想です。少量をこまめに与えると吐き戻しや軟便を防げます。
  • 健康でよく食べる子は1日2回でも問題ありませんが、食欲低下や吐き戻しが増えたら回数を増やします。

実践例(時間帯の例)

朝7:00、昼12:00、夕17:00、夜21:00。小分けにするほど量を量って与えます。移行は1週間ほどかけて徐々に回数を増やしてください。

与え方のコツ

  • 食事は決まった時間に与え、15〜30分で食べなければ下げます。いつでも食べられる状態は肥満や偏食につながります。
  • 温めると香りが立ち食欲が出ます。ドライフードはぬるま湯でふやかすと消化しやすくなります。
  • 投薬がある場合は食事と合わせるタイミングを守り、獣医に相談します。

注意点とチェック項目

  • 食べ残しや嘔吐が続く場合は回数や量の見直しをします。体重減少や元気の低下があれば早めに受診してください。
  • 水は常に清潔に用意します。おやつは総カロリーを考えて与えます。

栄養バランスと内容の工夫

良質なタンパク質を中心に

老犬は筋肉量が落ちやすいので、良質なタンパク質をしっかり与えます。鶏ささみ、白身魚、低脂肪の牛・豚肉、豆腐や卵など消化に良い具体例を挙げてください。目安は体重や活動量に応じて調整します。

脂質と体重管理

脂質は控えめにして肥満を防ぎます。オイルは少量のオメガ3(魚油など)を取り入れると内臓や皮膚に良い影響があります。

消化しやすさと調理の工夫

煮る・蒸す・柔らかく刻むなどで消化を助けます。ドライフードはぬるま湯でふやかすと食べやすくなります。食べむらがある場合は温めると香りが立ちます。

関節・内臓サポートの成分

グルコサミン、コンドロイチン、オメガ3(EPA・DHA)は関節や炎症のケアに有用です。市販のサプリを使う際は用量を守ります。

持病がある場合の注意

腎臓病や肝臓病がある場合はタンパク質やミネラルの調整が必要です。獣医師と相談して食事内容と量を決めてください。

実践のコツ

食材は少しずつ新しいものを試し、体重・便の様子を確認します。ネギ類、チョコ、ぶどうなど有害食品には注意してください。

食事量・体調のチェックポイント

日々の観察ポイント

  • 体重:週に1回、同じ時間に量ります。変化が大きければ記録します。目安として1か月で体重が5%以上減少・増加したら要注意です。
  • 食欲:ご飯を残す、数日続けて食べないなら要チェックです。普段は喜んで食べる子が急に減ったら病気の可能性があります。
  • 便と排泄:便は形が整い、匂いが急に強くないことが理想です。軟便や血が混じる場合は受診を検討します。

体の状態を確認する方法

  • 被毛:ツヤがあり、抜け方が普段通りか見ます。パサつきや毛玉が増えたら栄養不足や皮膚トラブルのサインです。
  • 体の厚み:肋骨を軽く触ってみてください。骨がゴツゴツ浮き出すほど痩せていれば量を増やします。逆に触りにくいほどなら減らします。
  • 行動・元気:散歩や遊びへの意欲が落ちたら食事だけでなく病気の可能性を考えます。

与え方の見直しと調整の目安

  • 変える量:一度に大きく変えず、5〜10%ずつ調整して1〜2週間様子を見ます。
  • おやつを含める:おやつもカロリーに入れて計算します。頻度が高いと知らずに摂り過ぎになりがちです。

受診を検討するタイミング

  • 体重が急激に増減したとき、血便や嘔吐が続くとき、食べられない・飲めないときは早めに獣医に相談してください。

些細な変化でも記録を残すと原因が見つかりやすくなります。日々の観察と小さな調整で老犬の暮らしを守っていきましょう。

まとめ:老犬の食事量管理の注意点

老犬の食事量は年齢や体重、運動量、病気の有無で変わります。市販フードの給餌量はあくまで目安と考え、日々の様子を見て調整してください。

  • 定期的に体重を量る:週に1回ほど同じ時間帯で体重を測ると変化に気づきやすいです。体重が5%以上減った場合は早めに獣医師へ相談しましょう。
  • 便と食欲を観察する:便が硬すぎる、ゆるい、血が混じる、食欲が急に落ちるときは食事の見直しや受診が必要です。
  • 少量・頻回にする工夫:噛む力が弱くなったり消化が落ちる場合は回数を増やし、一回量を減らすと負担が減ります。
  • 給餌量は少しずつ変更する:増減は1回あたり5〜10%を目安に数日かけて調整します。急激な変更は避けてください。
  • 水分補給と食べやすさを優先:ウェットフードやぬるま湯でふやかしたドライフードは食べやすくなります。水はいつでも飲めるようにしましょう。
  • サプリや特別食は獣医師と相談:腎臓や心臓の病気がある場合、カロリーや成分の管理が必要です。具体的なカロリー計算や量はかかりつけの獣医師に相談すると安心です。

毎日の小さな観察が老犬の生活の質を保ちます。体重や便の変化、食欲の変化を記録して、気になる点は早めに専門家に相談してください。

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