目次
はじめに
本書の目的
この文書は、子犬に安全で栄養のあるおやつを選び、手作りするための基本をわかりやすく伝えることを目的としています。成長期の子犬は栄養バランスや消化の配慮が必要です。素材選びや与え方を丁寧に解説します。
誰のために
これから子犬のおやつを用意する飼い主さん向けです。初めて手作りする方、市販品の選び方に迷っている方にも役立ちます。
大切にしたいこと
- 栄養バランスを優先すること
- アレルギーや食べ過ぎに注意すること
- 食材はシンプルに、火を通して消化しやすくすること
本書の読み方と構成
後の章で市販おやつの種類や手作りレシピ(さつまいもボール、かぼちゃ蒸しパン、鶏ひき肉の混ぜおにぎり、ボーロ各種)を紹介します。手順は写真や工程をイメージしやすく、初めての方でも取り組めるように説明します。安心して試していただける内容です。
子犬へのおやつの基本知識
おやつの役割
子犬にとっておやつは栄養補給としつけの両方で重要です。主食だけでは足りないエネルギーや成長に必要な栄養を補えますし、褒める時の短い報酬として使うと学習が進みます。
必要な栄養素
成長期の子犬はたんぱく質、良質な脂質、カルシウム、ビタミンが必要です。食物繊維が少しあると消化が安定します。市販品や手作りおやつを選ぶときは、これらを含むものを優先してください。
月齢別のおすすめ例
- 生後2〜4ヶ月:小さく柔らかいもの(蒸したさつまいも、柔らかいボーロ)
- 5〜8ヶ月:噛む力がつくのでやや固めのもの(薄切り鶏ささみ、低脂肪ドライおやつ)
- 9ヶ月以降:成犬用へ移行しつつ、子犬用を補助として使えます。
与える量と頻度
1回はごく少量(手のひらにのる程度)を目安に、1日に数回までに留めます。おやつのカロリーは1日の総摂取量の10%以内に抑えると太りにくくなります。
アレルギーと素材の注意点
アレルギーが心配な場合は、馬鈴薯でんぷんや脱脂粉乳のようにアレルゲンになりにくい素材を選ぶと安心です。新しい素材は少量から試し、皮膚や便の変化を確認してください。
選び方のポイント
原材料が分かりやすいもの、保存料や香料が少ないものを選びます。手作りなら塩や砂糖は控えめにし、素材の鮮度を大切にしてください。
市販おやつの種類と特徴
主な種類とその特徴
- 肉系ジャーキー
- たんぱく質が豊富で嗜好性が高いです。噛み応えがあり、満足感を得やすい反面、脂質や塩分が高い商品もあるため成分表示を確認してください。
- ボーロ・ビスケット
- 小さくて与えやすく、トレーニングにも向きます。低脂肪・低カロリーのものが多いですが、砂糖や添加物が入っている場合があるので注意が必要です。
- デンタルガム・噛むおやつ
- 歯垢や口臭ケア効果をうたう商品が多いです。長時間噛めるためストレス発散にもなりますが、噛み過ぎによる胃腸の負担に気をつけてください。
商品例と特徴(具体例)
- シーズイシハラ NEO ササミ巻き もっちもちチーズ味
- 小型犬やシニア犬にも噛みやすい柔らかさです。砂糖不使用で比較的低カロリーなのでおやつの総カロリー管理がしやすい特徴があります。
市販おやつを選ぶポイント
- 成分表示を確認する(たんぱく質、脂質、糖分の量)
- アレルギーや嗜好に合わせる
- カロリーと与える量を管理する
与え方の工夫と注意点
- 主食とのバランスを意識して総カロリーを超えないようにします。
- 初めての製品は少量から試し、下痢や嘔吐がないか確認してください。
- 小さな子犬や歯が弱い高齢犬には、柔らかめや小粒の商品を選びます。
市販おやつは手軽で種類が豊富です。用途と犬の体調に合わせて上手に選びましょう。
手作りおやつの基本レシピ①さつまいもボール
材料(小型犬の目安:約10個分)
- さつまいも(蒸して皮をむいたもの)200g
- 片栗粉 大さじ1〜2(つなぎ用)
- にんじん(すりおろし)大さじ1(お好みで)
作り方
- さつまいもを柔らかく蒸し、熱いうちに皮を取り除いてフォークでつぶします。にんじんを加える場合は一緒に混ぜます。
- 片栗粉を少しずつ加え、手でこねてまとめやすい固さにします。べたつく場合は片栗粉を少量ずつ足してください。
- 一口大に丸め、表面を軽く押して平らにします。オーブンを使う場合は160℃に予熱します。
- 天板にクッキングシートを敷き、約12〜15分焼きます(焼き色がつきすぎないように注意)。フライパンで弱火で蓋をして焼いても作れます。
ポイント
- 砂糖・塩・バターは加えないでください。さつまいもの自然な甘みで十分です。
- 子犬には少し柔らかめに仕上げると食べやすいです。
バリエーション
- 無塩の茹で鶏をほぐして混ぜるとタンパク質を補えます。
- かぼちゃやすりおろしりんごを少量混ぜても風味が変わり喜びます。
保存と与え方
- 冷蔵で2〜3日、冷凍なら1か月程度保存できます。与えるときは自然解凍または軽く温め、温度を確認してください。
注意事項
- 初めて与える食材がある場合は少量から始め、異常がないか観察してください。持病やアレルギーがある場合は獣医師に相談してください。
手作りおやつの基本レシピ②かぼちゃ蒸しパン
概要
かぼちゃの甘みがやさしい、子犬向けの蒸しパンのレシピです。消化にやさしく、素材を変えればさつまいもやにんじんでも作れます。生地を分けて人間用に牛乳や砂糖、シナモンを足すと、一緒に楽しめる工夫ができます。
材料(犬用・約6個分)
- かぼちゃ(正味)100g(蒸すかレンジで柔らかくする)
- 薄力粉 80g
- ベーキングパウダー 小さじ1/2(アルミ不使用)
- 卵 1個
- 水 大さじ1〜2(生地の調整用)
人間用アレンジ(生地の一部を取り分け)
- 取り分けた生地に牛乳30ml、砂糖大さじ1、好みでシナモン少々を混ぜます。
作り方
- かぼちゃを柔らかくして皮を取り、フォークでつぶす。ペースト状にします。
- ボウルに卵を溶き、かぼちゃペーストを混ぜる。粉類を合わせてふるい、加える。
- 粉気がなくなるまで混ぜ、必要なら水で固さを調整する。
- 型に入れ、蒸し器で中火〜強火で約12〜15分蒸す。竹串を刺して生地がつかなければ出来上がり。
- 冷めてから与える。人間用は取り分けた生地をオーブンまたは別に蒸して仕上げます。
アレンジ・代替食材
- さつまいもやにんじんは同量で代用できます。加熱してペーストにしてください。
- 乳製品や砂糖は犬用には不要です。
保存と与え方の注意
- 冷蔵で2〜3日、冷凍なら1ヶ月が目安です。解凍後は短時間で与えてください。
- 初めて与えるときは少量から様子を見てください。お腹の緩さやアレルギー反応がないか確認します。
- 玉ねぎ・にんにくなどは使用しないでください。
調理のコツ
- 蒸し時間は火力や型の大きさで変わるため、竹串で確認してください。
- 生地を薄めにすると蒸し上がりが早く、冷めやすく与えやすくなります。
手作りおやつの基本レシピ③鶏ひき肉の混ぜおにぎり
短い説明
鶏ひき肉とご飯を混ぜたシンプルなおにぎりは、食欲が落ちた時期や栄養を補いたいときに向くおやつです。鶏肉のたんぱく質で成長期の体を支えます。味付けは不要で、犬のサイズに合わせて握れます。
材料(子犬1〜2回分)
- ご飯(温かいもの)100g
- 鶏ひき肉50g
- にんじんすりおろし 小さじ1(任意)
- 片栗粉 小さじ1(つなぎ)
- サラダ油 ごく少量(焼く場合)
※塩や調味料は加えません。
作り方
- 鶏ひき肉をフライパンで火が通るまで加熱します。余分な脂は拭き取って冷まします。
- 温かいご飯をボウルに入れ、粗くほぐします。にんじんを加える場合はここで混ぜます。
- 冷ました鶏ひき肉と片栗粉を加え、全体をよく混ぜます。つなぎがあれば形がまとまりやすくなります。
- 手を濡らして一口大に握ります。小型犬は小さめ(直径2〜3cm)、中型は3〜4cmを目安にします。
- 必要なら弱火で表面を軽く焼いて殺菌し、粗熱を取ってから与えます。
与え方のポイント
- おやつは総エネルギーの10%以内に抑え、主食とのバランスを保ちます。
- 初めて与えるときは少量から始め、24時間ほど様子を見ます。
保存と注意点
- 作り置きは冷蔵で1〜2日、冷凍なら1か月を目安に保存してください。再利用時は十分に加熱してから冷まして与えます。
- 生肉は避け、必ず中まで火を通してください。鶏肉アレルギーが疑われる場合は使用を控えます。
栄養メモ
鶏肉は良質なたんぱく源で、米は消化に優れエネルギー源になります。にんじんでビタミンと食感の変化を加えられます。
ボーロの手作りレシピ(基本プレーン版)
材料(小さめ約30個分)
- 薄力粉 100g
- 溶き卵 1個分(約50g)
- 低脂肪乳または犬用ミルク 20〜30ml
- はちみつまたはオリゴ糖 小さじ1(なくても可)
作り方
- ボウルに薄力粉をふるい入れます。
- 別の容器で溶き卵と牛乳、はちみつを混ぜ、粉に加えてゴムベラでさっくり混ぜます。粉っぽさがなくなればよいです。
- 手で軽くまとめ、一口大に丸めます(直径約1.5〜2cm)。
- 天板に並べ、170℃に予熱したオーブンで12〜15分焼きます。表面が薄くきつね色になれば取り出します。
焼き加減とポイント
- 中はふんわり外は少し固めが子犬に食べやすい食感です。長く焼くと硬くなるので注意してください。
- 低脂肪乳の代わりに犬用ミルクを使うと安心感が増します。
- はちみつは少量なら問題ないことが多いですが、不安な場合や与える量が気になるときは省いてください。
保存と与え方の注意
- 冷蔵で3日、冷凍なら1か月が目安です。与える前に常温に戻してください。
- 初めて与えるときは少量ずつ様子を見て、軟便や嘔吐がないか確認してください。
- 与え過ぎは肥満につながるので、日々の食事量を考えて与えてください。
ボーロの手作りレシピ(米粉・野菜版)
はじめに
アレルゲンになりにくい米粉をベースに、野菜とチーズ、はちみつ、全卵を加えたやさしい味のボーロです。生地を小さく丸めて、子犬の小さな口でも食べやすいサイズに仕上げます。
材料(約40粒分)
- 米粉 100g
- 粉チーズ(無塩) 大さじ1
- かぼちゃまたはさつまいも(蒸して潰す) 50g
- 全卵 1個
- はちみつ 小さじ1(少量)
- 水または犬用ミルク 大さじ1〜2
作り方
- 蒸した野菜をよく潰します。細かい裏ごしがおすすめです。
- ボウルに米粉と粉チーズを入れて混ぜ、中央をくぼませて卵とはちみつを加えます。
- 野菜と水を加えて混ぜ、生地がまとまるまで手でこねます。固ければ水を少し足します。
- 小さな一口サイズ(直径7〜10mm程度)に丸め、天板に並べます。指で軽く押して平らにすると火が通りやすいです。
焼き時間とポイント
- 予熱180°Cで12〜15分が目安です。表面が薄くきつね色になれば完成です。焦げやすいので途中で様子を見てください。
与え方と保存
- 初めて与える場合は1個から様子を見てください。体重や年齢に合わせて回数を調整します。
- 完全に冷めたら密閉容器で冷蔵3日、冷凍なら1か月程度保存できます。
注意事項
- はちみつや卵にアレルギーがある子は使用を避け、必ず獣医に相談してください。
- 調味料や塩分は使わず、無塩の材料を選んでください。