犬用フード・おやつ

犬のご飯のカロリー計算で健康管理をしっかり行う方法

はじめに

犬のご飯のカロリー計算は、まず犬が1日に必要とするカロリーを求め、その後フードのカロリーから適切なフード量を計算する2ステップで行います。この章では全体の流れと準備する情報をやさしく説明します。

まずは2ステップ

  1. 犬の1日あたりの必要カロリーを求める。体重や年齢、活動量で変わります。
  2. フードのパッケージに記載されたカロリー(例:100gあたりのkcal)から必要なグラム数やカップ量に換算する。

準備する情報(具体例で理解)

  • 体重:最も大事です。例:10kg
  • 年齢と活動量:子犬・シニア・運動量の多い犬かどうか
  • 体型:痩せているか標準か太り気味か
  • フードのカロリー表示:100gあたり何kcalか、1カップ何gか

簡単なイメージ例

成犬の目安として、体重1kgあたり約30〜40kcalを使うことが多いです。たとえば10kgの成犬なら35kcal×10kg=350kcal/日。この犬に対し、フードが100gあたり350kcalなら、1日に必要な量は100gになります。

この章で全体像をつかんでください。次章で、より正確な考え方と調整のポイントを説明します。

基本の考え方

概要

犬が1日に必要とするエネルギー量(以下、1日必要エネルギー量)を求めます。まず体重から基礎代謝に相当する値(RER)を計算し、生活状態に応じた係数をかけて1日必要エネルギー量(DER)を出します。最後に与えているフードの100gあたりのカロリーから何グラム与えればよいかを算出します。

1) 基礎代謝(RER)の求め方

RERの簡単な式は次の通りです。
RER = 70 × 体重(kg)^0.75
この式は犬の大きさに応じた基礎的な消費エネルギーを出します。例えば体重10kgの犬は、RER ≒ 70 × 10^0.75 ≒ 393 kcal/日です。

2) 活動係数(ライフステージ)

RERに生活状態に合わせた係数を掛けます。代表的な目安は下記です(個体差があります)。
- 室内で穏やかに過ごす避妊・去勢済み成犬:1.4~1.6
- 活発な成犬(未避妊・去勢含む):1.6~2.0
- 成長期の子犬:2.0〜3.0(成長段階で変化)
- 体重減量時:1.0〜1.2
RERに係数をかけるとDER(kcal/日)が得られます。例:RER 393 × 係数1.6 ≒ 629 kcal/日。

3) カロリーからフード量への換算

フードの表示が「100gあたりのカロリー(kcal/100g)」であれば、与える量は次の式で計算します。
与えるグラム数 = (DER ÷ kcal/100g)× 100
先の例でフードが100gあたり350 kcalなら、629 ÷ 350 × 100 ≒ 180 g/日です。

4) 注意点

  • フードの表示が『kcal/100g』でない場合は単位を揃えて計算してください。缶詰やウェットは水分が多く見た目よりカロリーが少ないことがあります。
  • 年齢、体調、運動量によって必要量は変わります。体重の変化を見て数週間ごとに調整してください。
  • 慎重に変えるときは少量ずつ調整し、獣医師に相談すると安心です。

ざっくり計算式

目的

成犬の1日に必要なカロリーを簡単に見積もる方法を説明します。家庭での目安として使いやすい計算式です。

手順(2ステップ)

  1. 安静時エネルギー要求量(RER)を求めます。式は「体重(kg)×30+70」です。日常の基礎的な消費量の目安になります。
  2. RERに活動係数をかけて1日の必要エネルギー量(DER)を出します。一般的な係数は次の通りです。
  3. 避妊・去勢済み:1.6
  4. 未避妊・未去勢:1.8
  5. ダイエット中:1.0〜1.2(体重減少を目指す場合)

具体例

  • 体重5kg:RER=5×30+70=220kcal
  • 避妊済みDER=220×1.6=約350kcal/日
  • 未避妊DER=220×1.8=約400kcal/日
  • 体重10kg:RER=370kcal
  • 避妊済みDER=約590〜600kcal/日
  • 体重20kg:RER=670kcal
  • 避妊済みDER=約1070kcal/日

注意点

  • 個体差や運動量で必要量は変わります。まずは上の目安で与え、2〜4週間で体重を見て調整してください。
  • 子犬や病気の犬は別の基準が必要です。特別な場合は獣医師に相談してください。

フード量への変換

基本の計算式

フード量(g)は次の式で求めます。

フード量(g)= DER(kcal)÷ フードのカロリー(kcal/100g)× 100

ラベルに記載の「kcal/100g」を使ってください。分かりやすくするために、まずは数値をそのまま当てはめます。

具体例

DERが320kcal、フードの表示が300kcal/100gなら:

320 ÷ 300 × 100 = 約106.7g → 約107g

小数点は切り捨てより四捨五入でよいです。犬や猫の反応を見ながら微調整します。

実務的な注意点

  • フードはドライとウェットで重量に差があります。缶詰やトッピングがある場合は別にカロリーを確認してください。
  • 一日の量を複数回に分けるときは、合計量を食事回数で割ります(例:107gを2回なら1回約54g)。
  • 実際に計量するならキッチンスケールを使って正確に量ってください。カップ表記はメーカーや形状で差が出ます。
  • 体重の変化や体調を見ながら2〜4週間で調整してください。

実際にやるときのポイント

フード袋のカロリー表示を必ず確認

フード袋に書かれた「1カップあたりの kcal」や「100gあたりの kcal」を見てください。計算で出した必要カロリーをフードの表示で割れば、与える量の目安がすぐに分かります。

計算はあくまで目安、2〜4週間ごとに確認

体重や体型は個体差が大きいので、最初に出した量は試算です。2〜4週間ごとに体重と体型(触ってわかる肋骨の感じやウエストのくびれ)を見て、少しずつ調整してください。

計量のコツ(正確さが結果を左右します)

軽量カップよりもキッチンスケールを使うと正確です。ドライフードは平らにせず実際に入れた重さで測ります。おやつもカロリーに入れて管理してください。

切り替えや急な変化を避ける

フードを変えるときは1〜2週間かけて徐々に切り替えます。急に量を減らすと体調を崩すことがあるので注意してください。

子犬・高齢犬・治療中・重度の肥満は要相談

これらの犬種・状態では必要カロリーの計算式が変わることがあります。獣医師に相談すると安心です。特に薬を飲んでいる場合や持病がある場合は指示に従ってください。

日々の記録をつけると調整が楽になります

体重と与えた量、運動量をメモしておくと、変化に気づきやすくなります。写真を残すと体型の比較がわかりやすいです。

体調変化のサインに注意

元気がない、嘔吐や下痢が続く、急激な体重減少・増加がある場合は速やかに獣医師に相談してください。

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