目次
はじめに
犬のおやつに含まれる成分が原因で、かゆみや下痢、耳の炎症などのアレルギー症状が出ることがあります。本書は、そうした症状に悩む飼い主さん向けに、やさしく分かりやすくアレルギー対策のおやつ選びを解説するガイドです。
本章では、この記事の目的と読み方をご案内します。以下の点を意識してお読みください。
- 目的:犬のアレルギーの基本と、日常でできるおやつ選びのポイントを知ること。
- 対象:おやつで体調を崩しやすい犬を飼っている方、初めてアレルギー対応を考える方。
- 注意点:重い症状がある場合は、まず獣医師に相談してください。本記事は一般的な情報提供を目的としています。
続く章では、犬のアレルギー症状と原因、アレルギー対策に向いたおやつの選び方、具体的な低アレルゲン素材や注意点、そしておすすめ商品まで順に解説します。日常のちょっとした選択で、愛犬の快適さを守る手助けになれば幸いです。
犬のアレルギー症状と原因
はじめに
犬も人間と同じように食べ物や環境によるアレルギーを起こします。早めに気づくことで負担を減らせます。
主な症状
- 皮膚のかゆみ・赤み・湿疹:しきりにかく、毛が抜けることがあります。部位は顔まわりや四肢、お腹などです。
- 目や耳のトラブル:涙やけ、目の充血、耳のかゆみや黒ずみ・悪臭が出ることがあります。
- 消化器症状:慢性的な下痢や嘔吐、軟便が続く場合は食物アレルギーの可能性があります。
- 呼吸器症状:くしゃみ、鼻水、まれに咳や喘鳴が出ます。
- その他:皮膚の色やにおいが変わる、元気がないなどの全身症状も現れます。
主な原因
- 食物に含まれる特定のたんぱく質:牛肉、鶏肉、卵、乳製品などがよく問題になります。
- 穀物類:小麦やトウモロコシ、大豆などに反応する犬もいます。
- 化学添加物:着色料や保存料、香料に敏感な犬がいます。
- 環境アレルゲン:花粉、ハウスダスト(ダニ)、カビ、ノミの唾液などです。
- 接触性アレルギー:シャンプーや床材、衣類に触れて起きることがあります。
犬種・体質の違い
犬種や個体差で発症しやすさが変わります。特に小型犬は少量の添加物でも強く反応する場合があります。
受診の目安
症状が長引く、激しくかゆがる、呼吸が苦しそう、食欲や元気が急に落ちた場合は早めに獣医師に相談してください。食物アレルギーが疑われる場合は獣医師の指導で除去食(エリミネーション)を試すことが一般的です。
アレルギー対策のおやつ選びのポイント
アレルギーが心配な愛犬におやつを選ぶときは、原材料のシンプルさと安全性を最優先にしてください。以下のポイントを参考にすると選びやすくなります。
単一素材を選ぶ
原材料が1つだけ(例:鹿肉100%、さつまいもだけ)の商品は、原因特定がしやすく安全性が高いです。成分表示の最初に書かれたものが主成分なので確認してください。
無添加・保存料不使用を確認
香料・着色料・保存料が入っていないものを選びます。添加物はアレルギーや消化不良の原因になりやすいからです。ただし「ナチュラル」表記も詳細を確認しましょう。
避けるべき食材の目安
牛・鶏・卵・乳製品・小麦・トウモロコシ・大豆・魚はアレルゲンになりやすい食材です。これらを含まない商品を優先してください。
新奇タンパク源の活用
鹿・兎・アヒル・カンガルーなど普段与えないタンパク源は有効です。一度に複数試さず、1種類ずつ与えて反応を確認してください。
少量から試す・観察する
お試しサイズで数日間(目安48〜72時間)少量ずつ与え、皮膚や便の状態、かゆみなどを観察します。異変が出たらすぐ中止し獣医に相談してください。
ラベルの見方と製造環境に注意
成分の並び順、添加物の有無、原産国や製造ラインの共有(アレルゲン混入の可能性)も確認しましょう。これらを押さえると安心しておやつを選べます。
低アレルゲンおやつの具体例とおすすめ素材
鹿肉・鹿皮(ベニソン)
鹿肉は牛や鶏に比べてアレルギーを起こしにくい食材です。たんぱく質が豊富で脂肪が少ないため、体重管理が必要な犬にも向きます。鹿皮の硬めのジャーキーは歯みがき代わりにもなります。
野菜系(さつまいも・かぼちゃ)
さつまいもやかぼちゃは穀物にアレルギーがある犬に適しています。噛みやすく加工したチップやベイクドタイプなら与えやすく、食物繊維で便通にも良いです。
魚系(サーモン・タラなど)
サーモンやタラは比較的アレルギーが少なく、皮膚や被毛に良いオメガ3脂肪酸を含みます。フリーズドライや低温で乾燥させたおやつだと栄養が残りやすいです。
無添加フリーズドライ
原材料が少ない単一素材のフリーズドライおやつは、添加物の心配が少なくアレルギー管理に向きます。成分表示がシンプルなものを選んでください。
その他の低アレルゲン素材(うさぎ・アヒルなど)
うさぎやアヒルなど、普段使わない“新しい”たんぱく源は、既存のアレルギーを避ける選択肢になります。ラベルで原産国や加工方法を確認しましょう。
与え方のポイント
新しい素材は少量から始め、2〜3日様子を見て異常がないか確認します。おやつは1日のカロリーの約10%までに抑え、長期保存は密閉容器で湿気を避けてください。ラベルの原材料欄で単一素材・無添加を優先することが大切です。
アレルギー対応のおやつ選びで注意する点
成分表示を必ず確認する
おやつを選ぶときは原材料表示を最初に見てください。主原料だけでなく、添加物・調味料・保存料も確認しましょう。表示に「○○を含む製品と同じ設備で製造」などの記載があれば交差汚染の可能性があります。
新しい素材は少量ずつ、観察期間を設ける
初めて与える素材は少量から試してください。与えたあとは48〜72時間は様子を見ます。皮膚のかゆみ、赤み、下痢、嘔吐、呼吸が荒いなどの変化があれば直ちに中止します。
症状が出たらどうするか
軽い症状ならおやつをやめて様子を見ます。症状が改善しない、または重い症状(呼吸困難、顔や口の腫れ、ぐったり)が現れたら、すぐに獣医師に連絡・受診してください。
療法食や獣医師の指示を優先する
アレルギーで療法食が処方されている場合は獣医師の指示に従ってください。自己判断で市販の低アレルゲンおやつに替えると症状が悪化することがあります。
日常の工夫と記録
おやつの種類・量・与えた時間と症状をノートに残すと原因特定が楽になります。旅行やトリミング先でも与える物を共有し、誤食を防ぎましょう。
アレルギー犬向けおやつ・ドッグフードのおすすめ商品例
おやつのおすすめ例
- 鹿肉100%ジャーキー:単一タンパクで添加物が少ないものを選ぶとよいです。高嗜好でアレルギーを起こしにくい犬種も多いです。
- さつまいもチップス:穀物不使用で食物繊維が豊富。甘味があるのでおやつに最適です。
- 天然鹿皮ガム(デンタルガム):長持ちして歯磨き効果も期待できます。原材料が単純なものを選んでください。
- 珍しいタンパク源のスナック(カンガルー、アルパカ等):一般的な鶏・牛・豚に反応する子に向きます。
ドッグフードのおすすめ例
- 限定原材料(LID)フード:使用原料を絞り、アレルギーの原因追及に向きます。
- 加水分解タンパク処理フード:タンパク質を細かくし反応を起こしにくくしています。獣医処方のものもあります。
- グレインフリーや低アレルギー処方:穀物や一般的なアレルゲンを避けたい場合に有効です。
選び方のポイント
- 原材料表記を必ず確認し、添加物や複数タンパクが入っていないか確認します。
- 新しいおやつやフードは少量から始め、数週間観察してください。アレルギー症状が出たらすぐ中止し獣医に相談します。
与え方と保管
- おやつは総カロリーの10%以内に抑えます。
- 開封後は密閉保存し消費期限内に使い切ってください。
- 獣医の診断がある場合は処方食を優先してください。